「私…」  第3話
 私は研究所にあった精子で、私に妊娠をさせた。
 着床から人として形取っていく姿をすべて画像に残すことはもちろん、現在の技術で採取できるすべてのデータを貪るように集め続けた。
 お腹が大きくなっていくにつれ、私は嬉しそうにお腹をなでた。
 時には鼻歌をお腹の子供に聞かせもした。
 そんな姿を誰かに見られると恥ずかしそうにした。
 この私には私の研究のために私の体を差し出す。それ以外の刷り込みはしていなかったのに、だ。

 そんな私を見て、私にも母性本能があったことを知った。
 私の子供は私ではないので研究対象には出来なかった。
 母体保護法で定められた22週になるまでデータを吸い取り、中絶すること。
 それは研究者としての私の絶対に守らなければならないモラルだった…

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