中小不動産会社
ネット営業本格導入始まる


メールとブログに力 〜窓口営業との分離も

 不動産営業にインターネットを本格活用する動きが中小不動産会社の間で広がり始めた。特に、新しく不動産業に参入した新興企業や、業容拡大で支店開設が続くなど順調な業績を上げている企業に目立つ。地域ナンバーワン企業になることが事業成功のカギを握る中小不動産会社にとって、インターネット営業はどんな意味を持っているのだろうか。

 千葉県八千代市の京成線勝田台駅前にある望叶ホーム(佐々木進一 社長)の加山淳司 営業課長は、「昨年ごろから東京の西側のお客様からの反響が増えている。うちのホームページ(HP)を見て、東京都心への通勤時間が短いうえに、家賃が安いということに気付いて問合せしてきてくれる」と話す。
 HPを立ち上げることによって、従来は県内だけだった顧客層が首都圏全域に広がったことになる。同社はHPで、勝田台という街が京成線の特急停車駅であることと、日本橋・大手町に直通の東葉高速線始発駅であること、更には緑が多く、一大ショッピングモールがあること、などをアピールしている。
 「物件を選んでもらう前に、この街に住んでみたいという人たちを増やすことがインターネットなら可能です」という加山課長の言葉が、ネット営業の一つの真髄を表している。

     ◇     ◇

 東京都江東区、地下鉄東西線木場駅前のゼネラル不動産(中野茂弘 社長)は昨年7月、店舗を明るい雰囲気のカウンター形式に模様替えし、女性スタッフによる賃貸営業を新規スタートさせた。木場駅前という好立地に店舗を出せたことが幸いして、客足が伸び順調な業績を上げている。
 今年4月には隣駅の門前仲町にも支店を開設、勢いをつけている。同社の岩渕桂一 常務は、「従来から賃貸は駅前立地という店づくりが最大のポイントだったが、今後はそれだけではだめだ。インターネットによる顧客が欠かせない」としてHP開設の準備を始めた。
 その理由を同常務は、「物件を探す若い人たちがますますネットに成熟してきた。ネットで他社の物件と比較するなど十分な情報収集をした後でなければ行動を開始しなくなっているからだ」と話す。
 現在は、HPのテスト運用をしながらメール対応など専属のスタッフを置いた場合の費用対効果、ソフト開発を自前でするか、外部から購入するかなどの検討を急いでいる。

     ◇     ◇

 インターネット営業を支えているのがHP、メール対応、ブログの3点セットだ。それぞれの役割と補完関係を整理したのが別表である(下記参照)。HPが一般的情報の提供、それに対してメールでの問合せに対応するのがメール対応で、顧客の個人的ニーズが反映されていることが多い。
 例えば、「高齢者がいるのですが、1階の和室は日当りがいいですか」といった具合だ。これに対して「何時ごろまでは日が当たります」などと的確に答えられることがメール対応のポイントとなる。
 更に、最近は社長や営業マンが毎日の体験を日記スタイルでウェブ上に公開するブログが、大きな役割を果たしている。ある物件を案内していたら、顧客から予想もしなかったことを質問されたことや、失敗談などを紹介するものである。
 つまり、顧客にとってより的確な、あるいは身近な情報を提供するのがメール対応やブログの機能といえる。しかし、この3点セットを日々運営していくためには相当の努力が必要になる。「従来型の窓口営業とネット営業の併存はどっちつかずになる恐れがある」と指摘する専門家もいるほどだ。
 そうした中、東京都江戸川区に地盤を持つ夢ハウジング(塀和壮一 社長)は4月、7人体制のネット専属事業部を立ち上げた。同社は城東地区の戸建て事業で急成長し、既に6支店を保有する”元気企業”だ。
 「ネット事業部はまさに、従来の窓口営業とは思想もシステムも異なるネット支店という位置付けになる」と塀和社長は語る。ネット3点セットを駆使するため、プロデューサー(2人)、ディレクター、デザイナー、オペレーター、制作スタッフ(2人)という最強の体制で臨む。
 「メールでの返信は問合せから5分以内、物件確認は毎日3回励行などを実践していくためには、最小限の陣容だ」という。ネット営業の最前線はこのレベルでの競争が始まろうとしている。

物件情報 生活関連情報 住宅ローン/税制 会社の経営理念 メリット/デメリット
HP 概要・間取り
写真
ひと口コメント
学校、買物施設
病院、介護施設
住宅ローンに関する
一般知識
ローン減税の知識
社長のあいさつ 24時間働いて
くれる営業マン
(メリット)
メール 物件の有無や
日当りなどに
ついての問合せ
に対応
学区制などの詳細、
病院の評判などに
関して情報提供
顧客のローン借入れ
可能額
減税手続の注意点
専属社員配置の
コスト
(デメリット)
ブログ 物件案内時に顧客
から聞かれたこと、
エピソードなど
物件の近くにある
レストランの味など、
営業マンが個人的な
感想を披露
転職直後でもローン
を借りることができた
人の事例紹介など
社長が日記で日々、
実践していることなど
を披露
毎日更新しなければ
見てもらえない
(デメリット)



株式会社フジヤ
〒520−0046
滋賀県大津市長等2丁目3−28
TEL 077-525-2233 FAX 077-523-5392