こうすればできる!売買仲介!
〜ゼロから自分を見直す〜

「キャリア」が障害に

 ベテラン営業マンがスランプに陥ったときの悩みは深い。小林さん(仮名、30歳)は、不動産業の営業マンとして8年のキャリアを持っているが、ここ6ヶ月ほど単独での契約が皆無である。
 これまでに4回の転職を経てきたが、何とかこれまでの生き方をギアチェンジしなければ、営業マンとして失格の烙印を押されてしまう状況にあった。
 契約は今もゼロ更新中である。そのためか気持ちはますます焦り、顧客との会話では焦点が定まる顧客の方からこれ以上話していても無駄であると思われることさえよくあるという。話す言葉も粗雑になりがちだ。じっくりと相手の話を聴き、時には整理しながらストーリーを展開することが、どうしてもできない。
 顧客に不快感を与えることもしばしばだ。それまでの旧態依然のキャリアがそうさせるのか、独断や思い込みが激しい。場当たり的で、顧客の真剣な質問に答えようとしない。
 顧客が聴いていないことに対しても、知ったかぶりの会話を続けるのである。とにかく話を続けていないと、営業をしているという実感が生まれないという。それが小林さんの営業観のようだ。
 しかし、そこに小林さんの取り返しのつかないスキやミスが現れる。あってはならないことだが、会話の中でついウソをついてしまうのだ。生半可な知識を武器にして、知ったかぶりの会話をするので、少しでもお客が疑問を投げかけたり反論でもしようものならば、すぐにその場を言い繕う。
 よく考えれば分かるような裏付けのない理由や根拠でウソを固めてしまうのだ。本当の自信がないから、あえて自信があるように装うのである。営業マンの装った自信は、素直な気持ちと安心をよりどころとする顧客の信頼を損なってしまう。

 小林さんが診断を受けたクリニックでは、まず解決の処方箋として、小林さんに、これまでの不動産営業マンとしてのキャリアが、最大の障害となっていることに気付いてもらうことにした。
 なぜこれまでの不動産業を続けるのか?不動産業のどこに自分のこれからの人生を賭けようとするのかを、トコトン自分を凝視しながら、改めて自分の仕事のポジション(役割)の重要性について再確認してもらう。
 更に小林さんには、顧客の視点で考え、行動するといった営業の基本スタンスを再確認してもらう。そのために現場を何度も歩いて地域に精通する。笑顔で相手の話を聴き、真剣にノートに書く。
それを復唱・確認・整理しながら、徹底してゼロから学ぶ。そして質問されて、分からないことや不確かなことがあっても、決して屁理屈をいわない。
 スピーディーに調べ、スピーディーに報告する。そして最後には「ありがとうございます」のお礼を必ず添える。以上が小林さんが克服すべきテーマとなった。
 小林さんは、2ヶ月後ゼロから脱出し、1本の契約を単独で上げたという。


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