『ふるさと鳥居本』の男鬼(おうり)町の記録に「男鬼畑から比婆神社へ通じる道のあたりに年貢道と言う山道がある。この年貢道は高取山に通じており、高取山には高取城というお城が有った」と言われている。
男鬼畑の畑とは昔の坂田郡の東南部(大方が鳥居本)、犬上郡の東部、愛知郡の東部の山地の村々のことをそう読んでいたのである。又、比婆神社の比婆の祭神はともあれ、火を扱う場、即ち烽火場・のろし場の火場の好字によるものではなかろうか?
比婆神社は男鬼の西の外れの参道を登っていくと山頂にある。社頭の石の鳥井・社殿・玉垣等ミニサイズではあるが巧妙な細工がされており、境内地は地面も周囲も石灰岩の露頭で囲まれ、その奥まった山腹に社殿がへばりつく様に建てられている。社殿の前面の小さな庭は石灰岩の凹地で、西に展望が開け火を扱うに恰好の場であろう。恐らくこのあたりが烽火場ではないか?
高取城はこの比婆神社から東に約1kmの高取山の山頂に位置する。かなりの山中にも関わらず見事な遺構に圧倒された。遺構の東端には見事な3列の堀切が見られ最も深いところで約7mはある。主郭の虎口には石段が見受けられ、主郭北面には一面石垣と思われる石壁げ見られる。
遺構全体の規模が大きく、保存状態が非常に良い為、今後の発掘調査結果に注目したい。
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比婆神社 |
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東端の大堀切 |
■比婆神社は”商売の神様”で、社域はは熱心な信者の手によって整備されている。人里離れた奥深い山中でありながら、早朝からお参りする熱心な方が多い。この社の下の岩穴にも祠があり祭壇が置かれてる。
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