「鮭児の時知らずタン」  第42話
「諦めないって決めたらね。何となくだけど故郷の位置がわかるようになったの。群れでいる頃は何となくみんな漠然としてたの

にね。あっちーだーーって」
 と、お姉さんはヒョコヒョコ歩きながら嬉しそうに笑って言いました。
「だからね。当たってるかどうかわからないんだけど…、もうすぐ故郷の川につくような気がするの」
 お姉さんは少し止まって時知らずタンの目を見て言いました。
「私、貴女にひどい事言ったし、沢山叩いた…。それを許してって言えないけど…、でも、ありがとう。あなたが来てくれたから…。私、まだ歩いてる」

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