ごあいさつ
天台宗 東雲寺 大乗峰 伊吹山寺 住職 吉田慈敬
 昭和43年、故郷を離れ比叡の山に仏縁を頂いて早くも20有余年を経た。僧侶としての道を歩み10有余年、師僧を先年亡くした今、師のよく口にされた「縁」とは何と不思議なものだとつくずく考えさせられます。人間として生まれ、仏縁を頂けたことを本当に有難く感謝致しております。

 仏教は「自覚」による「転迷開悟」をその究極とします。己を省みるとその路程は遠く、多くの祖師達が教示される底下であり、愚であることを思い知らされます。そんな小納が、平成の今、伊吹山を再び「心の道場」にと発願し、諸先生、諸先輩そして多くの方々のお力添えによって伊吹山法灯護持会を結成させて頂くことが出来ました。真に有難く、そして「御縁」の不思議さと同時にその責務の重大なことを痛感するものです。経に曰く「於此命終」この命の終りに於てと、いま生かされているこの命の行き着く所を見い出す思いがします。

 21世紀は「心の時代」「宗教の時代」と叫ばれて久しい。伊吹山の大地が、そして自然が我々に生かされ生きている真の『心』の『生命』の有様を教示してくれると確信するものです。伊吹山を通じ『心』にそして『生命』に目覚め、その人々の輪が広がって欲しい。何時の時代にか、この世界が『仏』(自覚した人々)で満ち満ちるならば、何と素晴しいことではありませんか。何十年、何百年もの長い年月がかかることでしょう。しかし、霊峰「伊吹」そして多くの人々と永遠。に生き続け、祈り続けたい。安楽な世界を子孫へとそして未来にと。何とぞ小衲の悲願を御理解頂き御賛助賜りますことを伏してお願い申し上げます。
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