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ラムサール条約 第6回締約国会議
勧告6.10:湿地の経済的評価

日本語訳:「ラムサール条約第6回締約国会議の記録」(1996年)より,了解を得て再録.

 英語   フランス語   スペイン語  (以上,条約事務局)    PDF  (環境省のインデックスページ)


第6回締約国会議
ブリズベン,オーストラリア
1996年3月1927日

勧告6.10:湿地の経済的評価に関する協力の促進

1. 湿地は幅広い利益を人類にもたらすが、湿地の価値が確立された貨幣指標によって表現されていないことが理由の一つとなり、その経済価値は十分に研究されたり理解されていないことに注目し、

2. 特に途上国では、湿地の市場外の価値がほとんど研究されていないことにさらに注目し、

3. 湿地を保全しようという努力は、湿地の劣化と消失につながる根本的な圧力の問題に取り組まなくては、長期的に見て成功する確率が低いことを憂慮し、

4. 湿地が人々に提供する資源や機能の経済的評価が、湿地への悪影響への対策を行う上で基本的な国内的そして国際的手段となり、悪影響予防に取り組む際に大きく補完する役割を果たすことを意識し、

5. 重要なポストにいる政策決定者は、しばしば湿地の多岐にわたる経済価値に関する十分な知識を持っていないことをさらに意識し、

6. 上記の憂慮に対する対応として、国際湿地保全連合の「湿地の機能と価値の経済的評価専門家グループ」等、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、南北アメリカの湿地の価値評価の専門家を含む、多くの有識者のネットワークがすでに設立されていることを想起し、

7. 1995年にマレーシアで開催された「湿地と開発に関する国際会議」で、湿地の価値評価が関心の的であったことをさらに想起し、

8. 湿地の価値評価に関わる様々な関係グループの間でさらに連携を確立することの重要さ、さらに条約の「19972002年戦略計画」の関連項目の実施を促進するために、これらの取り組みを調整し共同作業を進めることが必要であると認識し、

締約国会議は、

9. 各国内の湿地保全の利益と必要性と、そして国際的な認識を高めるため、湿地のすべての経済的価値が同定され測定され報告されることが重要であることを確信する。

10. 既存の有識者による幅広いネットワークに対し、湿地の価値評価においてリーダーシップを発揮し、ラムサール条約の諮問機関としてこの複雑な課題に取り組むことを求める。

11. それらの国内的および国際的なネットワークに以下の事項を要求する。

a) NGOや他の関心のある個人団体と協調しながら、湿地の価値評価に関する協力のための努力を推し進めること。

b) 湿地の劣化と消失につながる根本的な経済的な圧力を解明する。

c) 条約の締約国、政策決定者や社会一般に湿地が供給する資源や機能の、これまでに測定されていない豊かさを金銭換算するために、学際的なやり方の価値評価プロジェクトを新たに立ちあげたり継続中のものを支援したりする。

d) 湿地の価値評価の結果を締約国が国家湿地政策や環境政策に適用するとき、ラムサール事務局が助言をすることに協力する。

e) 湿地保全の必要性にさらに配慮できるよう、湿地の機能と利益の経済的価値の評価を促進するために適切と考えられる、新たな戦略、研修プログラム、手段の作成を支援する。

12. 全ての締約国および関心を持つグループと機関がこの取り組みを支援するよう勧める。


[英語原文:ラムサール条約事務局,1996.Ramsar Recommendation 6.10 "Promotion of cooperation on the economic valuation of wetlands", March 1996, Convention on Wetlands (Ramsar, 1971). http://ramsar.org/rec/key_rec_6.10.htm.]
[和訳:「ラムサール条約第6回締約国会議の記録」(奥田直久小林聡史 監修,東梅貞義 編集,釧路国際ウェットランドセンター 発行,1996年;環境省HP収録,2006年)より了解を得て再録,琵琶湖ラムサール研究会,2001年8月.]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]
[フォロー:「湿地の経済評価:湿地にはどのような価値があるか Economic Valuation of Wetlands: a Guide for Policy Makers and Planners」(Edward B. BarbierMike AcremanDuncan Knowler 著.1997年.127頁,英語版,仏語版,西語版,条約事務局;邦訳:小林聡史訳,1999年,釧路国際ウェットランドセンター刊), 「湿地価値評価 Valuing wetlands: Guidance for valuing the benefits derived from wetland ecosystem services」(De Groot, R.S., Stuip, M.A.M., Finlayson, C.M. & Davidson, N. 2006. Ramsar Technical Report No. 3 / CBD Technical Series No. 27. Ramsar Convention Secretariat, Gland, Switzerland & Secretariat of the Convention on Biological Diversity, Montreal, Canada, 45 pp, ISBN 2-940073-31-7. [on-line] http://ramsar.org/lib/lib_rtr03.pdf (1.6))紹介COP9文書24).]

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URL: http://www.biwa.ne.jp/%7enio/ramsar/cop6/key_rec_6.10_j.htm
Last update: 2007/05/16, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).