「山桜さんとソメイヨシノさん」  第15話
1243954006549.png  枝振りについて娘さんとケンカして以来、ソメイヨシノさんはずっとイライラしていた。
 気づいたときには遅すぎた。
 例え気づいたとしても何も出来なかった。
 大人達が道を放棄したから、段々と荒れていった道は昔のように風通しの良い場所ではなくなっていた。
 もともと大人達の世話になる必要のない山桜さん達には別にたいしたことではなかった。
 でも生存条件の悪いところにいたソメイヨシノさんは大人達に依存して生きていた。

 少しずつ腐っていく内臓
 長生きできないと刹那的に生きていても、生物的な要求が内からにじみ出してくる。それは奪われて捨て去ったと思っていた願い。

 子供が欲しい…

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