「全宅住宅ローン」がスタート
〜金利最低水準を実現〜

「フラット35」で公庫と提携
7月実行は2.38%

 全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)を母体とする住宅ローン会社、全宅住宅ローンが7月1日に始動した。公庫と提携し、「フラット35」を専門に取り扱う。9月までは東京地区で、10月からは全国各地で利用できるようになる。注目の融資実行金利は2.38%(7月実行分)に決定。「低金利での提供」を現実化し、取り扱い金融機関の中でも最低水準となった。全国11万の宅建業者が住宅ローンの貸し出しを始めるのは初めてで、業界に大きな変革をもたらす可能性がある。06年度は6000件の融資を実行し、10年後には3兆円規模の貸し出し残高を目標にしている。

土・日も営業、平日7時まで

 全宅住宅ローンは住宅金融公庫と提携し、証券化全宅住宅ローン「フラット35」を専門に取り扱う金融機関。東京都千代田区に本社を構える。「不動産を扱うプロの集団として、『長期』『固定』『低利』『選別なき』住宅ローンを広く一般消費者に提供すること」を主目的として設立された。7月から9月までは東京地区で取り扱いを開始。10月から全国展開する予定だ。業務開始日の7月1日、午前9時30分時点で既に6件、2億円相当の融資申請があった。
 「フラット35」を取り扱うためには、公庫が定める基準をクリアした金融機関であることが必要。そこで全宅連でも、04年11月の理事会でローン会社設立を承認した後、「資本金」「システム構築」「組織の整備」など、公庫の条件を整えるべく本格的な準備に入った。特に「資本金」については、公庫基準の「5億円」を2倍以上上回る10億6000万円が集まり、会員が一体となって会社設立へ動いた。
 同ローン会社の最大の強みは、低い金利設定を可能にできるその体制にある。不動産会社(全宅連会員)が「物件紹介」と同時に「融資の斡旋(あっせん)」を行うことができるため、全宅連の11万会員が金融機関の「支店」的役割を自動的に果たすことになる。結果として、通常の金融機関であれば発生する支店経費、人件費などが一切かからないため、公庫の基準金利に上乗せするサービシングフィーを低く抑えられる。
 同ローン会社が6月30日に発表した7月実行の金利は2.38%。「フラット35」の取り扱いが多い主要金融機関=表=と比較しても最低水準にある。

主要金融機関の「フラット35」金利 (7月)

金融機関 金利(%) 手数料(円)
みずほ銀行 2.59 31,500
りそな銀行 2.60 52,500
2.35 融資額の2.1%+税
八千代銀行 2.45 52,500
グッド住宅ローン 2.25 融資額の2.1%
共同住宅ローン 2.55 52,500
中央労働金庫 2.45 会員・10,500、非会員・31,500
全宅住宅ローン 2.38 105,000

りそな銀行がは2種類あるなか、同ローン会社より0.03%低い商品は、手数料に変化を持たせている。例えば、3000万円を融資した場合、手数料は66万1500円となる。一定額の手数料だと金利は2.6%と高くなる。同じく、グッド住宅ローンも手数料に変化を持たせている。
 全宅住宅ローン同様、7月からスタートした中央労働金庫は0.07%高い設定となった。同ローン会社の設立が決定して以来、公言していた「低金利での提供」を実践した形だ。
 ローンを扱う会員にも十分なメリットが期待できそうだ。これまで多種多様な金融機関、住宅ローン商品が存在していたため、確定しにくかった窓口の一本化が実現可能となった。自らのペースで同ローン会社と連絡を取り合いながら、融資業務の斡旋ができるため、これまで金融機関との折衝などで発生していた時間的ロスが少なくなる。また、低金利の住宅ローンを紹介することで、消費者からの信頼を獲得する手段ともなる。更に、同ローン会社は平日午前9時から午後7時まで、土曜・日曜・祝日も午前9時から午後5時まで営業。年末年始を除き年中無休のため会員の相談機会も拡大し、消費者の都合に合わせたローンの申込み設定などが可能となる。
 事業計画によると、融資実行件数は05年度が1800件で、06年度、07年度がそれぞれ6000件。10年後には3兆円規模の貸し出し残高を目標にしている。
 全宅連に限らず、「業界の地位向上」は不動産業界全体の大きな課題の1つとされている。全宅連が同ローン会社を設立し、実際に業務を遂行していくことについて国土交通省関係者は、「住宅政策という観点からも非常に重要なこと」と指摘している。


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