白馬山麓花紀行

 今年の夏山は何処へ行こうか考えたが、結局最近よく訪れている、白馬のペンションぼくんちさんが企画された「唐松岳フラワーウォッチングツアー」に参加することにした。このコース、今年の3月に山スキーのコースとして登った全く同じコースだ。白銀の世界から花の咲く夏山のコースと全く対照的な季節に同じコースを歩くこととなった。
 3日は、夕刻までにペンションにチェックインすればいいだけなので、せっかくならば、去年7月雨で十分花を見られなかった栂池自然園にも立ち寄ろうと夜行発にして日本海まわりで白馬に入ることにした。

【日 時】 2003年8月3日(日)〜8月5日(火)
【行き先】 白馬栂池自然園、八方尾根から唐松岳往復
【メンバー】 シャラ単独
      8月4日、5日の唐松岳往復については、ペンションぼくんちが企画された
      「唐松岳フラワーウォッチングツアー」(参加者13名)に参加したもの
★8月3日(日)
【コース】 白馬駅−栂池ゴンドラ−山上駅ー栂池ロープウエイー栂池自然園ー園内散策ー山上駅ー栂池バス停ーペンションぼくんち
【天 気】 晴
【コースタイム】
  白馬駅         7:48
  栂池ゴンドラ始点    8:30
  栂池自然園      10:00
  栂池自然園散策    10:15〜14:00
  栂池バス停      16:00
  ペンション着     16:30

  
※植物の写真は、クリックで拡大します。

 夜行の急行きたぐには、日付が変わる頃京都駅を発車した。指定席(寝台)がとれず、自由席に座れるか心配だったが、なんとか座ることができた。しかし、眠ったのかどうかよくわからないうちに、夜が明けた頃糸魚川駅に着いた。ここでローカルな糸魚川線に乗り換えて南小谷駅へ。さらにここで乗り換えて白馬駅には7時48分についた。車窓から白馬連山も綺麗に見えて、天気もまず良さそうだ。

  

 白馬駅で洗面をすませ、バスで栂池のゴンドラ乗り場まで行った。去年雨で十分花を見られなかった栂池自然園の花をゆっくり観察することが今日の日程だ。ゴンドラに乗って栂の森駅まで行く。ゴンドラからも白馬の山々が綺麗に見えている。冬場だとゴンドラでここまでだが、夏場はさらにロープウエイで栂池自然園まで行ける。

  

 ビジターセンターが園の入口となっており、ここで入園料を払って入る。今日は日曜日でもあり、天気もいいのでほんとに多くの人が入っているようだ。特に団体さんが列をなして歩いているのにはまいってしまう。入ってすぐ、黄色のニッコウキスゲ、オタカラコウ、白いワタスゲ、モミジカラマツ、紫のヒオウギアヤメ、タテヤマリンドウ赤いシモツケソウ、クルマユリ等々の花が出迎えてくれた。

      

 しばらく進むと、去年も出会っているキヌガサソウ、オオバタケシマラン、クロツリバナの花にも再会することができた。去年は雨でこれらの花の写真がうまく撮れなかったので、今年はゆっくり時間をかけて撮った。昨年はワタスゲ湿原までだったが、今年は、楠川を渡って最深部の展望湿原まで歩いた。

    

 その近くには、ハクサンコザクラの群生地があったが、花が終わりかけで歩道の近くにうまく咲いてなかったので、思うような写真が撮れなかった。この湿原は思ったよりも広く、最深部から入口に戻るのにも時間がかかった。帰り道、白いミツバオウレンとツマトリソウの花を撮り、楠川の近くに真黄色のミゾホウズキの花を見つけこれも写真に収めた。

      

 やっと入口まで戻ってきた。半袖、半ズボンで歩いたので、日に当たるところが焼けてしまって後悔した。この湿原、ほんとにたくさんの植物が見られるいい湿原だった。もう少し人が少なければさらにいいのだが。花の最盛期にそれは無理な注文だ。帰りのロープウエイも沢山の人が並んでいるので、栂の森駅まで林道を歩いて下り、そこからゴンドラに乗った。この間いそいで45分くらいかかった。日差しが厳しかった。下のバス停からはちょうど夏場運行のシャトルバスがあり、今日の宿のペンションの近くで停まってもらい、予定通り4時半頃ペンションに到着することができた。

★8月4日(月)
【コース】 ペンションー黒菱平駐車場ー八方池山荘−八方池ー扇雪渓−丸山ケルンー唐松岳頂上山荘ー唐松岳頂上ー唐松岳頂上山荘
【天 気】 晴れ曇り 
【コースタイム】 ※コースタイムは花の観察時間を含んでいるので、一般登山タイムの参考とはなりません
  ペンション      7:30
  黒菱平駐車場     8:00
  八方池山荘      8:30
  八方池       10:50
  扇雪渓       12:15〜13:10
  丸山ケルン     13:55
  唐松頂上山荘    15:15〜16:40
  唐松岳頂上     16:55
  唐松頂上山荘    17:30

  
※植物の写真は、クリックで拡大します。

  

 今日明日は、いよいよペンションぼくんち企画の「唐松岳フラワーウォッチングツアー」に出発だ。参加者は13名。朝食を済ませ、7時30分、藤井さんの車で黒菱平の駐車場へ。リフトを2台乗り継いで、登行の出発は、3月の山スキーのときと同じ八方池山荘前となった。8時30分。
      

 さすがに花の最盛期とあって、花の種類にはことかかない。歩き始めて次から次へと色とりどりの綺麗な花が現れる。中でも、ユキワリソウ、ハッポウタカネセンブリは、初めてお目にかかるかわいい花だった。

  

 花を観察しながらの登りは、かなりのスローペースだ。八方池まで2時間20分が経過している。ここから白馬三山が綺麗に眺められる。天気はいいのだが、それほどの暑さは感じなくて心地よい風も吹いてくる。

     

 八方池付近にはたくさんの人たちが休んでいる。やはりシーズン中ということで、月曜日とあってもかなりの人が入山しているようだ。ただ、昨日の栂池自然園のような団体さんは少ないようだ。

     

 昼食場所となったのは、扇雪渓という場所で、名のとおり、まだたくさん雪が残っていた。この近くにはコキンレイカ、オオサクラソウ、オオヒョウタンボク、ウラジロナナカマドなどが見られたが、特にオオサクラソウは、ハクサンコザクラを大きくしたようで綺麗だった。歩道から近くの個体数は少なかったが、なんとか1枚綺麗に撮れた。シラネアオイも何株かまだ残っていた。

    

 腹ごしらえをした後、丸山ケルンに到着。3月の山スキーで、スキーをデポした地点を通過する。さすがに高度も上がってきて少しきつくなってくる。花もミネズオウやアオノツガザクラ、ヒメイワショウブ等細かくて小さなものにかわってくる。歩く道も狭くなり、トラバースしながら鎖場をこえて行くと唐松岳頂上山荘のサイドから山荘へ到着した。3月の積雪期には山荘のかなり上方に出た記憶がある。冬場と夏場では道も違うようだ。

    

 3時15分に山荘着。ビールとおつまみを出し合って、みんなで乾杯して休憩の後、本日天気が良いうちに頂上を踏むことになった。3月の時はあれほどきつかった頂上への登りは、空身とはいえ15分強であった。頂上からの眺めも素晴らしく、剣岳の方向はガスっていたが、白馬岳や五竜岳方面はガスの間から視界が開けていた。頂上から今日の一日を感謝する。山荘に下ってくると野鳥が餌をもらうためにいた。イワヒバリとのこと。

   

  

山小屋では、男性は6畳に6人となり快適だった。7時過ぎにはみんな床についた。夜中にはかなり雨が降ったようだ。

★8月5日(火)
【コース】 唐松岳頂上山荘ー丸山ケルンー八方池ー八方山ー八方池山荘ー黒菱平駐車場ー白馬駅ー糸魚川駅ー自宅
【天 気】 曇り
【コースタイム】 ※コースタイムは花の観察時間を含んでいるので、一般登山タイムの参考とはなりません
  唐松頂上山荘     7:25
  丸山ケルン      8:20
  八方池       10:15〜10:40
  八方山       11:05
  八方池山荘     11:50
  黒菱平駐車場    12:15
  白馬駅       15:35

  
※植物の写真は、クリックで拡大します。

  

 朝方は夜中の雨もやんでいる。日の出の後、ガスもとれて剣岳方向も見えるようになった。少し寒いようだ。朝食が6時30分からと遅かったので、出発は7時25分となった。それでも今日は下るだけなので最初のトラバース道だけ通過すれば後は楽勝コースだ。ところが天気は昨日と同じだろうと思っていたが、丸山ケルンを過ぎる頃から雨が降り出し、かなり本降りとなった。

  

 扇雪渓のあたりで、きのう撮りたらなかった花を撮りたかったのだが、その辺りが雨が一番ひどかった。それでも雨は1時間くらいでやみ、八方池に着く頃には陽も出てきて暑くなってきた。

  

 名残おしいので、この辺りで白馬三山の最後の写真を撮り、残ったフィルムで最後の花を撮り、11時50分頃には八方池山荘のところまで下りてきた。やはり下りは速かった。
 黒菱平まではリフトで、そこからは車でお風呂のところまで送ってもらい、入浴後再び白馬駅近くの食堂まで送ってもらった。食後駅でみんな解散となった。私はまた同じ日本海ルートで家路についた。

 2日間、白馬の夏の花を堪能した。コースもそれほど厳しくなく、夏山の素晴らしさと、高山植物とを同時に求めるのに良いコースだと思った。今回オオサクラソウ等々初めて出会った花も多く、オプションの栂池自然園も含めて3日間ほんとに素晴らしい夏の山と植物に出会えたことに感謝したい。

*八方尾根から唐松岳のGPSトラックログは下記のとおり。