大人達は廃棄された旧国道の活用法として、もう使われなくなった森林組合の資材置き場を整地して川遊びの出来るキャンプ場を作った。
夏の間は沢山の大人達が家族連れで遊びに来て、その一体だけはにぎわっていた。
娘さんはあまり大人達が好きではなかっから、迷惑だと思った。
山桜さんは例え夏の間だけでも、例え彼らがソメイヨシノさんに気づくことが無くても、ソメイヨシノさんは喜ぶだろうと思って歓迎していた。
ただ、二人の共通する疑問があった。
どうして大人達は、わざわざ山まで来ていつもカレーなる物を作って食べるのだろう?
タカヨシ君とキャンプ場の近くの小川で遊んでいたら、おばさんに呼ばれた。
「なんで白い水着なのにこんなに布地が薄いの?」
「えっと、しまむらで買ったから…」
「すごいな。こんな物まで売ってるんだ。つかえるな、しまむら」
「高志さんはだまってて。何を作っても、もう着ませんからね。」
「えーー」
おじさんとおじいちゃんが嘆いた。私も一緒になって嘆いた。
「だまらっしゃい!そんなことより、こんなこと言いたくないけど、あまり安物は買わない方がいいわよ?」
「他に利用客がいないから良いけど、サポーター着忘れてるわよ?」
「えっと…、もってません。」
「だから、なんだそれ?タカシ君知ってる?」
「おばあさんが膝に巻いてるアレですよ」
「合ってるけど、違う!あぁもう、ウチの男どもは…。知っておいてあげてください!あなたの国なら捕まってますよ!!」
「ここは日本ですし…、私の国はもうここですよ?」
「あぁ、もう。いいです。お昼にしましょう。ご飯はもう炊けてるんですよね」
「好江さん、水!からい!」
おじさんが涙目で抗議した。
「おかあさん!ちょっと、からいからい!!」
タカヨシ君がのたうち回った。
「半端ない!ちょっと、これ半端ない!!ちょっ!頭痛い!」
おじいちゃんは頭が痛くなったらしく後頭部を押さえてうずくまった。
「せっかくのキャンプだから、いつも作らないカレーに挑戦してみんだけど…。大げさよね。美味しいじゃない。グリーンカレー」
そう言って汗だくになりながらおばさんは食べていた。
みんな辛くて食べ残していたけど、私は外国にいた頃にホットな料理をよく食べたので懐かしい感じがした。
やさしく吹く風がほてった身体を冷やしてくれて、気持ちよかった。
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