喫茶コーナーというアイディアは、コロンブスの卵のようなものだったといえるのではないでしょうか。それまでは、接客をともなうサービス業は、とりわけ知的障害をも人には不向きとされ、閉じられた空間である福祉施設や作業所などでの手作業などが主でした。その意味で、この喫茶コーナーのアイディアが、公民館という福祉ではなく社会教育施設から始まったというのは示唆的です。
往々にして「専門」といわれる分野やそこに関わっている人たちは、考え方が固定的になりすぎて、むしろ大胆で柔軟な発想やアイディアが生まれにくいというケースが少なくないようです。喫茶コーナーは、今では福祉の分野では全国的に広がってきている取り組みとなり、当初の予想を超えて様々な機能や長所がそこに隠されている事がわかってきました。それは、喫茶コーナーの限りない可能性といっても過言ではないと思います。
「茶房鬼佛庵」は、その喫茶コーナーの可能性をまた新たに広げてくれる取り組みであり、精神の拠り所、癒しの場としてのお寺が喫茶コーナーとジョイントすることによって、そうした役割がますます発揮されることを期待いた木御。さらに精神障害の分野ではキリスト教会が大きな役割を果たしている中で、仏教のお寺が障害者の活動に積極的に関わっていくことの意味も大きいといえるでしょう。 |