「賃貸居住安定化法案」で署名集まる

〜全国不動産政治連盟 山田守 会長に聞く〜

 国会審議が予定されている「賃貸居住安定化法案」(賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案)の一部修正を求める全国不動産政治連盟(山田守会長)は、このほど全国から12万5千に上る署名を会員不動産業者や家主から集めた。要望する4項目を法案修正や付帯決議の形で反映させたいとして、要望活動に奔走する山田会長に話を聞いた。

−短期間で12万超の署名が集まりました。

 「全国からの署名を持って、11月9日には民主党の企画団体委員会に署名の趣旨説明と共に要望を提出した。自民党、公明党の国土交通委員会の議員への説明も済ませた。多くの議員の先生方が理解を示してくれている」
 「要望事項は、規制対象から一定の小規模な個人家主を除外する、行為規制を客観的基準に基づく禁止行為と位置付ける、滞納家賃の正当かつ迅速な取立ての仕組みを早期に構想する、賃貸不動産管理業法の制定に向けて検討を行うの4項目だ。活動を始めてからわずか1ヶ月間で12万5千もの署名が集まったのも、多くの家主が法案に不安を抱いたからにほかならない。借主と貸主は家賃を支払う約束で賃貸借契約を結んでいるわけで、家賃を払うのは借主の当然の義務。むしろ家賃を払わない入居者を保護することにもなりかねない法案はぜひ修正してもらいたいというのが要望の趣旨だ」
 「民間賃貸住宅は85%が個人所有で、このうち60歳以上の高齢家主が6割を占めている。法案がこのまま成立すると、家主が賃料を集金するという正当な権利を阻害する事態が想定されるうえ、貸家収入で生計を立てている小規模家主の生活に支障を及ぼす懸念もある」
 「悪質な家賃の取立て行為は当然、規制されてしかるべきだ。だが近年、社会問題化したのは保証業者など一部の悪質業者が行った取立てであって、家主全体に取り立て規制の網をかけることには疑問が残る。更にいえば、督促を含む通常の家賃の取立ては集金業務の一環。この集金業務と脅迫まがいの取立てが混同されることも心配だ」

−悪質な取立て行為が問題になった一方で、悪質な滞納者の存在も指摘されています。

 「人に不安を生じさせるとして禁止対象とされる『威迫(いはく)』の取立て行為についても、どのような行為で不安を生じるかは個人の主観に係る問題だ。家主が通常の方法で滞納家賃などを督促したにもかかわらず、当面の督促を逃れるために『威迫』行為を楯にとって警察に通報するなど、悪質なケースでは法律を悪用する恐れすらある。禁止行為については具体的な内容を客観的な基準で明確に定めるべきだ」
 「今回の法案は、家賃を払えないあるいは払わない側の観点で策定されたきらいがある。公平さという法の原則からすれば、借主と家主双方の立場で問題をとらえて、法制化することが望ましい。家主が滞納問題を解決するには、長ければ退去に至るまで1年近くも手続きに時間を要したり、弁護士費用など別途経費も必要とされる。悪質な家賃取立てを規制することに加えて、滞納を迅速かつ容易に解決する家主の実情を踏まえた仕組みも必要とされている」
 「賃貸管理業はまだ業法自体が確立されておらず、法規制のない状態だ。本来なら今回の規制を導入する前に整備されるべきだが、業法を新たに定め業者に対する指導、監督を行う体制を送球に作ることが必要だ」


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