「あなたに許してほしい」 第26話
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なぜだろう?穏やかな気分だ。 私は静かにドアを開けた。 「戻ってきてくれると思ってた…」 苦しそうに、でも嬉しそうにさっちゃんが私を迎えた。 「友恵が死んだわ。」 「そう」 「私のせいね。」 「そうね」 さっちゃんはこともなげに言った。 「おばさんの手を見たときに、友恵はきっと無事だと思った。」 「練習は必要よ。勘違いさせたなら、ごめんなさい。」 あっさりと言った。謝意は感じられない。 「あの時…、友恵は半狂乱になってた。 私、慌てちゃってね。 それまではさっちゃんの事だから罠が仕掛けてあると思ってた。 でも、友恵の声を聞いたら慌てちゃって…。だって、助けられると思ったから…」 「お母さんの手を見て、あの指はお母さんのだって思った?」 「うん。やっぱり友恵はいないと思った。友恵はウチにいて無事だと思った。 でも、友恵の声が聞こえて…それでも、私は友恵は無事だと思った。 だって、おばさんの指を見たから…」 本当は怒り狂うべきところだ。でも、私は落ち着いていた。 「必死だった。友恵を助けたかった。助けられると思ってた…」 「信じてほしかったわ…」 「ごめんね…」
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