ユーザー本位の商品提供

長期・固定・低利 魅力のローン

 宅建業者自らが直接、住宅ローンの取扱機関に−。ワンストップの利便性を最大限に打ち出した「全宅住宅ローン株式会社」(藤田和夫代表=(社)全国宅地建物取引業協会連合会会長)が10月から業務の全国展開をスタートする。住宅金融公庫の証券化支援型住宅ローン「フラット35」の取扱金融機関として、7月から都宅建協会会員が業務を先行開始。長期・固定・低利に加え、全宅連11万会員のスケールは、ユーザーに大きな安心感を与えてくれる。不動産のプロフェッショナルによる巨大金融機関がいよいよ本格始動する。

会員にも大きなメリット 業績拡大へのチャンス

 全宅住宅ローン会社は7月1日から東京で先行業務をスタート。3ヶ月にわtって、全国展開に向けたノウハウの構築が進められてきた。
 高橋国明総務部長は「全国展開前の助走段階にもかかわらず、既に全国から多くの問合せがきており、期待の大きさをひしひしと感じる」と話す。
 東京都千代田区神田の本店では9月中旬、全国展開のためのコンピューター端末が導入された。これは、住宅金融公庫のフラット35仕様のもので、他の金融機関が専用コンピューターを導入する第1号となった。
 同ローンの魅力は、@長期・固定・低利A銀行にとらわれないローン業務B11万会員という母体の大きさ、という点に集約される。
 同ローンは、会員一人ひとりが、「支店」の役割を果たすため、他の金融機関と比べて経費を最小限に抑えることができる。その分、低金利の設定が可能となり、フラット35を取り扱う約250の金融機関の中でも、最低水準を実現している。
 また、これまで銀行主導で進んでいたローン業務についても、ダイレクトにユーザーと交渉できるメリットがある。銀行を中継しないため時間的ロスも発生せず、物件の紹介・契約からローン業務までワンストップで行える利便性が生まれる。
 更に、日本全国どこでも取り扱いが可能という「スケールメリット」は、会員にとってメリットがあるだけでなく、消費者にも大きな安心感をもたらすこととなる。
 10月からの全国展開に当たり、同ローンをより利用しやすい商品にする取り組みも見られる。
 例えばフラット35の場合、土地と建物が同時貸し出しとなるが、地方によっては、土地を先に決済してから建物を建てるというケースがある。この場合の対応として、同ローンでは、各地方の金融機関と話し合いを進めており、つなぎ融資の協力を得て決算したうえで、フラット35への切り替えができるよう働きかけを行っていくことにしているという。
 高橋部長は、「金利の低さに加え、会員の方々に役立つ形をじっくりと模索していきたい。何よりも使いやすさに重点を置き、一歩一歩確実に、年内にはスムーズな流れを作りたい。会員にとっても、同ローンを利用することは、業績拡大の大きなチャンスになると考える」と意気込みを語る。
 会員にとっては、全宅住宅ローンを取り扱うに当たり、ローン書類をどのように作成すればよいのかという不安があることも事実。この問題の対処法として全宅住宅ローンでは、『様式集』を全会員に配布。ローン書類に記入していく順番をマニュアル化した書式集で、順序通りに進んでいけば完結する仕組みを構築している。
 また、全宅住宅ローン本社は平日午後7時まで、土日も午後5時まで営業している。随時連絡を取り合うことで、ローンの不備、進捗(しんちょく)状況を確認することができる。「少しでも分からないことがあれば、いつでも電話をいただきたい。スタッフが懇切に対応する」(高橋部長)と万全のフォロー体制を敷く。
 今後はフラット35を母体としながらも、更に利用しやすい金融商品を開発していくという将来像が膨らんでいる。

高い人気「フラット35」

 民間金融機関と住宅金融公庫が提携し貸し出す長期固定金利の住宅ローン「フラット35」が好調だ。
 1ヶ月の買取申請件数は、今年に入り5月まで3000〜4000件前後で推移していたが、6月は6857件と大幅増加。7月は6214でやや減少したものの、8月は7136件で過去最高となった。
 取扱金融機関も251機関にまで増えた。
 「フラット35」は03年10月からスタートした。民間金融機関が、あらかじめ定めた公庫の基準にのっとって貸し出した住宅ローンを公庫が買い取り、証券化して投資家に販売する。新築でも中古物件でも金利、融資金額などの基本的条件は同じ。最大8000万円まで、最長35年の借入れが可能。住宅金融公庫は07年4月から独立行政法人住宅金融支援機構に移行する。証券化支援業務と融資保険業務が中心となる。

「全員に喜ばれるローン」
全宅連会長・全宅住宅ローン代表/藤田和夫氏 より

 全宅住宅ローンのポイントについて、藤田和夫代表に聞いた。

 −いよいよ巨大ノンバンクが始動しました。
 「全宅連会員は約11万社。これだけの規模と組織力のある金融機関は、ほかには類を見ない。これに加え、『一生の買い物』である住宅ローンを組むことを考えれば、私たち不動産のプロである宅建業者が住宅ローンを扱うことが、消費者にとっても極めて有益といえるだろう。今後もしっかりと基盤固めを進めていきたい」
 −業務のポイントとなるのは。
 「住宅ローンを組む消費者にとって、最大の注意点は金利ということになる。やはり、長期・固定・低利は最大のメリットであることはいうまでもない。更に、あくまで物件本位で選別なきローンであることが重要だ」
 「住宅金融公庫の証券化支援型住宅ローン『フラット35』の特徴は、融資規制が緩和され、中古住宅も取り扱えることや、金利優遇制度を導入したことが挙げられる。これらの特徴を生かしながら、全宅住宅ローンの魅力をより高めていきたい」
 −研修については。
 「全国約150ヶ所で、住宅ローンを取り扱う際の基礎知識を学ぶ説明会を進めてきた。住宅金融公庫の職員の方にも必ず出席していただき、金融ローン全般の解説をしてもらっている。いずれの会場でも、参加会員の反響が大きいことが非常に心強い。今後も営業活動を踏まえたうえで、より具体的な研修会を進めていきたい」
 −将来像は。
 「やはり、我々の商品は金利が低く、競争力のある消費者に一番いいローンと考えている。そのうえで、消費者に対してより親しみやすい金融機関として、しっかいりと確立していくことが重要だ」
 「会員、消費者、そして全宅住宅ローンの三者が共によりよいかたちで成長しながら、新たなビジネスチャンス創造にもつなげていければと考えている」

消費者の声「優良顧客ほど低利選ぶ」 

 首都圏を中心にマンション分譲・販売を手掛ける興大(東京都千代田区、細川義則社長)は、「全宅住宅ローン」を積極的に利用している。「低金利であることが一番の魅力」と業務部の細川慶隆部長代理は語る。
 「最近のお客様は、物件はもちろんローン商品についても詳しい知識を持っている。その中でこのローンを提案すると非常に喜んでもらえる」(細川氏)。同氏によると、一般ユーザーがローン商品の内容で最も関心を寄せるのが、「金利」だという。「とにかく少しでも低いものを選ぶ。年収所得が高い、いわゆる優良顧客ほど0.01%の金利にまでこだわる」(同)。7〜9月の実行金利が、「フラット35」を取り扱うすべての金融機関の平均金利より約0.24%低い同ローンは、まさにユーザーのニーズに合致した商品といえる。
 また、ローンの進捗(しんちょく)状況を直接把握できることも魅力のようだ。「銀行に任せたままだと、『書類に不備がなかったか』『いつ連絡がくるのか』など、余計な心配をしてしまう。その点、自分たちで管理するので確認作業なども早い」(同)。業務量は以前より増えたが、引渡し日に確実にローンが承認されることを確認できる魅力は大きいという。
 同社は、自社分譲・販売代理を含めると年間約1000件を取り扱う。「すべてに、全宅住宅ローンをまずは推薦する」(同)方針だ。


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