法律相談などでも借金についてのものが増えてきました。今回は、借金整理について、よくある相談を取り上げます。
※高利からの借金は、危険信号です。早めに整理しないと、苦しみ続けることになる恐れがあります。自分の借金と向き合うには勇気がいりますが、早めに相談すべきでしょう。一人で悩むより、きっと、良いと思います。
※近くの弁護士会、市役所などに相談窓口がありますので、お急ぎの方は、気軽にお問い合わせください。

借金整理の方法
  借金を整理したら、全財産を失うのですか?
  借金を整理したときの不利益を教えてください。
  弁護士に依頼する利点は何ですか?
  それぞれの方法について詳しく教えてください。
  自分には、どのような整理方法が向いているかを知りたいのですが?
  相談したら良い時期というのはありますか?
  弁護士に相談する場合は、どうすればいいのですか?
  弁護士費用は、どれくらいですか?
  必ず弁護士に依頼する必要があるのですか?
  任意整理について
  任意整理とは何ですか?
  なぜ取引経過の開示を求めるのですか?
  再計算によってどれくらい減額されるのですか?
  業者に言われるままに、借換契約をしているのですが?
  返済期間は、どれくらい延ばしてもらえるのですか?
  自宅や自動車を手放さないで整理できますか?
  任意整理の問題点について教えてください。
  特定調停について
  特定調停とは何ですか?
  具体的にどのような手続となるのですか?
  特定調停のメリットとデメリットを教えてください。
  金融業者が取引履歴を教えてくれないのですが。
  執行手続の停止の制度について教えてください。
  実際に申立てるには、どうすればいいのですか?
  全部の債権者を相手に申立てる必要があるのですか?
  話し合いがまとまれば、どうなるのですか?
  話し合いがまとまらなかったら、どうなるのですか? 
  個人版民事再生について
  個人版民事再生とは何ですか?
  どういう場合に利用できるのですか?
  住宅ローン特則について、詳しく教えてください。
  個人版民事再生のメリットとデメリットを教えてください。
  どのように返済していくのですか?
  ハードシップ免責とは何ですか?
  住宅ローン
  ちょっと無理して買ったマイホーム。給料やボーナスがカットされ、住宅ローンの支払いが苦しくなっていませんか?今回は、住宅ローンの支払いが苦しくなったときの対処法です。
  会社員のQさんは7年前に3000万円でマンションを購入しました。ローンは2000万円ありますが、マンションの価値は1500万円に下がりました。また、給料やボーナスも減少し、カード会社や消費者金融からも500万円を借金しています。 そこで、困ったQさんは、住宅ローンに詳しいBさんへ相談に行きました。
  2年前から最近給料やボーナスがカットされました。現在住宅ローンの支払いが非常に苦しいので、困っています。どうすればいいのでしょう?
  返済期限を延長してもらえば、毎月の分が減るので、ずいぶんと楽になります。私の場合、返済を利息のみにしてもらえれば、何とかここ1年を乗り切れます。
  実は、住宅ローンの返済が追い付かなくて、カード会社や消費者金融からも約500万円の借金があります。ただ、次のカード会社の返済は消費者金融から借り入れるので、何とかなります。
  自分では上手く家計を回していたつもりですが、冷静に考えると、借金で借金を返済するのは、異常なことですね。このような自転車操業でも、いい対処法はありますか?できればマンションを守りたいです。
  個人民事再生を利用すると、借金総額も減らしつつ、自宅を守ることができるようですね。これはどのような制度なのでしょうか?
  私の場合はどうでしょうか?
  住宅ローンの特則を利用できないこともあるのでしょうか?
  消費者金融のことは家族に内緒なので、何とか内密に整理できないですか?
  ※住宅金融公庫の返済変更方法は大きく分けて、@返済期限の延長、A滞納分の分割払い、B一定期間返済額の減額、Cボーナス返済の取り止めの4つです。これらを組み合わせて利用することができますので、詳しくは、最寄りの住宅金融公庫にお問い合わせ下さい(http://www.jyukou.go.jp/)
借金整理の方法
  借金を整理したら、全財産を失うのですか?
  日常生活に必要な家財道具は失いません。また、自宅や車などの高価な財産を手放さない方法もあります(但し、条件は厳しいです)。
 なお、破産した場合でも自由財産として現金99万円は手元に残りますし、現金以外の財産(自動車や保険の解約返戻金)についても生活の状況や収入を得る見込みの有無等の個別の事情に応じて手元に残すことが可能です(自由財産の拡張)。

 
  借金を整理したときの不利益を教えてください。
  一定期間信用情報に記録されますし、高価な財産を手放さざる得ない可能性もあります。
 ただ、戸籍への記載や選挙権の喪失、子どもの教育への不利益はありません。また、原則として会社を辞める必要もありません(通常、会社に破産したことも伝わりません)。

  弁護士に依頼する利点は何ですか?
  まず、業者からの請求が止まります。また、業者との面倒な交渉や各種手続を代理してもらえます。さらに、利息制限法に引き直したり、将来の遅延損害金をカットすべく交渉してもらえるので、借金が減額される場合が多いです。
  それぞれの方法について詳しく教えてください。
下記の表を参考にして下さい。
借金の整理方法


内容
特徴
注意点
任意整理
債権者との私的な話し合いをする方法

・自宅や車のローンを除外可能
・長期(3年から5年)の分割弁済が可能
・将来の金利を止められる。

・元本のカットは難しい。
・あくまで債権者の合意が必要。
・執行(給与の差押等)を止められない。
特定調停
調停という形式で債権者との話し合いをする手続
・任意整理の3つの特徴。
・債権者に取引履歴の開示を強制できる。
・執行(給与の差押など)停止の制度がある。
・元本のカットは難しい。
・あくまで債権者の合意が必要。
・財産処分などで柔軟性を欠く。
民事再生(個人)
再生計画に従って一定額を弁済し、残額を免除してもらう手続
・元本をカットして一定額を弁済すれば足りる。
・免責不許可事由があっても利用できる。
・自宅を手放さないための手続がある。
・手続が比較的複雑である。
・原則として高価な財産を失う。
・債権者の過半数の同意が必要。
破産(+免責)
全財産を管理・換価
・清算した後、全額を免除してもらう手続
・全財産を清算して借金を免れる。
・免責後は、債権者に全額支払う義務がない。
・財産がない場合、手続が比較的容易。
・自宅など高価な財産を失う。
・免責不許可事由がある。
・破産により失う職業(資格)がある。

  自分には、どのような整理方法が向いているかを知りたいのですが?
  下記のフローチャートを参考にして下さい。なお、このフローチャートはあくまで、目安です。どのような整理方法が向いているかは、法律相談などで、お問合せ下さい。
 
 
  相談したら良い時期というのはありますか?
  できるだけ早い方がいいでしょう。
 消費者金融に関する相談の中でよくあるケースが、
@大手の消費者金融から借りる。
A融資枠が増額される。
B一定の融資枠に達すると大手の会社から借りられなくなる。
C別の消費者金融から借りる(最初は枠がないので、数社から借りることになる)。
D数社で「借入→返済→借入」を繰り返す(いわゆる自転車操業)。
E高利から借りる。親戚・知人から借りる。購入したものを転売・質入する。保険を解約する。
 冷静に考えてもらえるとわかりますが、Aの段階で、年間利息が年間返済額を上回る場合があります。例えば、年利30%で100万円を借りると、利息は30万円、月々2万円の返済だと返済額は24万円になります。
 したがって、(法的な整理をするかどうかは別として)、Aの段階で何らかの相談を受けられた方が、良いと思います。

  弁護士に相談する場合は、どうすればいいのですか?
  最寄の弁護士会や市役所などで問い合わせてみることができます。一般に、弁護士会の相談は原則有料ですが、そこで会った弁護士にすぐに依頼できることがあります。他方、市役所の相談は無料とされていますが、お住まいの市町村によっては相談窓口がない場合があります。
 なお、近畿(2府4県)にお住まいの方は、事務所までお電話いただくか、法律相談申込フォームを使用することにより、私あての法律相談を申し込むこともできます。

  弁護士費用は、どれくらいですか?
  弁護士費用は、個々の事情により、異なりますので、一概にはいえません。例えば、財産のない方の自己破産(いわゆる同時廃止)の場合、約30万円+諸費用が一般的ですが、裁判所から按分弁済を指示される場合や訴訟になっている場合などには、弁護士報酬規定の範囲内で加算されます。
 なお、弁護士費用の分割払いの可否は、依頼をした弁護士によります。事前に、自分の経済状態などを考えて、相談されてみてはいかがでしょうか?生活に苦しい場合などは、法律扶助協会の法律扶助などを検討されるのも一方法です。
  必ず弁護士に依頼する必要があるのですか?
  借金整理においては、必ずしも弁護士に依頼する必要はありません。ご自身で手続されることもできます。もっとも、手続によっては(例えば個人版民事再生など)、初めてだと難しいと感じられる方も多いと思います。
 なお、依頼の際は、必ず弁護士などの正式な資格をもった人に依頼すべきです。破産手続などの代理は、弁護士しかできません(なお、申立等に必要な書類は司法書士でも作成可能な場合があります)。資格がないのに手続の代理などを持ちかけて法外な報酬を請求する者や債務の一本化と称して、借入を勧め、法外な手数料を取っていく業者がいますので、くれぐれも注意してください。

 
任意整理について
  任意整理とは何ですか?
  任意整理とは、債権者との私的な(裁判所を関与させない)話し合いにより借金を整理する方法です。借金が多くなって返済できなくなる恐れがある場合に、弁護士等の専門家が間に入って、私的に話し合いをします。
 弁護士が任意整理する場合は、@債権者に対し、借入・返済等の取引経過の開示を求める、A利息制限法の利率によって再計算して、残債務額を確定する、B将来の利息をつけない和解案に基づき分割弁済をすることになります。

  なぜ取引経過の開示を求めるのですか?
  残債務を確定するためには、利息制限法による再計算をしなけれならないからです(利息制限法と利息については、こちらをご覧下さい)。再計算とは、利息制限法にいう上限金利を超えた利息分を元本の返済があったものとして計算をやり直すことをいいます。
 この再計算においては、(借換前の)一番最初の借入時期が重要です。

 
再計算によってどれくらい減額されるのですか?
  減額される金額は、個々の事情(取引期間や金額など)よって異なりますが、3年から5年の取引があれば、何割かの減額が期待できます。取引期間が長い人の中には、過払分を業者から返してもらえる人もいます。例えば、1998年1月1日に50万円を年利29.2%で借入し、翌月より毎月1日に2万円返済している人の場合のシュミレーションは、次のようになります(あくまで目安です。概算で千円未満は切捨て)。
               計算前(29.2%)      計算後(18%)
  1998年12月2日現在 402,000円        351,000円  
  1999年12月2日現在 262,000円        159,000円
  2000年12月2日現在  75,000円       ▲68,000円(過払い)
  2001年3月2日現在  19,000円(来月完済)▲148,000円(過払い)

  業者に言われるままに、借換契約をしているのですが?
  一度返済した場合や借換契約している場合でも、実質的に見て取引が継続している場合は、利息制限法による再計算の対象になると思われます。ですから、これらの場合は、一番最初の取引を基準として、任意整理することになるでしょう。
  返済期間は、どれくらい延ばしてもらえるのですか?   
 
返済期間は、個々の事情(収入など)によって異なりますが、一般的には5年(60回払)が目処とされています(消費者金融の場合)。なお、住宅ローンについては、年齢との関係で、延長期間が異なります。
  なお、返済期間中は、将来の利息を付さないように交渉しますので、借金の返済は比較的スムーズになります。

  自宅や自動車を手放さないで整理できますか?
  任意整理においては、借金の分割返済を続けていく限り、現に所有している財産(家・自動車など)を手放す必要はありません。
  問題は、自宅や自動車のローンが残っている場合ですが、任意整理においては、住宅ローン等を除外して整理することも可能なので、手放さなくても良い場合があります(ただ、この場合は後に不公平弁済とされる場合がありますので、専門家に相談する必要があります)。


  任意整理の問題点について教えてください。
  任意整理は、将来にわたって分割弁済をしていくことになるので、継続的な収入が前提となります。また、固有の問題点としては、まず、先に述べたように元本カットがありません(もっとも、両親や親戚の援助を得て、一括弁済する場合は1〜2割程度カットしてもらえる場合があります)。次に、あくまで私的な話し合いなので、強硬な債権者がいる場合には、成立しない場合があります。さらに、執行(給与の差押等)を止められません。
 
特定調停について
  特定調停とは何ですか?
  金融業者からお金を借り入れたりしたが、約束どおり支払うことができなくなるおそれがある場合に、今後の経済的再生を図るために、利害関係を調整して(返済期限を延ばしてもらう等の話し合いをする)、借金を整理する方法です。
 任意整理と同様に、返済を続けていくことが前提となっています。

  具体的にどのような手続となるのですか?
  特定調停を申立てた後、裁判所(調停委員会)が、あなたを呼び出して、生活状況や収入、返済能力などを聴取します。その後に、相手方である金融業者を呼び出して、事情を聴取します。そして、借金の返済方法について双方の意見を調整していくのです。 そこで、話し合いがまとまれば、その内容どおり返済していくことになります(話し合いがまとまらず、裁判所が「調停に代わる決定」をする場合もあります)。もし、まとまらなければ、調停が打ち切られることがあります(事件の終了)。
 
特定調停のメリットとデメリットを教えてください。
  まず、特定調停においても任意整理と同様に、借金の分割返済を続けていく限り、現に所有している財産(家・自動車など)を手放す必要はありません。加えて、取引履歴の開示を求められる文書提出命令(Q4)や強制執行の停止(Q5)の制度があります。なお、弁護士に依頼せず、自分で申立てられると、費用的にも安くなりますし、貸金業者は正当な理由なく支払請求ができなくなります。
 他方、任意整理と同様、継続的な収入が前提となりますし、原則として、元本カットがありません。また、あくまでも話し合いなので、強硬な債権者がいる場合には、成立しない場合があります(成立しなければ、強制執行の停止も失効します)。さらに、業者に数が多くなるほど(弁護士に依頼しないで)自分でされるのが大変になっていきます。

  金融業者が取引履歴を教えてくれないのですが。
  利息制限法による再計算(任意整理のQ3を参照)において、業者が取引履歴を開示してくれないことはよくあることです。特定調停では、相手方(金融業者)に対して、必要な文書等の提出を求められます(文書提出命令)。そして、正当な理由なく応じない場合には、10万円以下の過料の制裁が課されます。
 この文書提出命令により、取引履歴の開示が期待されます。
  執行手続の停止の制度について教えてください。
  例えば、金融業者があなたの自宅を差押えて、交渉にプレッシャーをかけてくることもありえます。このように債務者の経済的基盤が脅かされる場合などには、裁判所が、民事執行手続(例えば自宅の差押え)の停止を命じることができます(「特定調停によって解決することが相当である場合」に「特定調停の成立を不能にし若しくは著しく困難にするおそれがあるとき」や「特定調停の円滑な進行を妨げるおそれがあるとき」に命じることができます。)。
 もっとも、調停の終了まで一時的に停止されるだけですので、債権者が話し合いに応じない場合には(調停が成立する見込みがなくなります)、調停自体が終了してしまい、停止の効力も失われます。

  実際に申立てるには、どうすればいいのですか?
  申立においては、申立書(とそれに添付する必要書類)や申立費用等が必要です。そこで、(弁護士に依頼するのでなければ)、申立てる裁判所に事前に相談に行くことが必要でしょう。原則として、相手方(金融業者)の住所地(あなたが借りた店舗など)等を管轄する簡易裁判所がその事件を担当する管轄裁判所になります(相手方が複数の場合は、最も多くある簡易裁判所が適当でしょう。)。
  全部の債権者を相手に申立てる必要があるのですか?
  必ずしも全部の債権者を相手にする必要はありません。もっとも、調停案は、債務者の経済的更生に資するとの観点から、公正かつ妥当で経済的合理性を有するものとされていますので、調停の成立においては、多くの債権者の同意が必要となるでしょう。
  話し合いがまとまれば、どうなるのですか?
  その内容が、公正かつ妥当で経済的合理性を有するものであれば、調停成立が成立します。今後は、この内容にしたがって弁済していくことになります。なお、この際作成される調停調書には確定判決と同様の効果がありますので、もし支払約束を守れない場合などには、差押などがされることがあります。

  話し合いがまとまらなかったら、どうなるのですか? 
  話し合いがまとまらなければ、調停が成立しないものとして、終了することになります。なお、完全にまとまらなくても裁判所が「調停に代わる決定」をすることがありますが、異議が出れば効力を失いので、同様に終了します。
 この場合には、特定調停以外の借金整理方法を検討しなければなりません。
 

個人版民事再生について

  個人版民事再生とは何ですか?
  借金で経済的に困窮しているときに、借金の一部を将来の収入(給料など)で返済し、残りの債務を免除してもらう手続です。民事再生によって、破産しないで生活の立て直しを図ることができます。
 この個人版民事再生には、@小規模民事再生、A給与所得者等再生、B住宅資金貸付に関する特則(住宅ローン特則といいます)の3種類があり、これらを組み合わせて解決を図ります。

  どういう場合に利用できるのですか?
  @小規模民事再生は、将来継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあり、借金の総額が5000万円以下(住宅ローンを原則として除く)の人が利用できます。
  A給与所得者等再生は、上記小規模個人再生の要件に加え、給与等定期的収入を得る見込みがあり、その額の変動の幅が小さいと見込まれる人に限って利用できます。
  B住宅ローン特則は、上記小規模個人再生や給与所得者等再生の要件に加え、自宅に住宅ローンの抵当権等が設定されている人が利用できます(住宅ローンしか借金がない場合にも利用できるとされています。)。
 これらの制度のうち、どの手段が適切かは、個人の事情により異なります。自分で決定しないで、専門家に相談される方が良いでしょう。

  住宅ローン特則について、詳しく教えてください。
  これは、住宅ローンについて特別の返済方法を定めることにより、生活の基盤である住宅を確保することを目的とする特則です。例えば、現在、住宅ローンの返済を遅滞している場合、金融機関より一括弁済を求められますが(期限の利益の喪失)、この特則を利用することによって、分割払いの定めを復活させることができます(期限の利益の回復)。また、分割弁済期限の繰り延べが認められる場合もあります。
 もっとも、元本のカットはありませんし(原則として、元本、利息、損害金全額を支払います)、住宅ローン以外の借金と別枠で返済する必要があります。また、利用するための様々な条件があります。

 

個人版民事再生のメリットとデメリットを教えてください。

  まず、元本カットがありますので、任意整理や特定調停のように元本全部を支払うことができない場合に利用できます(反対する一部の債権者も拘束できます)。また、破産のような資格制限や免責不許可事由がありません(実際上これが大きいと思います)。さらに、自宅を手放さないための方法があります(住宅資金貸付債権に関する特則を利用できる場合)。
  他方、最低限将来継続的または反復して収入を得る見込みが必要ですし、負債総額も5000万円以下(住宅ローンを原則として除く)でないといけません。また、借金の法的整理なので、高価な財産を失うことがありますし、原則として、債権者の過半数の消極的同意が必要です(同意がなければ再生計画が成立しません)。さらに、手続が破産などに比して複雑なので、初めての方には難しいと思われます(弁護士等に依頼することになります)。

  どのように返済していくのですか?
  再生計画に基づき銀行振込などの方法で弁済することになります(この再生計画は、一定の例外を除いて、平等でなければなりません)。
 返済期間は、原則として3年です(住宅ローンは別です)。
 それぞれの最低弁済額等は、次のようになります(但し、自分の資産の合計は最低限でも返済する必要があります。これを清算価値保障といいます)。
  @小規模民事再生の場合、借金の総額の1/5以上(3000万円を超え5000万円以下の場合には1/10)または100万円のいずれか多い額です。例えば、借金の総額に応じて、5000万円→500万円、500万円→100万円、400万円→100万円となります。
  A給与所得者等再生の場合、可処分所得(手取り収入から最低生活費や税金を控除した額)の2年分となります(但し、@小規模民事再生の最低弁済額等も基準となります)。
  B住宅ローン特則の場合、当該住宅ローンは全額返済する必要があります。住宅ローン以外の借金は、上記@小規模個人再生やA給与所得者等再生の最低弁済額によります。

 

ハードシップ免責とは何ですか?

 

再生計画の遂行が極めて困難となった場合に借金の免責を認める制度です。例えば、失業(勤務先の倒産)など自分の責任でない理由によって再生計画で定める弁済ができなくなった場合等に、一定の債務の免責が認められます。
 もっとも、この免責には、いろいろな条件がありますので、詳しくは、専門家にお尋ね下さい。

住宅ローン
  2年前から最近給料やボーナスがカットされました。現在住宅ローンの支払いが非常に苦しいので、困っています。どうすればいいのでしょう?
 

まず、金融機関に支払方法について、相談してみましょう。現在の収入状況によっては、ボーナス返済の中止や返済期間の延長等に応じてもらうことができます。例えば、住宅金融公庫では、年収が20%以上減少しているなどの特定の条件を充たす人には、期限を延長した上で(最長15年)、利息のみの返済(最長3年)ということも可能な場合があります。
(詳しくは、住宅金融公庫へお問い合わせください。(http://www.jyukou.go.jp))

返済期限を延長してもらえば、毎月の分が減るので、ずいぶんと楽になります。私の場合、返済を利息のみにしてもらえれば、何とかここ1年を乗り切れます。
  ただ、延長すると毎月の返済額は少なくなりますが、期間が延びた分利息が付くので、総返済額が増えることには注意してください。また、住宅ローン以外の借金がある場合は、問題を先送りに終わります。ところでAさんは、住宅ローン以外に何か借金はありますか?
実は、住宅ローンの返済が追い付かなくて、カード会社や消費者金融からも約500万円の借金があります。ただ、次のカード会社の返済は消費者金融から借り入れるので、何とかなります。
  住宅ローン以外の借金、特に消費者金融など高金利の借金も整理しないと、生活の建て直しができません。Qさんのように借入と返済を繰り返す状態を自転車操業といいます。今対処しておかないと、いつか家計が破綻することになりますよ。
自分では上手く家計を回していたつもりですが、冷静に考えると、借金で借金を返済するのは、異常なことですね。このような自転車操業でもいい対処法はありますか?できればマンションを守りたいです。
  住宅ローン以外の借金をしっかりと整理すればいいのです。整理方法としては、任意整理や個人民事再生等といった方法があります。もちろん自己破産という方法もありますが、マンションを手放す必要があるので、最後の手段となりそうですね。借金整理の詳しい内容は、LT第4号に掲載されているので、一緒に見ていきましょう。
『借金整理方法』参照
個人版民事再生の住宅ローン特則を利用すると、借金総額も減らしつつ、自宅を守ることができるようですね。これはどのような制度なのでしょうか?
  簡単に言うと、住宅ローンの支払いを続けて自宅を競売等から守りながら、その他の借金については、原則として、5分の1(最低100万円)を3年間で返済するという方法です。
私の場合はどうでしょうか?
  Aさんは会社員として継続した収入がありますし、マンションには、住宅ローンの抵当権しかないので、個人民事再生を選択することもできます。具体的には、住宅ローンの支払いを継続しながら、100万円を3年間で返済するという計画を立てることができるでしょう(1か月あたり約3万円)。金融機関によっては、当初3年間について、住宅ローンの返済を減額調整してくれることもあるので、かなり楽になると思います。
住宅ローンの特則を利用できないこともあるのでしょうか?
  まず、民事再生は継続した収入が前提となっているので、無職の人はできません。その他、最近の相談で民事再生を断念したケースは、住宅ローン以外の借金に保証人がいた場合や住宅ローン以外の担保権が付いている場合ですね。最近、消費者金融の担保(根抵当権)付融資を安易に借りる人がいますが、借りたら民事再生できないので、要注意です。
また、大きく価値が減少しているマンションの場合、将来大規模修繕や建替えが必要となるので、住宅ローン特則を利用すべきかどうかを、再度検討してみる必要がありますね。
消費者金融のことは家族に内緒なので、何とか内密に整理できないですか?
  家族の方に内緒にして整理することはできます。しかし、家計簿等の作成や家計の再点検や再設計のために、家族の援助協力は不可欠です。少なくとも夫婦の間では事情を正直にお話になった方がいいと思いますよ。