2016年モーニング感想部屋


十七号(♯404)  夏木さんのアシストに驚くETUの皆さん。有里ちゃんは今回、クラブハウスで試合観戦の模様です。
 試合はまさに「みんな乗ってきた」様子。八谷さん代表初ゴールおめでとうございます。ですが夜空にネルソン監督を浮かべるのはやめてあげてください。そしていつも八谷さんの「持田君」呼びに何となく笑ってしまいます。
 自分がいれば絶対に勝てると思わせる。持田さんの表情に、日本の大量得点(=ホンジュラスの大量失点)の予感がします。日本代表の一〇番を「俺の」と言ってしまうところが、持田さんの持田さんたる所以だなあと感じます。
 次号からはいよいよ持田さんと花森さんの因縁が描かれるのでしょうか。持田さんのキツイ言葉に花森さんが戸惑ったり、精神的ダメージを受けたりする姿は簡単に想像できてしまいます。

 座敷童子ちゃんたちのヒマつぶし。遊びも好きだけど、大人のお手伝いもしたいというのが子どもらしいですね。個人的には花輪となって贈られた地獄の草花の行方が気になります。
三十九巻  監督は人気が大事。それは理解できるのですが、まさかブラン監督が、日本フットボール協会の女性スタッフの手を握って口説くとは思いませんでした。美人モデルの水着写真にも食いついてましたし、こういう(男性としては当然の反応ですが)キャラクターはジャイキリでは珍しいかもしれません。
 たぶん、協会女性スタッフはブラン監督の言動を「フランス式コミュニケーション」ぐらいにしか思っていないのでしょうが、ここでチェックしたいのは古川通訳の動向です。「彼女は監督に振り回されなくていいよなあ」という羨望や「自分以外の人間を監督のワガママに巻きこむわけにはいかない!」という使命感が交じりあった感情が、おそらくわいてくることでしょう。この三人の三角ではない関係が見たいです。とりあえず協会女性スタッフの名前だけでもお願いします。
 若い奴らの格好に苦悩するキャプテン城西さん。五輪世代の選手たちは年相応の恰好で、チャラチャラしているようには見えませんし、どちらかといえば椿くんのコーディネイトが気になります。解散場所からETUの寮まで近いからといって、部屋着のような恰好で移動するのはさすがにマズい。暑いでしょうがせめてジャージぐらいは着て欲しいものです。
十六号(♯403)  後藤さんは佐藤くんと一緒に試合観戦。有里ちゃんとの観戦デートではないことが残念です。たぶん、彼女はクラブハウスで仕事&観戦しているのでしょう。そして自前の代表ユニフォームを着ているあたり、佐藤くんはミーハーっぽい感じがします。
 持田君。確か川崎は若いチームで、八谷さんは二十六、七歳ぐらいだったと記憶しています。彼は年下の人を呼び捨てにするタイプだと思うので、持田さんも同世代なのかもしれません。
 持田という選手は扱いに苦労する。一定数のアンチがいるということに、思わず納得してしまいました。作品の舞台は二〇〇七年ですから、匿名掲示板に【目つきが】持田蓮アンチスレ【怖い】が立っているのかもしれません。
 とはいえ、誰にも文句を言わせない成果を叩きだすのが持田という選手。彼のボールがきっかけで、日本が先制します。選手生命と引き換えに、結果をもたらす。それは勝利への執念や覚悟がなければできないことなのでしょうが、サッカー選手としての最期や、第二の人生を想像(持田さんも現役時代と達海選手と同様、セカンドキャリアを考えているようには見えません)すると、痛ましい気持ちになります。
十五号(♯402)  初のA代表選出。本人にとってもクラブにとってもおめでたいことなのに、青いユニフォームを着た夏木さんの表紙が黒枠なのはなぜでしょうか。
 その答えは騒がしいロッカールームにありました。ブラン監督が珍しく困惑しています。夏木さんはETUでは賑やかですが、オールスターや代表では大人しくなり、ツッコミ役に変わってしまうようです。キャラが変わるのはピッチの外だけにしておいて欲しいものです。
 蓮さま。この名前で思い浮かんだのは朝ドラ「花子とアン」で仲間由紀恵さんが演じていた人物と、週刊少年ジャンプ連載の「ワールドトリガー」に登場する高嶺の花系美人オペレーターでした。持田さんは名前のことでからかってきた相手をブッ潰してきたのだろうなあと勝手に想像しています。

 風にたなびく薄い布を石の彫刻で表現。女性の体の線を出そうとした芸術家たちの努力の結果だと思うと、今までのように彫刻を見られなくなってしまうので、私も唐瓜さんのように、芸術は高尚なものだと思っておくことにします。
十四号(♯401)  スタミナ自慢の椿くんも、やはり人の子だった。連戦による疲労が、パフォーマンスを低下させているようです。椿くんと同じようにクラブとA代表&世代別代表で戦っている窪田くんには、スタミナという課題がありましたが、彼が椿くんに比べて動けているのは、大阪の先輩たちの助言のおかげでしょうか。
 チームを勝たせる選手になる。椿くんが体を張ったおかげでFKゲット。ETUでは王子がキッカーなので、赤崎くんのFKは珍しく感じます。それを三雲くんが叩き込んで日本同点。烈と書いて「あきら」と読む彼の名前はカッコイイと思います。漢字を見た時に、読み方を尋ねることは間違いないですが。
 試合は一対一のドロー。立役者の二人が拳を合わせるシーンがカッコいいです。五輪世代は椿くんと窪田くんが中心に描かれていますが、赤崎くんや他の選手たちも、新しい人間関係を築いたり、フットボールやそれ以外の面で経験を積んでいるのだと思うと、温かい気持ちになりますね。若者の成長は喜ばしいことです。
十三号(♯400)  ついに連載四百回。それを祝うかのように、ETUの勝利を告げるホイッスルが鳴る場面から、今回は始まります。安心したような表情の上田くんの肩に、宮野くんが腕を回していますが、もしかしてプロ初ゴールが生まれたのでしょうか。「やったな、おめでとう!」「まだドキドキして止まんないっす」といった会話を繰り広げているかと思うと心が和みます。上のコマでハイタッチしている村越さんと堺さんは口数少なそう(管理人の偏見です)。ですが村越さんの笑顔にホッとします。
 声がガラガラの棚橋監督。外国語のセリフを横書きにするのはよく目にしますが、この漫画でセリフのフォントを変えるのは珍しいような気がします。
 清川くんとユニフォームを交換した石浜くんに、ETUのゴール裏から沸き起こる石浜コール。プロとしての道を開き育ててくれた特別なクラブでも、サポーターから愛されていても、それでも石浜くんはETUではなく、甲府の選手として走り続ける道を選びました。何よりも大事なのは彼の意思ですし、プロサッカーの世界に移籍や別れは付き物ですが、やはり寂しさは拭えません。
 そして舞台はベトナムへ。細見さんと大谷くんに続いて、椿くんまでもがケガをしないか、それが心配です。

 虫歯と尿路結石とこむら返りなら、対策や予防ができないという点で、こむら返りが一番嫌です。寝ている時に急に足がつっても、対策の立てようがないですし、翌朝まで足に痛みが残りますからね。
十二号(♯399)  夏木さんのシュートでETU逆転。祝福ムードのETUとは対照的に、石浜くんが落ちこんでいます。試合開始から逆転されるまでの彼の心の動きを数値にしたら、、ジェットコースターのような軌道を描くのではないかと思えてきました。
 そんな彼に、狙いはよかったと言葉をかける達海監督。それは対戦相手へのリスペクトなのかもしれませんし、手を離れた教え子(達海監督は先生というタイプではありませんが)への賞賛なのかもしれません。
 甲府の選手は最後まで走り続けたものの、ETUに二点の追加点を奪われ、四対一で試合終了。甲府のサポーターは甲府の選手に声援を送っていましたが、石浜くんのETU批判が尾を引いているせいか、素直に感動していいものかと首を傾げてしまいます。
 残留を目指し、何としても勝ち点が欲しい状況で逆転負けをした。だがサポーターは最後まで走り続けた選手を称え、拍手を送った……。これを「地方クラブのサポーターの温かさ」と解釈すればいい話なのでしょう。ですが私には、このシーンが「サポーターが残留・降格を気にしない(良く言えばカテゴリーに関係なくチームを応援する、悪く言えばプロでありながら結果を求めない)温いクラブ」という石浜くんへのブーメランに思えて仕方がありません。
 甲府戦では地方と都会という面がクローズアップされていましたが「都会人に比べて、地方の人は親切で心が温かい」というテンプレートは、メディアが発達し、さまざまな情報が手に入る今世紀には、もはや通用しないように感じます。
十一号(♯398)  ついに連載再開。休載の原因がなんだったのか気になります。病気や怪我でなければいいのですが。
 試合は堺さんのゴールで同点。達海監督のビックリ顔が新鮮です。
 同点では「ださいクラブのまま」だとロッカールームでの発言をイジられる清川くん。彼のボールを夏木さんが叩き込んでETU逆転。
 能力の低い選手ばかりでも、力を合わせれば強豪チームにだって勝てる。石浜くんのモノローグは、開幕当初のETUを思い起こさせるものでしたが、勝負は気持ちやチームワークだけでどうにかできるものではありません。力で敵わない分は頭を使う。もしこのまま甲府がETUに敗れるとすれば、勝つための作戦を立てる人がいない(棚橋監督は選手をまとめあげ、モチベーションを上げることには長けていても、綿密な作戦を立てるタイプには見えなかったので)ことが理由の一つになるのかもしれません。

 鬼灯様ゲームセンターにてトレーニング&接待。対戦格闘ゲームも苦手ですが、鳥獣戯画対戦はプレイしてみたいです。使えるキャラクターが少なそうですが。
三十八巻  ウルグアイ代表の名前が判明。大きめに描かれているアルバロ、ガルシア、エステバンの三人は、試合でも活躍していました。
 有名選手のプレーに興奮していた赤崎くんとは対照的に、椿くんは「アルバロの名前を聞いたことある」程度。現役時代の達海さんのこともあまり知らないようでしたし、映像などで他人の試合を見るよりも、自分でボールを蹴っているほうが好きなのでしょうね。
六号(♯397)  甲府の監督は棚橋さん。選手のゴールを「まぐれ」と言ってしまったり、高望みして裏切られるのが怖いと不安を漏らしたりと、監督がそういうことを言っていいのだろうかという気分にさせてくれますが、選手との距離感は何となく山形の佐倉監督を連想させます。だからと言って「地方のクラブは温かみがあってまとまっている」と決めつけるのは早計です。甲府戦に入ってから、清川くんと石浜くんがそれぞれ都会と地方に対して幻想を持っているように思えてなりません。
 試合は堺さんのゴールで同点。彼や石神さんのように長年ETUに在籍している選手は、清川くんが石浜くんに言われたようなことは、きっと言われ慣れているのだろうなと思います。
四・五号(♯396)  前回の石浜くんに続いて、今回は笠野さんに対して、立場上そういうことを言ってもいいのかという気分にさせられました。
 選手の代表選出に浮ついてはいなかったか。クラブ全体で甲府戦を戦う用意ができていたか。言っていることは正しいです。これが有里ちゃんの浮かれぶりを実際に目にしている山井さんが記者席で口にした台詞だったら、こんなモヤモヤした気持ちにはならなかったと思います。
 笠野さんはETUの人間です。クラブの雰囲気に危ういものを感じていれば、練習中に厳しい言葉で選手を鼓舞した達海監督のように行動を起こせばよかったのに、チームが劣勢になった場面で正論を言っただけ。誰かが失敗するのを側で見ていながら、後になって「こうすれば良かったんじゃないの?」などと言う人のようです。世の中には前もって忠告しても、聞きいれない人はいますが、少なくとも今のETUに、笠野さんに反発する人はいません。
 私が笠野さんと言う人間に対して良い印象を持てないのは、「危機感を持っていた笠野さん」と「準備不足だったフロント」のように、笠野さんを評価するエピソードには、フロント陣がいかに無能かという描写がセットで付いてくるからだと思います。フロント陣は脇役に過ぎませんし、ETUが弱小の座に甘んじていた責任はもちろん彼らにもありますけれども、だからこそ永田兄弟の奮起や後藤さんの頑張りに期待していた、私のような読者もいるのです。
 単行本4巻のバス囲みのシーンを、私は「男のカッコ良さ三連発」と命名したのですが、あの場面では村越キャプテン(当時)、達海監督、後藤GMが順番に見せ場を作ってきました。擬音で表現すれば「バン! ドン! バーン!」という感じで、個人的に好きな場面なのですが、そういう描写は、ツジトモ先生の作風ではないのでしょうね。

 地獄太夫のお召し物がスゴいです。着物の模様を描くのは大変だったのではないでしょうか。でもお出ましの用件は、年末調整の書類提出と一年間の報告。飛脚や郵送という手段を考えましたが、そうすれば地獄太夫が四年に一度ぐらいしか外出しなくなって、衣装が更にグレードアップするような気がしました。
二・三号(♯395)  ついに明かされた二人の会話。石浜くんが言っていることは全て事実なのですが、清川くんが怒るのも無理はないと思いました。
 現実世界では、SB対決が忘れ去られてしまうのではないかと不安になるほどの年月が経っていますが、作中では石浜くんの移籍から甲府との対決まで二ヶ月程度しか経っていないはずです。その間にETUの恵まれた環境や、自分の甘さを痛感するのは分かるのですが、古巣の非難は行き過ぎているように感じました。甲府以外の地方クラブにも肩入れしているようですし「ETUへの入団が決まった時、都会の生活に浮かれた」という述懐の通り、石浜くんは周囲に流されやすいタイプなのかもしれません。
 押しこんで甲府先制。前回の副会長や後藤さんはともかく、気合の入った練習風景や夏木さんが代表に選ばれたシーンを見ていると「積み重なった慢心」という煽り文は何となる的外れに思えます。

 ハマちゃんゲスト出演。のびのびした環境にいて自由な発想ができる人間を責任ある地位につけると、その人の良さが失われてしまうという島会長の言葉は、まさにジャイキリの笠野さんや達海さんに当てはまると思います。そんな人を自由にさせ、能力を活かすことが、組織には求められるのでしょうね。
一号(♯394)  モーニングの表紙は達海監督。本編がカラーページで描かれたのは随分と久しぶりな気がします。おかげで黒田さんの顔色がよく分かりました。
 石浜くんの「怒っているのか?」という質問から察するに、清川くんとの電話は後味の悪い感じで切れたようです。サッカー選手がレンタル先のチームに完全移籍することは珍しいことではありませんし、石浜くんがそれを選んだとしても、清川くんが腹を立てることではないように思います。もしかしたら、ETUとの試合にも出場できるという契約や、降格しても甲府に残るという石浜くんの意思が、清川くんにはプロデビューさせてくれたクラブへの裏切りに感じられたのかもしれません。
 5バックで守りを固め、一気にチャンスを狙う。そのスタイルは今シーズン序盤というよりも、堅守とカウンターで一部リーグに踏みとどまっていた昨シーズンまでのETUを思い起こします。シーズン序盤のETUは公式戦五連敗。スカルズのバス囲みにまで発展しましたから、正直、手ごわいというイメージは湧いてきません。 石浜くんのいるチーム、過去の自分たちに勝つことが甲府戦のテーマなのでしょうか。

 人魚は頭がよく肉も美味しくて、食べると長生きができるんです! いくらお姉さんが美人でも、水族館のショーでこういうことは言われたくありません。水族館に行くときは食欲は置いていった方がいいのだと思い知りました。
 世の中には同性に宛てた恋文が残っている人もいますから、それに比べればスゴさを表現するような逸話を盛られるのは大したことではないのかもしれません。でもねつ造はダメ、絶対。
 工科医大では、算数の授業でおなじみの「たかし君問題」さえも再現される。まだまだ面白い実験や有名人のエピソードを読みたいので、何らかの形で連載を再開して欲しいものです。


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