夢を見る。
「私は死に神よ。30回目の初めまして」
「死に神?私死んじゃったの?どうして?頑張ったのに…。病気の体じゃ耐えきれなかったの?」
「貴女はまだ死なない。まだ寿命は残ってる」
「よかった…。すごく痛かったし、ものすごく苦しかったから、私もう死んじゃったのかと思った」
「体の一部を切り取ったんだから、無事で済むわけないじゃない」
「でもホントよかった。もし死んじゃっていたらおじさまとの約束が守れなかった。」
「そう。良かったわね」
そういって同意した死に神さんの顔は寂しそうだった。
「ありがとう。ホント…。よかった」
でも私は生きている事に感謝した。神様に。
それから死に神さんと色々話した。
それはたぶん、同じ事を話してるのだと思う。
それでも死に神さんはまるで初めてのように私の話を聞いた。
彼女とは何度も夢であっているらしいけど、私は彼女のことを覚えていない。
それはとても寂しいことだけど、そういう決まりになっているらしい。
「なんか、日焼けしてる…」
「貴女って青白くて不健康だから、ちょっと日焼けさせて健康的にしてみた。」
「ちょっと焼け過ぎなような…。それに変な耳。あと、これっておかしな服ね。」
「耳は作画を若干失敗したから、誤魔化した。我ながらナイスリカバリー。
あと、この服は水着といって、泳ぐことに特化した服。
前に伝統的な服がいいって言ってたから外国のトラディショナルなスイムスーツを選んだ。
わがままな貴女の注文に素直に応じる私。感謝するように」
「ホントにこんな注文したのかな…?貴女のも水着?でもショーツにしか見えない」
「日本のトラディショナルなスイムスーツよ。これは優れてる。作画がとても楽。」
「私のはともかく、貴女のそれはスーツなのかな…?」
水着というのはぴったりしてちょっと恥ずかしい。
ふと、胸に違和感を覚えた。
服の上から胸をさする。違和感。お腹をさする。また違和感。
「乳首がある…。お腹の縫い痕もない…」
「前にあったとき悲しそうだったから、直しておいた。えっと、怒った?」
死に神さんがゆがむ。違う。私が泣いているせいだ。
「いえ、うれしい。なんだろう?本当にうれしい。」
何度もさすった。間違いない。なくなった私の一部だ…
「失われた感覚を懐かしむ気持ちは理解できるけど…、夢だから感覚はないわよ?」
「別に、そういう意味でさすってたわけじゃないんだからね!!」
「うん。信じてる。分かってる。理解している。ほんとほんと(棒)」
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