親子を卒業するとき
破産という最後の選択を取らなければならなくなったのには、人それぞれの理由があります。その中で、Aさんは、息子の連帯保証人になったばかりに、破産しなければならなくなってしまいました。
 親として、子供から保証人になってほしいと頼まれたら、断ることができないものです。「車がほしいけど、お金が足りないから。」子供は親に甘えてしまいます。親は、「しかたないなあ。」と思いつつ、甘やかしてしまいます。
 親が働いていて、収入のあるときは、親も子供を支えられるのですが、親が定年退職し、年金生活となったときに、この甘えの関係はもろくも崩壊してしまいます。
 Aさんも、定年退職するまでは、相応に収入があり、子供が返済をしなくなるたびに、肩代わりしてきました。しかし、定年退職して、年金生活となった今、肩代わりをする余力はもうありませんでした。
 息子の連帯保証債務だけですから、金額としてはそれほど大きくはないのですが、収入もないため、破産以外に方法はありませんでした。
 ところが、Aさんは、それまでささやかながら、老後のために生命保険をかけていました。しかし、破産手続を進める中で、この保険は解約して、解約返戻金を返済の一部に充てなければならなくなりました。もう年齢が高いため、保険に入り直すことは実際上できません。Aさんの老後は、かわいがってきた息子のために奪われることになってしまいました。
 親が甘やかせば、子供はさらに甘えてきます。親にとっては、子供はいつまでも子供ですが、子供はいつかは大人になり、親になっていくのです。いつかは、「親子」も卒業しなければならないときがくることを、忘れてはなりません。
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