Q2.滌除制度かた抵当権消滅請求制度へ変更されたということですが、どのような点が変わったのですか。

従来の滌除制度の問題点

 従来の滌除制度は「抵当権者」にとって、
@滌除権者に対する競売手続き開始前の通知の必要性
A増価競売申立て
B買受義務
が過大な負担であったこと、
 逆に「第三取得者」にはこの制度を乱用して抵当権実行手続きを妨害する機会を与えていたことが指摘されていました。

改正法の内容

 改正法は、次のように滌除制度の内容を改め、その名称も「抵当権消滅請求」としました。
@抵当権消滅請求をすることができる者を抵当不動産につき所有権を取得した者に限定する(地上権または永小作権を取得した者を除外する)とともに、抵当権者が抵当権を実行するにあたって第三取得者に対する通知を要しないものとし、逆に第三取得者が抵当権消滅請求をできるのは抵当権者による競売手続きの開始(差押えの効力の発生)前にかぎるものとしました(民法代378条・法代382条の改正、民法第381条の削除)。
A抵当権消滅請求を受けた抵当権者に与えられる猶予期間を2ヶ月に延長し(従前は1ヶ月)、またその場合に抵当権者がなすべき手続きは、増価競売ではなく、通常の競売手続きとし、抵当権者は買受義務を負わないものとし、たとえ買受申立てがないために競売手続きが取り消されても抵当権は消滅しないものとしました(民法第384条)。

抵当権消滅請求承諾の効果の存続期間

 改正法のもとでは、抵当権消滅請求がなされ、抵当権者がこれを承諾した場合、その効果はいつまで存続するかについては規定がなく、解釈に委ねられています。
 今後の運用にあたっては、抵当権消滅請求を受けた抵当権者が2ヶ月以内に通常競売の申立てをしなければ承諾したものとみなされるとの規定を手掛かりに、2ヶ月で失効すると解して良いのではないかとの見解があります。

第三取得者が自らの所有権を守りたい場合の方法は?

 抵当権者が消滅請求を承諾せず競売手続きを開始した以上、第三取得者が抵当権を消滅させて自己の所有権を守りたいのであれば、競売手続きで、裁判所の定めた最低売却価格以上の金額で自ら買受けるより方法がなくなったということです。


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