目的に応じた効果的なリフォームの仕方


 新築の建物でなくても、健康で快適な住宅は手に入れることができます。いえ、むしろリフォームの方が手に入れ易いのかもしれません。なぜなら、都合の悪い所を直し、良い所をより良くするのがリフォームだからです。一つ一つの事項を実際に目にしながら、具体的に手に入れることができるからです。高気密・高断熱、シックハウス問題、ユニバーサルデザイン、耐震などは新築に限らず、リフォームでも現実的な課題なのです。


構造と快適性がリフォームの基本


 浴室の入口部分の木部や雨漏りの原因になる部分の具合が悪くなっているのを、何かのきっかけで見つけることがあります。こんな場合、とにかく早めに手を入れる必要があります。これを機会に専門家に相談し、構造的にチェックして、安心して住むことを考えてみてはどうでしょうか。リフォームで最も重要な点は、構造的に安心できるということです。
 構造的に傷みやすい部分は、浴室、洗面所、トイレ、台所等の床部分など水廻り部分、雨漏り部分、玄関外回りです。
 耐震に関しては、現在では各地方の行政庁が、耐震診断を無料で行っている所が多いはずです。それを活用するのも一つの手です。
 具体的な方法としては、傷んでいる部分の修理、補修、取り替え(雨漏り部分の修理)、耐震補強(筋交い、耐力壁の追加、柱と土台接続部分の補強、追加)など。できる限り手を入れることが大事です。床下の防湿対策、断熱、気密をしっかり確保することも次に大きなことです。
 構造的に安心となれば、健康・快適さを求めやすくなります。自然光、特に冬の陽射しと夏の風通しを考えます。現在の問題点を洗い出し、構造的に劣化させないのが原則です。トップライト、サイドライト、いろんな開閉式の窓を検討し、採用します。今は多種多様ありますので、じっくり考えましょう。
 構造というのは、実際壊してみないと分からない部分が多いものです。ということは費用も分かりにくいということですが、ここは特に大事ですので十分に予算をとることが大事です。他のこと(化粧し直し等)は予算に応じて対応する、ということを工事前に考えておくと、予算オーバーになりがちなこの項目では役に立ちます。


高齢者にも優しいリフォーム


 畳床をベッドを置くのに適した床材に替えたり、床をすべりにくい材質の床材に変更したり、床の段差をなくしたり、手すりを必要な所に取り付けたり、開き戸を使いやすい引き戸に取り替えたりというのが、高齢の方をはじめすべての人に使いやすく優しいリフォームの項目です。
 少し古い住宅では、ユニバーサルデザイン(誰にでも優しいデザイン)の考え方がなかなか浸透してきませんでした。和室の床が中途半端に上がっていたり、狭い所にドアが重なり合ったりしている家が普通でした。それら、使いづらい所を改善します。
 ある程度、段差のある所に手すりを設置します。まずは玄関。どっこいしょと立ち上がったり段差の足を運ぶ部分にしっかりした手すりを付けましょう。また、ベンチ的な所を作るとより優しい使い方ができます。靴を履く時に楽になり、普段は飾り棚、荷物置きにもなります。階段がある場合には、手すりは必ず付けておくべきです。
 ドアも引き戸に替えると部屋が広く、使い勝手も良くなることが多いものです。今では良い既製品の金具があり、割に簡単に取り替えられるようになているものもあります。
 浴室なども床の段差があったり、すべりやすい所には手すりが有効です。トイレなどの体の上下の動きのある部分にも手すりがあると安心です。
 段差のある床は、すべての床をできれば段差のない床にしたい。やむを得ない場合にはスロープ状にして、段差解消部材を使用して段差をなくすようにしたいものです。床材も、すべらない、つまづかない、手入れの楽な材が良いでしょう。色もまぶしすぎないもの、汚れの目立ちすぎないものを検討します。これらの工事には、公的介護保険を使えるものがあります。介護保険窓口で事前に相談すると良いと思います。
 


水廻りのリフォーム


 リフォームで最も要望の多い部分といえばやはり水廻りです。水が関係する傷みやすい所という理由もありますが、頻繁に機器類のモデルチェンジが行われるモノの進化の激しい部分でもあります。
 キッチンでいえば、システムキッチンからリビングキッチン型へと、キッチンがダイニング・リビングへどんどん進出してきています。これはレンジフードなどの設備機械の発達で給排気がきっちりできるようになったということと、キッチンで一人で作業するより、みんなの中で作業をしたいという気持ちの表れです。キッチンそのものも日進月歩で、リビングに置いても違和感の全然ないものも出てきました。
 浴室では、入口の床の段差をなくす工夫と入口の扉の形状が重要です。できれば引き戸形式で広めの幅を取りたいものです。最近では、既製品も良いものがどんどん出ていますし、浴室をユニットバスにすという手もあります。工期も短くて有利ですし、2階への設置も楽になります。手すりや乾燥暖房換気扇などのオプション設定も、かなりの種類があります。
 トイレも壁、床を含め、まるごとセットでリフォームできるものもあり、器具も温水洗浄だけでなく自動でフタの開閉から自動洗浄まででき、室内暖房付きのものまであります。どの機能が必要か、じっくり検討することが大切です。
 洗面所も多種多様で、収納が充実したというものから湯沸かし内臓タイプ、洗面ボールの高さを変えられるもの、自動水栓付き、車イス対応のものまで、決めかねるほどです。
 水廻りのリフォームの内装については、水にある程度強く、手入れのし易い素材を使用し、換気をよくすることが重要です。


汚れ・傷など古さをリフォーム


 外壁が古びてきたら、室内の床が傷つき汚れてきたのでそろそろやり替えを、といったリフォームが、水廻りと同じぐらい多いのではないでしょうか。
 床の張り替えであるならば、床の下地や断熱材の施行がしっかりしてるなら、古い床仕上材の上に新しい床材を張り増すことを考えます。この場合、塗装で見違えるほど良くなることもあります。ここでの注意は床の高さが多少高くなっても良いかをチェックすることです。玄関の上がり框部分、和室との段差、階段、掃き出し窓など段差のある部分です。高くできない場合は、床材を取りはずして張り替える方法か、塗材でのリフォームを検討した方が経済的です。部屋の使い方、目的に応じた床材を考えてください。水に強いものが良いか、すべらないのが良いか、汚れに強いものかといったことです。
 壁の仕上材も考え方は同じです。構造的に心配なければ、壁自体のつくり替えはしなくて良いはずなので、塗り替えが一般的です。水廻り部分、雨漏りの跡のある部分は専門家のチェックがあると安心です。壁材の薄さによっては既存壁の上から新しい壁仕上材を張ることもできます。その場合、窓やドアの木枠の出寸法に注意が必要です。
 天井は傷もつきにくく、汚れも少ないので、再塗装、既存仕上材に塗装、または下地材は再利用して仕上材を変更するのが普通です。現在は臭いの出にくい水性塗料が一般的で、これはクロスやビニールクロスの上からでも塗装が可能です。
 屋根、外壁のやり替えは、どちらも構造的に支障がないかをできれば専門家にチェックしてもらい、問題があれば補修、補強します。いずれにしても足場をかけなければならない工事ですので、一度にしておくと経済的です。


家族構成の変化によるリフォーム


 子供が大きくなってから、あらかじめ子供室を区切るように計画してあれば実行します。そうでない場合には、通風採光、設備的な配置(スイッチなど)、入口の関係や動線などを考慮し、区切ります。
 いずれの場合も、将来また、もとにもどす可能性をふまえて、区切る方法や材料を決めます。例えば、ちゃんとした壁で区切る方法と大きな建具を壁と見立てて区切るやり方(建具が動く形式と動かない形式)などです。将来はすべての子供が家にいるとは考えられないので、十分に考慮する必要があります。
 寝室も、年と共に変わった方が良い場合もあります。夫婦は同じ部屋だが、両端コーナーで分かれて休みたいとか、収納部は共用するが別の部屋の方が良いとか、夫婦別室もごく普通のこととなりました。空いた子供室をもう一つの寝室にする、書斎に模様替えしたり、それぞれの個室にするなどが考えられます。それに伴って、水廻り(特に浴室、トイレ、洗面所)をリフォームすることも考えましょう。年を重ねれば、それなりの使い勝手がありますし、そろそろ介護のことを考慮に入れる必要があるかもしれません。
 また、年を重ねれば身の回りの必要なモノも少なくなるでしょう。気に入ったモノだけにこだわった生活の方が、モノに囲まれすぎた生活よりも豊かで、はるかに充実した生き方だと思われます。
 終(つい)の棲家(すみか)と考える場合、水廻りのいっそうの使いやすさと安全、心休まる仕上材と空間、色づかいが大切になります。玄関は小さめ、コンパクトでありながら使いやすいキッチン、豊かな空間のダイニング、リビング、安眠の約束された寝室。すべての部屋を風が通り抜け、冬には日光が入り、体に優しい仕上材でまとめるなど、リフォームは理想の家に限りなく近い家になるはずです。


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