「山の中でひとり」 第95話
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「どうしてそんな意地悪するの!なんで写真なんか撮ろうとするのよ!!」 おばさんは怒っていた。 「大体!タカヨシ!!あなた、私の時は何のリアクも無かったのに弥生ちゃんの時はエラい違いじゃない!!高志さんも弥生ちゃんばっかりじゃない!!」 でも、段々怒りの方向性が変わってきたように思う。おじさんがおばさんを必死になってなだめてる。 「おばさん。おじさんはおばさんの事をとても大事に思ってると思います。だから、もう怒らないで…」 なだめているおじさんの指先はキチンと整えられていた。髭のおじさんとは違う。 「うそよ!」 「おじさんの爪はきれいだから、おじさんはおばさんの事が大事なんだと思います。」 少しの沈黙。二人とも顔が赤くなっている。失言だったかもしれない。 「やよいちゃんは、賢いなぁ。耳年増だとはおもうけど…」 おじさんが頭をかきながら目をそらした。おばさんは顔を真っ赤にしていた。
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