アギト第23話感想…の前に。
「クウガ」と「アギト」について、この間からつらつらと考えていたこと。
いや、本当は関連させちゃだめなんだとはわかっている。
いきなり話が逸れるけど。唐突だが私は「イデオン」ファンだ。話題になった「ガンダム」を見損ね、今度は乗り遅れまい、と富野監督の次作である「イデオン」に食らいついた。「イデオン」と「ガンダム」がことあるごとに比較されることに憤り、前作ファンから低い評価しか得られないことをつらく思った。
もし私が「クウガ」より先に「アギト」を見ていたなら、20年前と同じように「アギト」にのめり込み、「クウガ」を持ち出してくる人々に対抗意識を持っただろうか。そのような気もするし違うような気もする。登場人物のアクが強い点や、謎だらけの点では確かに「アギト」と「イデオン」は似ているのだけれど…。
話を戻そう。
最初のうち2,3回ツッコミを入れて、もうあえて触れるのはやめてしまったけれど、「アギト」で気になっていたことの一つに警察の対応がある。「クウガ」を見直して警察の素早い行動を見ると、余計に痛感する。アンノウンの出現に際し、あきれかえるほど時間のかかるG3システムを送り出して後はフォローまったくなし。まあ、アンノウンも一人始末するのに何故かは知らぬがやたら悠長なことをしているのだが。
ふと、嫌な考えが頭に浮かぶ。アンノウンの被害者が超能力者というのは氷川君の思いこみ…というような顔をして、上層部はしっかり把握しているのでは。そのうえで…。無差別大量殺人ならいざ知らず、狙われるのが超能力者という「社会の常識、規範を越える存在」、もっとありていに言えば「国家の害となる可能性を秘めた存在」であり、その数も少ないから、あえて見殺しにしているのではないか。対応の怠慢に抗議するはずの親族も順次始末してもらえる。後は市民に向けて「こんなに一所懸命やっているんですよ」というポーズを見せておけばいい。それがG3システムだ、と。
そんなことはない、すべて私の歪んだ戯言だ、と思いたい。…けど。
違うというなら、命を大切にしていると実感させる描き方をしてみせてほしい。
もうひとつ、気にかかっていたこと。
「アギト」ではフレームの外に出た人間が小気味良いくらいキッパリ無視される…とは前々から感じていたけれど、最近になって「アギト」は「壮大な箱庭ドラマなんだな」と思うようになった。扱っているテーマやストーリーは壮大かもしれないけれど、描かれるのは区切られた一部の舞台に登場してくる限られた人々だけ。
「クウガ」ではフレームの外に世界が広がっていた。画面に映らなくても、杉田さんや桜井さんは捜査で駆け回り、みのりちゃんは保育園で子どもたちに笑顔を向け、榎田さんや桜子さんやジャンはそれぞれの研究にいそしみ、椿先生は人の命に向かい合っていると、私たちは知っていた。たまにしか出なくても、神崎先生は6年生という難しい年齢の子どもたちに大切なことを教え、実加ちゃんは勉強やフルートに頑張り、蝶野君は自分の生き方を模索しているんだと、私たちは感じられた。「未確認のいる世界」で、おびえ、身近なひとの安否を気遣い、あるいは苛立ちを抱える、ごく普通の市民が描かれていた。
けど、ね。「アギト」では町中が映されていても、そこに生きる人の息遣いや体温が感じられないのだ。まるで無人の街のように…。そんなふうに思うのは私だけなのか?
前フリが死ぬほど長くなったけど、アギト第23話。
いつもはあれでも気を遣って書いているのだが、今回は遠慮会釈なく暴言を吐きまくらせてもらう。
冒頭で様子のおかしい氷川君が小沢さんに倒れ込まなかったのは、やはりでかい図体がちっちゃな小沢さんを押し潰してしまわないようにという気遣いなんでしょう。
それにしても、たった3人でシュミレーションですか?万が一のために救急班を待機させておくくらいするべきでは。少なくとも氷川君がぶっ倒れたときに誰か呼ぶべきだ。ただ揺すってるんじゃなくてさ。
ふわふわがちょっぴり可愛い女王蜂さん、アギトに触覚切られ、暴走。
って、お子さまにわかるんかい!?
北條さんがスーパー推理(笑)を披露していたけどね。その時の映し方、変でした。あそこまでカメラを切り替える意味はあったのか。
冒頭に書いた「超能力者見殺し説」が頭にあったもので、上層部もようやく慌てだしたのかな、と意地悪いことを考えてしまった。
ひさびさに北條イヤミ攻撃復活。イヤミスマイルも(笑) お伽噺に与太話ね。お子さまにわかるんかなパート2
検査を受ける氷川君、スネやら胸やら映ってたけど、自分的にはときめかず(何故)。あちこち触られてる時の顔は痛みを我慢していたというよりは鈍くて痛みが届いていないような(超失礼)。筋肉断裂だそうだけど。
アジト(笑)のトレーラーに帰ってからの会話。前回もそうだったけど、小沢さんの氷川君捨て駒発言、ちょっとひどい。次の装着者候補の話題に、ちょっとどきどきしながら自分を指さす尾室くんだけど、小沢さんも氷川君もそこまで冷たい反応せんでもええやんか〜。
候補の翔一君のいる美杉家で。「ビールはないの」と吠える小沢嬢。…今は勤務時間中です。それに饗応にあたるのでは…?
「力が抜けているから」翔一君を選んだ小沢嬢もよくわかりませんが、翔一君も、あなたアギトやっているんだからG3−Xなんて引き受けられる訳ないでしょう。わからないけどわかりましたなんて言っている場合じゃありません。
豆腐をつかめない氷川君。ムキになって絹ごしを買いに行く場面はちょっと笑ってしまったけど。全体にいつもより後味が悪かったのは、今回はツッコミ役(小沢さん)がいたせいでしょうか。関係ないですけど、お箸の練習には大豆を皿から皿へ移すのが効果的です。
話が前後してしまったけれど、女王蜂の暴走に出動するV1システム(メタルダー説多)。救助すべき人物のそばで発砲するのは危険きわまりないけど、去年の刑事さん(笑)もやってたことだし、まあ北條さんのやることだし(前にもやってたし)。マスクを外した北條さん、やっぱりめっちゃ嬉しそうですが…どうも彼がこの手のスーツを着ると首が短く見えて似合わないんですけど…って禁句(?)
V1システムの抜け駆けに、コンペも終わっていないのに、北條得意のスタンドプレー、と憤るG3の面々。
…ブチッ(私の切れた音)
…あなたがた、抜け駆けにしろ何にしろ、V1システムが出動したことで結果として人ひとりの命が救われたのですよ。G3システムの動けない今、警察機構がアンノウンに対抗する手段はなく、アンノウンによる殺戮を放置している状態なのですよ。そのようなことを言っている場合じゃないでしょう…!
話の順番を戻して…。G3−Xの装着者に記憶喪失の前科者(?)を起用しようとしていることを上に問いつめられる小沢さん。チクった尾室くんを責める。が、尾室くん、ビビリながらも「氷川さんの気持ちも考えてください」と言い返す。前回に引き続き、勇気出してますね〜尾室くん。
筋肉断裂にも関わらずトレーニングに励む氷川君(あえてアホか、と言わせてもらう)。装着員が津上さんなんて納得できない、北條さんならまだしも…と小沢さんに訴える。まあ、無理もあるまい。もう一度チャンスをください、と訴える視線は…わんこの瞳を意識していたんだろうけどね、スタッフさん。三白眼状態だったので個人的にあまり可愛くなかったんだよ〜。これが去年の…いやいや、やめておこう。
いざ、コンペ。(早いな〜早すぎる)
北條さんの銃の撃ち方、カッコつけ。なんなのよ、そのいきなり後ろ手で後方を撃つのは!
パワードスーツ(違)着て首だけ出している姿はやっぱり氷川君のほうが格好いいなあ。
「どうですか」といつものごとく得意満面な北條さん…はいいけれど、あなた!何、銃口を人に向けてるんです!
と思ったら、G3−Xに搭載されたAI機能が「敵」と判断したらしい。いきなりV1をボコボコにするG3−X。多分氷川君本人は意識を失っている状態だと思うんだけど…いざトドメ(汗)というときに入ったアンノウン出現の放送に反応して飛び出して行くところを見ると実は意識あったりして。日頃の恨みを晴らしたとか(怖)。
北條さんが氷川君に銃口を向けた瞬間、自分の中で何かが軋んだ。
北條さんはたしかに嬉しがりのコマッタちゃんだけど、こんなことをする人じゃない、と私の中で叫ぶ声がする。
何と…言ったらいいんだろう。彼の台詞も行動も、ストーリーの次の展開を引き起こすために無理矢理作られた薄っぺらいもののような気がして。今回だけじゃない。彼の言動は皆その時々の展開のために無理矢理割り当てられているもので、本当の北條さんはどこか別にいるのだというような気がして…。
わかっている。画面に映ることがすべてだと。私の勝手な思い込み、妄想だと。だけど、ありませんか、小説や漫画などでも、作者本人の手による話にも関わらず、「このキャラはこういうことは言わないだろう」「こういう性格じゃないだろう」ということが。
非常に不本意なことであまり認めたくなかったのだが、どうやら私は北條さんを気に入り始めていたらしい。「好き」とも「恋」とも違うけれど、憎さ余って可愛さ…じゃないけど(日本語間違ってます)、そのコマッタちゃん振りを「いとおしい」と思い、生暖かい目(笑)で見ていた。そしていつのまにか、作劇中で描かれる以上に奥行きのある人間性を北條さんに見ていたらしい。それは、多分、演じておられる山崎潤さんの力によるものだろうと思うのだけれど。
暴走G3−X。交戦中の女王蜂とアギトに向かってガトリングガン(…なんでしょうか、すみません詳しくなくて)ぶっ放す。うーん…
見終わった後で、いつにない徒労感を覚えた。
もう一度内容を思い返してみて…トレーラーの中でV1抜け駆けをなじる場面を思い出したとき、怒りが湧いてきた。人の命を軽々しく扱うような場面をあっさりと出してしまうスタッフに対して腹が立った。今までも殺人などをあっさりと扱う場面は何度もあったが、今回は仮にもヒーロー側の人間が、だ。
命の大切さを訴えることができないのなら、お子さま向けの番組の資格はない。少なくともヒーローものではありえない。
一個のドラマとしてならそれもいいだろう。実際自分も残酷で殺伐とした場面が満載のアニメを見て育ってきた。だけど!商品展開のメインターゲットとしているはずの世代を考慮しないというのはどうだろうか。
とにかく怒って、そして…。私は自分の中で何かがふつっと切れたのを感じた。
最初の2,3週だけは…といいながら見続けて、なんだかんだで、いつの間にか見るのが楽しみになっていたし、感想を書くのも張り合いになっていた。今後の展開に期待だってしていたのだ。
多分私はこれからも見続けるだろう。意地と…北條透を見るために。でも、番組としての「アギト」に期待することはもうないだろう。