何のかんのと山桜さんはソメイヨシノさんの事を気にかけていた。
でも、ソメイヨシノさんにはそれが疎ましかった。
山桜さんは今更どうしようもないことを、毎年毎年指摘する。
自分の身体を大事にしていないという山桜さんの指摘はその通りだった。
別に大事にしていない。子供を産めるわけではないし、
何となく長く生きられないのは分かっていたから、
大事にする必要性も見いだしていなかった。
幼い頃は今とは違う形をしていた。
うっすらと記憶に残っている自分は大きくなることに憧れていて、
当たり前のように当たり前のことを感じていた。
わたしはソメイヨシノとして生まれたんじゃない。
よってたかって、大人達にソメイヨシノにさせられたのだ
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