「むしむし☆パニック!」 第7話
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私の体に砂糖をまぶし終えると、お母さんは服を脱ぎながら私に話しかけました。 「腕が抜けてすぐだから、まだそれほど痛くないでしょ?気絶もしてないわね?」 アーと答える。お母さんは残りのハチミツを自分の体に丁寧に塗りました。 「貴女が私のことが嫌いなのは知ってる。でもね。貴女の事を好きになろうと頑張ったのよ?貴女を生んでからずっと、私なりに努力した」 私はお母さんのことが好き。嫌ってなんかない。 お母さんの野菜炒めが好き。お母さんが作ってくれたスカートが好き。お母さんの結ってくれる髪が好き。 「それなにの、貴女は私にしたことは何?嫌うなら嫌ってくれもよかった。それなのに…」 いつも学校に行くとき、外まで一緒に出てきて私を送り出してくれるお母さん。漢字を教えてくれたお母さん。円周率が3.14159だってことを教えてくれたお母さん。嫌いな野菜を細かく砕いてハンバーグに入れていたお母さん。 「でも、もういいの…。生きてるのって辛いわよね…。だから、私は先に行くわ。貴女はそこで死ぬまで苦しみなさい」 そう言うと、お母さんはにっこりと笑った。 「貴女なんか大っきらい。蜂が沢山来てくれるといいわね」 お母さん、私。お母さんのことが… 「さよなら」 お母さんは、私の目の前で首を吊った |