仙丈ヶ岳ご来光山行
【日 時】 2005年8月7日〜8日
【行き先】 南ア 仙丈ヶ岳
【天 気】 晴曇り
【メンバー】 平井さん、首藤さん、シャラ

【コース・タイム】
7日  仙流荘          8:10
    北沢峠    9:00
  9:15
    大平山荘         9:30
    滝見台   10:45   11:05
    馬ノ背ヒュッテ 12:40 13:25
    馬ノ背    13:35  13:50
    仙丈小屋        14:35
8日  仙丈小屋       4:00
    仙丈ヶ岳頂上  4:25  5:25
    仙丈小屋    5:45  6:45
    小仙丈岳  7:50  8:40
    大滝頭     9:30 9:45
    三合目         10:15
    北沢峠    11:30
 13:00
    仙流荘         13:50
※コースタイムはゆっくりめです。(特に7日の北沢峠から馬の背ヒュッテまでは花を見ながらの登りのため。
〈プロローグ〉
 地元で自然観察やハイキングを楽しむ会のメンバーで一度夏のアルプスを歩いてみようという案がまとまり、私が企画することになった。このコースは、3年前の夏に甲斐駒と併せて登ったコースであるが、あいにく頂上からの眺望がダメだったので、何時かもう一度登ってみたいと考えていたし、特に仙丈ヶ岳には頂上直下にこぎれいな山小屋があり、ここに泊まってご来光を仰ぐのは、山の初心者向けにとても良いコースでないかと考えていた。それで、このコースを含め、前日は信州の高原ドライブを入れた企画で誘ったが、結局3名しか集まらなかった。それでも、天気はまずまずよさそうなので、3名で予定通り出発した。
 前日は、南アルプスの西の入口である仙流荘に泊まり、今日ここから8時05分発の長谷村営バスで北沢峠へ入ることにした。バス停には既にたくさんの登山者が待っていた。私達は2台目に乗車できた。このバスに乗るのは何回目だろうか。運転手さんは、いつもの通り運転をしながらいろいろガイドをしてくれる。珍しい花の咲いているところでは停車して説明してくれる。北沢峠まで退屈しない。ただ鋸岳や甲斐駒はガスがかかっていて何も見えなかった。
 バスは予定どおり9時に峠へ到着した。標高2,000mだけあってここはかなり涼しく、快適だ。バスの乗客はいつのまにかみんなそれぞれの目的に動いたのかいなくなってしまった。時間的な余裕があるといってもわれわれもそろそろ出発しなければならない。
 今日の予定は藪沢コースで馬の背から仙丈小屋まで。峠から一端大平山荘までくだる。3年前はこの山小屋を起点に2山を登った。あのとき仙丈ヶ岳への登りは夜明け前の暗いうちにヘッドランプをつけて出発した記憶がよみがってくる。大平山荘の前を通ったがこの時間では閑散としていた。
 3年前は暗かったので気が付かなかったのだろうが、大平山荘から藪沢までの登りはけっこうきびしいものがあった。ただ珍しい花もみられた。後で調べたところ「コイチヨウラン」「キソチドリ」両方ともラン科の植物。紫の花は、「コウシンヤマハッカ」という花だった。藪沢へ出てからは登りも緩くなりすこし楽になってきた。このコースにも前回見たと同じたくさんの花がみられた。
 さらに進んで行くと、藪沢からはずれ馬の背への登りとなる。そして馬の背ヒュッテの手前から3年前と同じく、「マルバダケブキ」の群生が現れる。ヒュッテで仙流荘でつくってもらった弁当を食べる。ここまでかなり時間がかかっているが、仙丈小屋まではあとわずかだ。
 馬の背を過ぎると風景が開けて前方に仙丈ヶ岳のカールと仙丈小屋が遠くに見えてきた。あいにく少しガスがかかっている。前回右手の後方遠くに北アルプスの山並みが見られたのだが、今回は全然だめだ。とにかく明朝の天気が今回の山行の一番のポイントである。明日に期待しよう。
 最後に仙丈小屋までの登りを一期に登った。さすがに3,000m近くの高度になって涼しさが増してきた。時刻は3時少し前。小屋の前で今日の宿泊者がNPOの方から、仙丈ヶ岳の自然保護活動について説明を受けていた。この小屋は風力発電や浄化槽を装備した水洗トイレを整備していてなかなかハイテクな山小屋だ。そのためか日曜の夜なのに結構な宿泊者だ。布団2枚のスペースに3人といったところだった。夕食はハンバーグ定食。シンプルだったがおいしかった。19時半に消灯。明日の天気を期待して眠った。
 23時に一度目が覚め、次は日が変わった1時にまた目が覚めた。なかなかそれ以上は寝られず、トイレに行ってみた。夜空は満天の星だった。ご来光は期待できそうだ。3時半までの時間が長かった。とても熟睡できるような感じでなかった。4時になってご来光を仰ぎに頂上へ向けて出発した。25分で頂上着。たくさんの人たちとご来光を待った。雨合羽の上を羽織ったが、それほど寒くはない。
 頂上で待つこと35分。ちょうど5時に、東方アサヨ峰の横からご来光が登った。この瞬間を見るために今回の山行を企画したのだ。また、南東方向には北岳とその後ろには富士山が雲海の上に頂上を出している。日本の第1峰、第2峰を一度に望める幸せにひたった。頂上と北岳をバックに写真を撮ってもらった。北岳の写真は逆光となったが、後ろ遠くに富士山が小さく写っているのが嬉しい。
 頂上でご来光をゆっくり楽しんでから下った。一番の目的を達成した喜びは大きい。山小屋で遅い朝食をいただいて、小屋をバックに記念写真を撮ってもらうよう頼んだら、撮影ポイントが決まっているようで、カメラマンは一階へ、我々は2階(この山小屋は2階が玄関)へと動くよう指導された。
 記念写真も撮っていただいたので、いよいよ我々も山小屋を出発することにした。頂上を通らずカールをトラバースして小仙丈への尾根道に通ずるルートを選んだ。一晩お世話になった山小屋が眼下になって、道を巻いていくと頂上からの眺めがもう一つだった北アルプスの山並みが綺麗に見られるようになってきた。
 穂高の連山も眺められ、2週間前に登った槍ヶ岳のとんがりもはっきりと見える。さらに進んでいくと今度は前方に甲斐駒とそれに続く鋸岳が堂々とした山容を見せてきた。その後ろには八ヶ岳のシルエットまで見えてきた。
 そしてさすがに富士山は見えなくなったが、右手には北岳と間ノ岳、どちらも3,000m超の山並みだ。今歩いてきた道筋を振り返ると仙丈ヶ岳とそのカールが続いていた。まさに山歩きをして一番楽しい瞬間だ。
 今日仙丈小屋を出発して約1時間で小仙丈ヶ岳に到着した。ここからの眺めも素晴らしい。最後の記念写真、甲斐駒と仙丈ヶ岳をバックにしてそれぞれ撮ってもらった。天気が良いので素晴らしい写真が撮れた。
 最後の最後に前方にそびえる甲斐駒を写真に収めると山の風景は見えなくなった。この下り道は石がごろごろしていて歩きにくく膝にはあまりよろしくない。時間はたっぷりあるので、ゆっくりとくだった。5合目の大滝頭に9時半。北沢峠には11時半に下りてきた。13時のバスにゆっくりと間に合った。
〈エピローグ〉
 
今回の企画は地元の仲間を誘って藪沢の花と頂上からのご来光を仰ぐ事だった。前日までの天気は決して快晴とまではいかなかったが、問題の今日の日が一番良くて、ご来光もバッチリだった。素晴らしい天気と目的を達成できたことに感謝したい。同行してくれたお二人も満足してくれたと思う。
  この山行で出会った花たち
キソチドリ コイチョウラン ココメグサ
コウシンヤマハッカ クロクモソウ マルバダケブキ
ミソガワソウ セリバシオガマ シナノオトギリ
ソバナ タカネビランジ タカネグンナイフウロ
トモエシオガマ ウサギギク ヨツバシオガマ