fdaf5b4887-1268618720.png 「つまり、あなたはそのおじさまのことを好きなのね?」
「そうね。でも、起きてる私には自覚はないと思う」
 夢の中で、死神さんと話す。覚えてはいないけど何度も会ってるそうだ。
「幸せ?」
「うん。でも無条件で幸せかと言う違うよ?家族や故郷のみんなのこととかを思うと、苦しい。」
 夢の中と起きている時では考える感覚が違う。雑念がないからだと死神さんは言った。
「それでもね。起きている私は、私の前の小さな世界で幸せなこととかを探そうとしているみたい。」
 そうやって私は不安や悲しみから逃げようとしている。
「でも、あなたのおじさまは嘘つきよ?」
「知ってる。起きてる私もちゃんと気づいてる…。えっとね、おじさまって嘘をつく時にね。目の中が大きくなるの」
「瞳孔?」
「瞳孔って言うの?多分、それ」
 思い出してクスクスと笑う。おじさまはバレてないと思っているのかな。
「起きてる私がおじさまを信じる理由って、そういうところだと思う。嘘だと分かってて、嘘だと分かっているから信じようとしている」
「どうして?」
「どうしてかな?多分、信じる理由を探していたからだと思う」

「ところでこの服は何?あまり見ない服だけど…、というか…」
「ジャージ。運動するときに着る服。前に会ったときに服を着せろってうるさかったから、着せた。」
 前に会った時の私はどういう経緯でこんな要求したのだろう?
「これ、ファスナーがない…」
「あぁ、ごめん。すっかり忘れてた。細かいな…」
「大きいと思う。服を着るのは、体を守ること以外にも相手の印象を良くする意味もあるんだからちゃんと閉まるようにしてください」
「あぁ、うぅ…。また今度ね」
 そう言ってかなりメンドくさそうに死神さんは同意した。
 なんだか私もメンドくさくなってその場に座り込んだ。お行儀が悪かったから、あとから反省した。

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