十二月二十四日火曜日
 本日は耶蘇教の降誕祭前日。所謂クリスマスイブである。朝から鷹介が急に宴会をしたいと言い出した。無論、ジャカンジャとの決戦を控えた大事な時期にそのような浮ついたことでどうする、と一喝したのだが、おぼろが乗り気になってしまい、結局夕刻からこの研究所でクリスマスパーティとやらを開く羽目になってしまった。
 鷹介たちはすぐ仕事に出かけてしまったので、準備はおぼろが黒子ロボに指示をして行った。買い出しや料理は黒子に任せて、おぼろは飾り付けにいそしんでいた。たまには息抜きは必要だ、という言葉をむげに否定はせぬが、わしの部屋にモールをつけたり、わしにまでリボンを飾るのはやめてほしかった。

 七海は営業先から、普段よりよく売れたと言って上機嫌で戻ってきた。
 吼太は、昨日が誕生日だったということも合わせて、仕事先でいくつか贈り物をされたらしい。かなり照れておった。
 肝心の、言い出した張本人の鷹介は、かなり帰宅が遅くなった。派遣先の菓子屋からケーキを抱えて帰ってきた。こっそり酒も持ち込もうとしていたようだが、さすがにそれは叱りとばした。
 霞兄弟も参加。数年前まで普通の若者として過ごしていた鷹介たちと違い、幼少時から修行一筋だった彼らには、西洋かぶれの祭り騒ぎは戸惑いが大きかったようだが、それなりに楽しんでいたようだ。皆で歌なども歌っていた。
 最後にいきなりサンタクロースが現れて、銘々に包みを配るとたちまち消え去ったが、おそらくはシュリケンジャーだったのだろう。まさしく神出鬼没である。

 皆の笑顔を見ていると、おぼろではないが、たまにはよいか、と思う。今まで、気のゆるみから危機を招いたことも確かにあったが、さまざまなことを未熟な彼らなりに乗り越えてきた。
 御前様のことが漏れたのはわしの失態だが、御前様を前にし言葉をいただいたことで彼らの中に新たな決意が生まれたように見える。決戦に向かう彼らを信じて見守ろうと思う。
 わしは耶蘇教の神は信じぬが、もし大いなる存在というものがあるなら、皆に加護を与えてほしい。
 ついつい長くなってしまった。わしも浮かれていたのかもしれぬ。



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