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トンネルが出来てから、全てが変わった。 新しい道が別の場所に出来て、山間を縫うように走っていた細い道は放棄された。 それから大人達がソメイヨシノさんの元に来ることはほとんど無くなった。 今年も春に花を咲かせたソメイヨシノさんは花を咲かせながら、何度も泣いた。 道ばたに植えられていたソメイヨシノさんは大人達に堆肥をもらって初めて満開の花を咲かすことが出来た。 今のソメイヨシノさんでは花粉を花の中に受け入れることも、飲み込むことも上手くできないようになっていた。 それでも花を咲かせるのは、ソメイヨシノさんの桜としての業の深さなのだろうと山桜さんは思い、哀れんだ。
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