「私…」  第4話
 中絶の必要性はなかった。
 染色体異常と羊水過少症の合併症で私は自然流産した。
 私は過去に恩師の研究のために卵子の提供をした際、排卵誘発剤やホルモン剤の副作用で子供の産めない体になっていた。だから私の段々と大きくなっていくお腹に喜びと共に嫉妬を感じていた…。自分でも認識できるほどその感情は大きかったから、自然流産してくれたときは嬉しかった。

 流れた後の身体状況データも貪欲に記録し続けた。
 私は、過酷な状況に追い込まれ壊れかけている私に赤ちゃんのぬいぐるみをあげた。
 私はそれを抱きしめようとしなかった。ただ、呆然とぬいぐるみを焦点の定まらない目で見続けた

 思った通りだと思った。

<< Back || Next >>


|| 私…  Top | CG | Profile | BBS ||