山に雪が降る。
肩まで雪に埋もれながら空を見上げると、四季の素晴らしさを感じられた。
桜が花を咲かすためには、ある程度の寒さも必要だ。
こうやって雪に埋もれてゆっくりしていると、女も磨かれると山桜さんは思っていた。
時折、ソメイヨシノさんが癒されたいと言っていたのを思い出す。
山桜さんは「癒し」って何だか受け身過ぎてあまり好きな言葉ではなかったけれども、こうやってゆっくりとしていると、そんな些細なことはどうでも良いなと思えた。
ソメイヨシノさんは、みんなで入るのは恥ずかしいと言ってモジモジしている。いつもこんな風にしおらしかったら可愛いのにと、山桜さんは思った。
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