ようこそ、そしてよろしく
全国喫茶コーナー交流会実行委員会事務局 兼松 忠雄
  『働く場』『学習の場』『地域の人とのふれあいの場』としての「喫茶」が、こんなにも注目を集めるようになるとは、スタート当初誰が予想できたでしょう。
 実際、私たちが「交流会」をスタートさせた1984年当時の「喫茶」の情報は、公共施設の中の「喫茶」に限定されていました。それは、当初の「喫茶交流会」が、東京都教育委員会主催の障害者の余暇保障を考える研修会の一環として始まったことに由来しています。当時の店舗数は5店ほどだったでしょうか。ところが交流会は年を追うごとに大きくなっていきました。
 こうした集いがあることを聞きつけて参加した人が、次の年には喫茶のオープンを報告する側になったり、また新しい人が参加したりで、2001年2月に横浜で開催された14回目の交流会は500人が参加するまでになりました。
 交流会を続けてきて思うのは、障害を持つ人たちが働く場は社会にもっともっとあるのでは、「喫茶」はそのきっかけになり得るのではということです。そしてまた、「喫茶」は“障害者が働く”というだけでなく、町の人達の福祉理解のための極めて大事な場所になりうるということ、またこうした「場・機能」を支援する自治体はその町の「バリアフリー」を試されるということです。
 全国でそれぞれの「喫茶」が土地土地の特徴を生かした店を展開しています。
 いくつかを紹介すると、東京世田谷区の『パイ焼き茶房』は“ホンモノのケーキ”を味わえる店として知られています。同じ東京国立市にある『わいがや』は地域のイベントへの参加が多い喫茶です。市主催の成人式に始まり、市民まつり、市内施設の祭り、デイサービスセンターのお年寄りへの出張喫茶まで、声がかかればどこへでも出かけていきます。神奈川県横浜市の『カプカプ』では第三世界の珈琲を中心に、安全で身近な食材を使った営業に心がけています。岩手県の小岩井農場近くの『ワーク小田工房』は喫茶と並んでリサイクルショップを営業、喫茶を上回る売上の日もあるということです。熊本県の『銀河ステーション』は、町の福祉事業の一環として在宅老人訪問の活動を行うとともに、クリスマスには近所の老人を招き、フランス料理でもてなすなどもサービスの一つとして行っています。
 珈琲・紅茶、お茶の香りにつつまれてさまざまな情報が往き交い、人が往き交い、町の“福祉力”が高められる……みなさんと一所に「喫茶」をきっかけにそんな取り組みが進められたらと思います。