「あなたに許してほしい」  第26話
OB1200664857442.jpg  なぜだろう?穏やかな気分だ。
 私は静かにドアを開けた。
「戻ってきてくれると思ってた…」
 苦しそうに、でも嬉しそうにさっちゃんが私を迎えた。
「友恵が死んだわ。」
「そう」
「私のせいね。」
「そうね」
 さっちゃんはこともなげに言った。
「おばさんの手を見たときに、友恵はきっと無事だと思った。」
「練習は必要よ。勘違いさせたなら、ごめんなさい。」
 あっさりと言った。謝意は感じられない。
「あの時…、友恵は半狂乱になってた。 私、慌てちゃってね。
それまではさっちゃんの事だから罠が仕掛けてあると思ってた。
でも、友恵の声を聞いたら慌てちゃって…。だって、助けられると思ったから…」
「お母さんの手を見て、あの指はお母さんのだって思った?」
「うん。やっぱり友恵はいないと思った。友恵はウチにいて無事だと思った。
でも、友恵の声が聞こえて…それでも、私は友恵は無事だと思った。
だって、おばさんの指を見たから…」
 本当は怒り狂うべきところだ。でも、私は落ち着いていた。
「必死だった。友恵を助けたかった。助けられると思ってた…」
「信じてほしかったわ…」
「ごめんね…」

 

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