夏が終わり、秋が来て、赤く染めた葉が落ちる頃、冬が来る。
冬の乾いた空気や凛とした寒さが二人は好きだった。
冬になると虫や大人はいなくなって、二人にとてもゆっくりとした時間が流れた。
山桜さんはつぼみがちゃんと冬を越せるように暖かい服を作る。
まだソメイヨシノさんは上手くそれが出来なかったので山桜さんに習いながら、今年も冬を越す。
ソメイヨシノさんに頼られるのが嬉しかった。
山桜さんにとってソメイヨシノさんは友達であり、子供のような存在だった。
だからシンプルにソメイヨシノさんが幸せになって欲しいと願った。
見本用にうまく毛糸のパンツを作ったけれども、ソメイヨシノさんの物とは形が違っていた。
でも、ソメイヨシノさんはそれをお手本に上手に自分用に編み上げていた。
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