住宅ローン50億円詐取

元組員ら4人逮捕 ホームレスの戸籍悪用

 東京三菱、みずほ、UFJの大手都銀や横浜銀行などの金融機関が、ホームレスの名義を使って別人になりすました詐欺グループに住宅ローンの融資金をだまし取られる事件が相次ぎ、判明しているだけで総額約50億円の被害が出ていることが、警視庁捜査2課の調べで分かった。捜査2課は、この一部に指定暴力団山口組の元幹部らのグループが関与していることを突き止め、詐欺容疑で4人を逮捕するとともに、2人の逮捕状を取り、行方を追っている。同課は、詐取した融資金が暴力団の資金源になっていた可能性が高いとみて、事件の全容解明を急ぐ。
 逮捕されたのは、東京都千代田区の不動産会社「シエロ・ホーム」の実質的な経営者で、元山口組系組幹部の森内正弘容疑者(46)ら。
 調べによると、森内容疑者らは2003年3月、横浜市内にある横浜銀行支店の住宅ローンセンターで、商社の幹部になりすまして住宅ローンを申し込み、約4500万円の融資金をだまし取った疑い。その際、シエロ社から同市栄区の木造2階建て住宅を購入すると偽っていた。
 同課の調べでは、グループは静岡県内で暮らすホームレスの男性の戸籍情報などを、戸籍密売ブローカーから40万円で購入。同県内にあった住民票を、江東区のメンバーの自宅に勝手に移し、同区役所から国民健康保険証、印鑑登録証明書などの書類を取得した。
 さらに、同・江戸川区の商社役員らに依頼して、同社が発行したとする偽の源泉徴収票や在籍証明書を入手。「(ホームレスの男性は)十数年前に商社に入社した。現在は幹部に昇進して800万円以上の年収がある」という架空の経歴を作り上げていた。
 これらの工作を行ったうえで、1人が同センターを訪問、偽の源泉徴収票などを提出し、住宅ローンを申し込んでいた。

根抵当権、勝手に抹消
神戸のマンション 元所有者ら逮捕へ 不動産売却益詐欺

 神戸市西区のマンションに旧関西興銀(近畿産業信組に事業譲渡)が設定していた根抵当権を勝手に抹消し、同市内の不動産会社に売却して約1億8500万円をだまし取ったとして、兵庫県警捜査2課などは、マンションの元所有者数人について詐欺容疑で逮捕状を取り、事情聴取を始めた。容疑が固まり次第、逮捕する。
 調べなどによると、元所有者らは2001年7月、旧関西興銀側の委任状など、根抵当権抹消に必要な書類を東京都内の不動産ローン会社に持ちこみ、旧関西興銀からの借入金返済に充てるとして約1億6000万円の融資を受けたが、旧関西興銀側には返済せずに、マンションに設定されていた極度額3億円の根抵当権を無断で抹消。その後、マンションを売却し、代金約1億8500万円を詐取した疑いが持たれている。
 県警は、元所有者らがマンションの売却益を得るため、転売の障害となる旧関西興銀の根抵当権を外そうと計画し、委任状などを偽造するなどして、ローン会社を信用させていたとみている。また、ローン会社との商談では、旧関西興銀職員を名乗る者もいたという。
 旧関西興銀側が根抵当権の無断抹消に気づき発覚。不動産会社が県警に被害届を提出し、根抵当権抹消に応じた神戸地方法務局明石支局も告発していた。


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