「鮭児の時知らずタン」  第9話
 時知らずタンはみんなから少し離れて歩いていました。いつも一人ぼっちだったから、すこしホッとしました。
 以前の群れにいた頃は何となく、みんなに嫌われていると思っていました。だから今と同じように群れから少し離れていました。
 身勝手とわかっているけど、もしかしたら今とは違う群れにいったら、誰かが自分みたいな子でも、誰かが好きになってくれるかもしれない、優しくしてくれるかもしれない。そんな風に思っていました。
でも、お姉さんになんて言えばいいか分からなくて逃げてしまいました。
「結局、それはみんなが私という子の事を知るまでなんだろうなぁ。私…」
 時知らずタンは声を出さないように泣きました。
 気がつくと何だか水の流れが変わったように思いました。

<< Back || Next >>


|| 鮭児の時知らずタン Top | CG | Profile | BBS ||