槍ヶ岳弾丸山行 | ||||
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【日 時】 2005年7月24日〜25日 【行き先】 北ア 槍ヶ岳 【天 気】 晴曇り 【メンバー】 シャラ単独 【コース・タイム】 24日 上高地バスターミナル 7:20 明神館 8:20 徳沢園 9:20 横尾山荘 10:30 槍沢ロッジ 12:00 12:30 天狗原分岐 14:30 ヒュッテ大槍分岐 15:30 槍ヶ岳山荘 16:50 25日 槍ヶ岳山荘 4:40 槍ヶ岳頂上 5:00 槍ヶ岳山荘 5:45 6:50 ヒュッテ大槍分岐 7:40 天狗原分岐 8:30 8:40 槍沢ロッジ 9:55 10:05 横尾山荘 11:15 徳沢園 12:40 明神館 13:35 上高地バスターミナル 14:20 |
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〈プロローグ〉 何時か「さわやか信州号」を利用してあと1泊は山小屋利用で槍をやろうと決めていた。それが今年となった。23日の土曜日は午前中仕事が入っていたが代わりに25日の月曜日に夏休みをもらって念願の槍にトライすることを決めた。コースは必然的に上高地より槍のピストンとならざるえない。帰りは松本までバスで出て、特急「しなの」と名古屋から新幹線に乗り継ぎ帰宅することとしていた。囲炉裏の山行報告でこのコースを調べてみたが、意外と過去の例が少ない。きっと囲炉裏の人はこんな単調なコースを行かないのだろう。サッカーの弾丸ツアーみたいに行程が忙しくてあまりおもしろくはないのかもしれない。しかし、時間を節約して槍のみを目指すのであれば、このコースがベストではないだろうか。 初めて利用する「さわやか信州号は、京都駅23時ということだったが、実際20分以上遅れた。その上、国道158号線の土砂崩れのため、上高地到着が1時間遅れるとの知らせがあった。このことは帰りのバス時間の件で松本電鉄に問い合わせた時にきいていたが、「さわやか信州号」はコースが違うから大丈夫との返事だった。帰り上高地から松本行きのバスは、土砂崩れのため、白骨温泉と乗鞍高原を経由するとのことだったが、行きも同様のコースをとるようだ。 さらに、このバスに乗ったとたんえらく暑いなと思っていたら、「冷房が効いておりません。 ラジエーターが凍っており、次の大津インター休憩時に霜取りをしてなおします。ご迷惑をおかけします。」とのアナウンス。さらにリザーブされたシートNOが4B、隣の席の方は無口な方で、上高地まで一言も話さなかった。そんなこんなで暗雲立ちこめる出発となってしまった。 「さわやか信州号」は、6時前に乗鞍高原のいがやスポーツセンター駐車場に到着した。ここで低公害のバスに乗り換えるようだ。この乗換時に乗鞍岳の方向を見たら、なんと頂上まですべて見渡せる素晴らしい眺めだった。これで出発時の暗雲が晴れてくれればいいのだが。 |
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そして、約1時間かかってバスは白骨温泉経由で上高地バスターミナルに到着した。すぐ出発といきたいところだが、帰りのバス、15:15分発、新島々経由松本行きのチケットを買っておかなければならない。このバスに乗らないとその日のうちに家に帰れなくなってしまう。整理番号1番をゲットした。これで、明日発車時刻の10分前までにここに下りてくればよい。 | ||||
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さていよいよ出発できる体制が整った。出発時刻は予定より1時間遅れの、7時20分となった。急がねばならない。この時間になるとこの夏の上高地にはもうたくさんの人出がある。さすがに夏の観光地といったところだ。しばらく歩くと河童橋に出る。昨秋紅葉を見にこの辺りを散策したことを思い出す。 | ||||
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あのときはこの辺りから見た焼岳が綺麗だったが、そういえば今日は見られない。天気が心配だ。小梨平のキャンプ場を突っ切って平坦な道を気持ちよく歩いて行くと約1時間で次のポイント明神館に着く。小休止をする。 | ||||
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この辺りの道は、平坦で高度は全く稼げない、ということは後で厳しい登りが待っているのだろうか。道の左側は梓川であるが、水は少ないようだ。それでも水の冷気が漂ってきて涼しさを感じる。今日はそんなに暑い日ではなさそうだ。 | ||||
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さらに進んで行くと梓川が左に曲がっていき、川越しに蝶、常念方向の山が眺められる。小高い山も見られるが、山の名前がわからない。1時間で氷壁の宿と前置きのある「徳沢園」に着く。ここでたくさんの人が休憩しているが、私は急がねばならない。 | ||||
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このあたりは1時間置きに次の休憩ポイントが設定されているようだ。ぴったり1時間で横尾山荘前に到着。ここは要衝の地。真っ直ぐ行くと槍へ。左に横尾谷に沿って行くと涸沢へ。右に行くと蝶、常念への登山道となる。 | ||||
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ここで小休止をし、横尾の標識のところで写真を撮ってもらった。そんなに暑くはないのだが、紫外線はきつそうだ。サングラスでちょうど良い明るさだ。そんなにここでも休めず勿論標識を真っ直ぐ進んでいく。 | ||||
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一時間半かかって次のポイント槍沢ロッジに到着。ここまでもほとんど高度は上がらず歩きやすい道だった。しかも沢つたいであるためことのほか涼しい。お腹がすいてきたと思ったらちょうど12時になっていた。どうりでみんなここで食事をしているはずだ。私もここでお昼にした。といってもあまり時間がないので、30分ばかりの休憩をとった。 | ||||
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ここからやっと少し高度が上がって行くような感じだが、まだたいしたことはない。途中こんなところと思う場所にキャンプ地があり、何組かがキャンプをされていた。やがて東鎌尾根への取り付き口、水俣乗越の分岐点にさしかかり、遠くの谷には雪渓らしきものが見られるようになってきた。 | ||||
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さらに進んで行くと本格的な雪渓の道に出てしまった。おそらく、今年多かった雪が登山道を一部ふさいでしまって雪渓の道歩きとなったのだろう。アイゼンがいるほどでもなく、かえって変化があり足下からの冷気も嬉しい。上から何組かのグループが雪渓道を下ってきた。山スキーがあれば下りは楽だろうかと頭をよぎった。 | ||||
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雪渓の道を外れてまた土の道をしばらく進むと天狗原への分岐の標識のあるところへ到着した。さすがにこの辺りからかなり高度が上がってきて厳しい道行きとなってきた。前方の山並みもガスっていて遠望はきかない。雨が降ってないだけありがたい。 | ||||
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さらに厳しい登りが続いていく。道は完全に岩と石の道にかわってきた。昨日の夜行バスでの睡眠不足がここにきてボデーブローのように効いてきた感じだ。歩くペースもかなりダウンしてフュッテ大槍への分岐標識のあるところまでたどり着いた。槍まであと1.25KMとの表示がある。 | ||||
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最後のジグザク急坂の道はかなりバテバテとなり、時間もかかってしまった。それでもなんとか今日の目標の槍ヶ岳山荘に5時前に到着することができた。山荘は思ったよりすいていて、部屋は2段ベッドの下だけの使用だった。夕食はこんなものかといった感じであった。疲労困憊で食欲はなかった。 | ||||
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少しは睡眠の後、3時頃外の様子が気になって出てみたが、ガスっていて小雨が降っている様子だった。これでは目的の御来光はあきらめるしかないかなと思ってまた部屋に帰って眠ってしまった。1時間くらいウトウトしただろうか、「ガスが晴れてきた。素晴らしい眺めだ。」との声が聞こえて目が覚めた。 | ||||
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あわてて外に出てみると、すでにたくさんの人が外にいて景色を眺めていた。ガスは晴れていて辺り一面すごい雲海状態となっていた。御来光は未だなのかもう昇ったのか時刻もわからないままとにかく槍の頂上へ登ることにした。 | ||||
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朝一番でまだ体が思うように動かないが、とにかく気合いで登った。ハシゴが3カ所くらいにあり、恐いといえば恐いが、3,180Mの頂上を好天の中で踏めるという喜びの方が大きかった。既に下りてくる人もいたが、渋滞することなく20分もかからずに頂上を踏むことができた。 | ||||
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頂上から周囲の眺めはさすがに素晴らしかった。御来光は少し昇ったところだった。とにかくすごい雲海だ。雲海から顔を出しているのは、前方の穂高連山とその右手後方の乗鞍岳、さらにその後方遠くの御岳山くらいだ。こんなにすごい雲海に出会ったのは初めてだった。 | ||||
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頂上では、3,180Mの標識を持って、穂高連山をバックに写真を撮ってもらった。こんな写真はなかなか機会がないと撮れないだろう。それからもうひとつ、御来光が槍を通して雲海に反射してできるブロッケン現象も見られた。影槍の頂上に虹の輪ができていた。勿論こんなのに出会ったのも初めてだ。 | ||||
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頂上で景色を堪能して下りてから遅い朝食をとり、山荘と槍をバックに記念写真を撮ってもらって下山することにした。今日は同じ道を下り、午後3時15分上高地バスターミナル発のバスに乗らなければならない。気が付けばすでに時刻は7時前になっていた。 | ||||
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下り道で雷鳥の親子ずれにであったが、写真には親だけしか、しかもあっちを向いてしまった。これから下っていく先には雲が広がっている。なんとか振り返って昨日撮れなかった槍の全景を撮りたい思いに駆られ、振り返りながら下っていった。 | ||||
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なかなかガスがはれてくれなくてシャッターチャンスがなかったが、かなり下ったところでやっと綺麗におさめることができた。真青の空、全くの夏山の風景。日本のマッターホルンがそびえている。 | ||||
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名残惜しく、下りながら何枚ものシャッターを切った。少しガスがかかっているほうが写真としては趣があると思った。いよいよ下ってきて例の雪渓の取り付き口までやってきた。ここから逆にこれから登る人にもたくさん出会った。登りで雪渓の写真がないので、ここで1枚撮ってもらった。その団体さんは沖縄から来られ、今日槍を目指すとのこと。沖縄の揚げお菓子までいただいた。 | ||||
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槍沢ロッジまでは、下りの方が時間短縮できたが、そこから上高地までは、平坦な道なので登りと時間は全く同じくらいだった。思いの外帰りも長かったが、何とか余裕で帰りのバス時刻に間に合うことができた。 | ||||
〈エピローグ〉 弾丸山行と名付けたとおり、性急な山登りだったが、今回目的だった槍の頂上に立つことと御来光を仰ぐことの両方がかなえられた事はたいへん嬉しい。幸いにも天気が良かったが、大雨や強風であれば二つの目的の両方がかなえられなかったかもしれない。 登ったと同じコースを下るのは面白くないが、帰りの時刻に制限がある場合には、時間を読むことができるというメリットがある。そしてこのコース、槍沢ロッジまでは平坦な道だが、梓川に沿ってとても歩きやすく涼しかった。ロッジから少しずつ高度が上がり途中には雪渓の道があり、雪渓がとぎれたところから急な登りとなり、最後は岩や石ころのジグザグ道。単調に見えて実はとても変化に富んで面白かった。ほんとに短期で楽しい山行を経験できたことを喜びたい。 |
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この山行で出会った花たち |
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イワオトギリ | クガイソウ | センジュガンピ | ||||
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ゴゼンタチバナ | ハクサンシャクナゲ | ヤマホタルブクロ | ||||
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カラマツソウ | コバノイチヤクソウ | コキンレイカ | ||||
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ミヤマママコナ | ニッコウキスゲ | オタカラコウ | ||||
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シナノキンバイ | ツマトリソウ | ウバユリ |