Japanese in 22nd Maui CHANNEL SWIM & 24th Waikiki ROUGH
WATER SWIM
9月5日(日)
リレーの疲れもそこそこに、次なるレースの為に国内線に乗り込みマウイ島を後にして、一行はハワイ州の中で最も多くの観光客が訪れるオアフ島へと向かいました。今度のレースは、冒頭でも紹介した3.9Kmの個人遠泳レースです。まず、当日のスタート地点であるホテルニューオオタニのビーチに近いカピオラニ公園でレースのエントリーをすることが最初の目的です。 |
沖縄フェスティバル
毎年開催のこのレース、エントリーを受け付けるテントの場所もいつも同じで、ハワイを訪れたことのある方でしたらご存じかとは思いますが、毎年9月の第一日曜にこの公園では『沖縄フェスティバル』というお祭りが開催されており、公園を利用し沖縄の名物料理や懐かしのお菓子なんかがたくさん出店されています。参加者は安い食券を買いそれで食べ物を手に入れます。かなり大きなお祭りで、昼間カラカウア通りをダイヤモンドヘッドに向かって歩いて行けばすぐに そこがわかることでしょう。その公園の中に、一行の参加するワイキキラフウォータースイムのエントリーテントはあります。 もうすでに、数名が並んでいてエントリーをしています。すぐ隣では、豪快な肉の網焼が見られ、長さ約30mはあるでしょうか、台の上に肉をはさんだ網が食欲をそそる匂いと共に煙を上げながらお祭りを盛り上げているようでした。 実は、このレースの申し込はもっと早く7月頃から始まっています。前回の出場者を対象に運営委員会がダイレクトメールを送り、受け取った人は、同封の申し込用紙に必要事項を記入し、郵送にて送り返すのです。これですと実は8月の23日が締切として決まっています。それ以降の参加者はこのテントで前日の3時までならエントリーが可能な訳です。細かい話になりますが、締切までの申し込との違いは記念Tシャツが10ドルで買えるか13ドルで買えるかの違いです。 当日のスタートは4段階に分かれていて、自己申告のタイムにより早い組からのスタートとなります。 グループA 58分以内 グループB 58分〜1時間25分以内 グループC 1時間26分〜1時間55分 グループD 1時間56分以上 全長3.9Kmのこの個人レース、中村、内田、仁井田、松田はグループA.奥村氏はグループB。越智さんはグループCでエントリーを済ませました。 ワイキキビーチは、毎日のように訪れる観光客でにぎわっています。そんな人達を横目に、一行は例年よりビーチの波が高いことに不安を抱くのでした。 束の間の、休息。この日の午後は、自由時間です。明日のためにウォーミングアップに出かけるもの。ハワイ観光を楽しむもの、めいめいでした。 ![]() |
9月6日(月)
しかし、本当にハワイの気候は素晴しく快適で、この日も空は一面青空です。7:40分にホテルを出発した一行は、タクシーでスタート地点へ移動。8:00の号砲まではまだ時間があります。ウォームアップに入りますが、前日と同じような波が今日のレースをまるで笑っているかのようにこちらへ向けて絶え間無しに押し寄せてくるのです。マウイの海と同様に、海の脅威さを実感しました。 |
24th Annual Waikiki RoughWater Swim,September 6,1993,Labor Day
Aスタートの4人が選手の群れに消えていきました。スタートです。ビーチから見る限りでは、そう、魚の大群のように沖へ向かって進んでいくように見えます。 マラソンでは、3.9Kmという距離は15分程度で走れてしまいますが、水泳では1時間位、少しゆっくりですと1時間半位かかります。マラソンでは、きれいな周囲の景色を見ながら走るのも楽しみの一つです。しんどくなれば止まって休むことができます。また、歩くことも可能ですが、水泳ではプールではいざ知らず、海ともなると当然足はつきませんから休むとなると立ち泳ぎしかなく、それが1,000人もいるなかではそんな余裕などありません。もうスタートしたら最後、ひたすらゴールを目指すしかないのです。 しかし、人間の体は不思議なもので、泳ぎ出してからある一定の時間を過ぎるとそれがしんどさのピークのように、峠を越えたようにあとはもう慣れたような感じになるのです。したがって、ペースさえセーブしていればあともう何キロだって泳げるような感じになるのです。 『持久力』この不思議なもの。もう一つは、『忍耐』です。しんどさに耐える。常に、その先にあるゴールしたときの喜びを想像するのです。しんどいなんて考えずに、ここで泳げることをこの上ない幸せとして考えると、今泳いでいることがとても楽しく思えてきて海のなかの魚や、海ガメや、鯨が、珊瑚たちがその他みんなが友達のようにさえも思えてくるのです。それは多分走るときも同じ。森のなかを走れば鳥たちが、道を走れば地面の下のモグラたちが応援してくれているようで、ましてや沿道の人々が暖かい声で励ましてくれます。自分一人じゃないんだっていう気持ちが、その足を、その腕を、その体をゴールへと導くのです。 第一ブイを曲がり第二ブイまでは右手後方にダイヤモンドヘッド、右手にはシェラトンワイキキホテル、ハイアットリージェンシーワイキキなどを見ることができます。第二ブイを曲がるとレインボータワーを目印にゴールへと向かいます。 『しょっぱかった』ゴール直後の感想でした。そんな選手に、ボランティアの小さな子供たちがハワイアンドリンクを手渡してくれ、何度も何度もおかわりを要求してきます。素晴しくおいしいドリンクを飲むや、前後の選手と握手を交して『よくやった、ナイスファイト』『ナイススイム』と声を掛け合いました。 参考までに記録を比較して見ましょう。( )内は(エントリー/完泳)です。
トータルエントリー1031名。うち、女性330名、男性701名。最低年齢9歳、最高年齢79歳。その中で完泳は930名でトップはなんと42分38秒でした。まさに老若男女が、ワイキキの海に挑んだのです。 そして日本チームのリーダーともいえる越智さんが、年齢別で見事3位入賞を果たし、レース後の表彰台に上がることができました。順次、年齢別の表彰が続きますが、驚いたのは、10代のちびっ子でもタイムは素晴しいもので、とてもきゃしゃな体にしか見えないのです。どうしてそれでそんなに速いの??と思いましたが、それはきっとこうだと思います。 それは、僕たちがいつもプールで泳ぐように、彼等のプールはそうこの広い太平洋なのだから‥‥。
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![]() (中央は女子の1位の選手)
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ハワイ奮戦を終えて
日本でこういうレースがあるのを僕等は知らない。いや、あるのかもしれないが、それを知る前にこのレースを知りそして、今までこれを待ち望んでいたかのように飛びついて参加をした。そして期待*
りそれは素晴しい経験として、僕たちの心に残っている。本を読んだだけでは決して感じられない、人から聞いても心に響かない、体験して初めてそれはわかった。この街でここに来てスポーツを楽しんでいた僕等は、今までよりもひとまわり大きくなったと思う。 今のうちに出来ること。お金と暇があればそれこそあらゆることにチャレンジをしたいが、そう簡単ではない。だけど、『出来る可能性があるのにしない』ではいたくもない。やはり、自分の管理のしかた次第で、今まで出来なかったことも出来るようになるかもしれない。可能性を捨てないことだと僕等は思う。
人間は素晴しい。何でも出来る。こうしていることがすごく幸せに思えている。 平成5年10月
中村 好晴 |
Japanese in
22th Maui Channel Swim & 24th Waikiki RoughWater Swim