「鮭児の時知らずタン」 第9話
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時知らずタンはみんなから少し離れて歩いていました。いつも一人ぼっちだったから、すこしホッとしました。 以前の群れにいた頃は何となく、みんなに嫌われていると思っていました。だから今と同じように群れから少し離れていました。 身勝手とわかっているけど、もしかしたら今とは違う群れにいったら、誰かが自分みたいな子でも、誰かが好きになってくれるかもしれない、優しくしてくれるかもしれない。そんな風に思っていました。 でも、お姉さんになんて言えばいいか分からなくて逃げてしまいました。 「結局、それはみんなが私という子の事を知るまでなんだろうなぁ。私…」 時知らずタンは声を出さないように泣きました。 気がつくと何だか水の流れが変わったように思いました。 |