任意売却物件の扱い方
メリットは自由取引


 競売前の任意売却でなんとか物件を手にしたいと考える人達が多い。なぜなら、競売では10倍以上の倍率は当たり前なのでうまみが少ないと考えるからである。実は競売になったものの、取り下げられるケースが5件に1件ほどある。取り下げは開札直前までできるので、入札終了後にでさえ取り下げになることもある。この取り下げも、一種の任意売却である。そもそも、任意売却という言葉は法律上の定義があるものではなく、所有者の売却意思と抵当権者の同意を得て、物件が動けば任意売却が成立したということである。したがって、売却価格や権利関係の調整などほとんど自由に取引ができるので、任意性・融通性の高いのがメリットとなっている。

 債務者が売却の意思を持たなければ話が始まらないが、競売と比較して引越し代などの再出発費用などの魅力を伝え売却の同意を得る。金融機関も早期に解決できるならば、抹消金額を多少は譲歩してくれる。通常債権者は複数いる場合が多く、第二・第三順位に進むにしたがって抹消金額(判子代)は少ない配分となっている。金融機関の納得性を得るためには、妥当な売却価格の提示が必要となってくる。最近では金融機関も不動産鑑定士と連携しているので、おおよその抹消金額を把握している。競売の三点セットといわれる資料の中で、鑑定評価書が付いているが、これと同じような資料を作成して金融機関と売却価格を調整する。この売却価格には様々な経費を見込まなければならない。所有者への引越し代、不動産取得税、登記費用、弁護士費用、管理費の滞納費用などの経費が必要なので、実際の売買価格は低くなる。

 さて、この任意売却の情報をどこでどのように仕入れるかが問題になる。当然風上の抵当権者である金融機関であるが、金融機関もプライバシーの問題がある上、進め方がまずいとまとまらないのでデリケートな取り扱いとなる。したがって、一部の信用のある業者へ情報が集中する傾向にある。

 任意売却といえども所有者と抵当権者全員および購入者の合意があって初めて成立するもので、簡単に話がまとまるわけでもなく時間がかかる場合もある。


株式会社フジヤ
〒520−0046
滋賀県大津市長等2丁目3−28
TEL 077-525-2233 FAX 077-523-5392