fdaf5b4887-1274793750.png  あぁ、そうか。と思う。
 全て理解した。人生を振り返る時間は終わり。

「それにしても、おじさま。帰っちゃったんだ…。非道い人」
 なんだか、寂しいと思う。思おうとした。思えなかった。
「貴女は別に病気じゃなかった。血を吐いたのは毒を飲まされたせい」
「うすうすは気づいてた。チーズの魔法も嘘でしょ?」
 死に神さんは目を背けた。
「手紙は届いてない。」
「知ってる」
「貴女が大事だったのは本当。商品としてね。お金の為よ。」
「そっか。残念。……不思議だな。もっと、悲しかったり、
泣いたりすると思ってた。」
 穏やかだ。いや、穏やかと言うより平坦なんだ。
「分泌液よ…」
「分泌液?」
「あなたの魂を肉体から切り離した。感情は体内の分泌液に大きく影響される。
だから、貴女はもう怒る事もないし悲しむ事もない」

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