国交省調査 定期借家普及率、5%に
家主の25%が活用 敬遠理由は「理解難しい」

 借家契約のうち定期借家の普及率は5.0%。その内訳は戸建が12.0%、共同建物が4.5%となっていることが国土交通省の調べで分かった。調査は今年3月、事業者、家主、入居者それぞれに対し、各業界団体を通じてアンケート票方式で行われた。4年前の前回調査では普及率は4.5%だった。

 調査では定期借家契約の実績がある事業者は55.0%と過半を占めた。実績がない残り45%の業者でも、その75%は今後活用する意向があると回答した。
 活用内容で最も多かったのは、「転勤など将来住む可能性がある住宅の賃貸」で68.5%を占めた。2位以下は次の通りだった。
 A建て替え・リニューアルの計画がある(51%)、B収入に不安がある者や連帯保証人がいない(21%)、C法人契約などの長期契約(16%)、D学生・留学生、高齢者などとの契約(14%)、Eファミリー向けの広い物件(10%)、F空室対策として家賃を引き下げる(7%)、G人気物件で、更新よりも新規契約または再契約の方が有利(6.5%)。
 一方、定期借家を活用した実績がある家主は全体の25.5%にとどまっている。ただ、まだ活用したことがない家主でも、今後は「場合によっては活用する」が62%を占めた。「活用する考えはない」が33%だった。
 定期借家を今後も活用しない理由は、「複雑で、正確に理解するのが難しい」が42%でトップだった。
 入居者に対するアンケートで、定期借家にした理由では、「気に入った物件が定期借家契約だった」が58%でトップだった。以下は「敷金や礼金などの一時金が安かった」(37%)、「立地や広さが同程度の物件と比較して家賃が安かった」(29%)と続く。
 定期借家契約を結んでいる入居者に、不明な点や疑問点などを尋ねたところ「期間満了後、再契約できるかどうか不安」「長期契約なら更新料などがなくなるので、5年程度借りるなら有利」「制度が複雑すぎる」「普通借家との違いがよく分からない」などの記載が見られた。
 調査は現行の定期借家制度に関する意見も聞いている。それによると、書面による説明義務については、活用実績のある事業者の59%が「負担になっている」と回答。家主にいたっては活用実績のある家主の79%が「負担」と回答している。
 この書面による説明義務が必要か、という問いに対しては「廃止しても支障がない」が活用業者の44%を占めた。しかし「存続すべきである」と回答した事業者は47%となり「支障がない」をやや上回っている。その主な理由は「紛争回避につながる」としている。
 次に、普通借家から定期借家への切り替え(現在は不可)については、事業者、家主、入居者共に「切り替えを認めても支障がない」という意見が大半を占めた。活用している事業主の70%、家主の91%、入居者の86%となった。
 反対に、賃借人の中途解約権(現在は認められている)については、三者間で見方が異なっている。事業者へ全体の57%、活用業者の63%が「存続すべき」と回答した。理由は「中途解約権を認めないと借り手を見つけにくい」としている。
 これに対し、活用している家主の73%が「廃止しても支障がない」としている。理由は「必要があれば、中途解約権の留保を特約で定めればよい」という。
 また、入居者(契約締結者)は「存続すべき」が53%、「廃止しても支障がない」が37%となった。


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