『広東バナナの商品相談』
広東バナナの品質等に関する商品相談事例等をまとめてみました。
 
〔T〕熟度
1.「青いバナナが届きました!」
 バナナは堅く青い状態で輸入され、日本国内でムロに入れて追熟を行います。(輸入時に行われる植物検疫では、すでに黄色くなったバナナは害虫の温床と見なされ、廃棄処分が言い渡されてしまいます。)青葉バナナはタンニンがきつく、害虫を寄せ付けないため輸入が許可されるというわけです。
輸入が許可された青バナナは、共同購入のお届け日程に合わせた熟度調整(色づけ)を行うことになります。その際、外気温の影響やバナナ自体の熟度との関係で、100%統一した熟度コントロールには至らないことがあります。とくに季節の変わり目や厳寒期には、思ったよりも色づきが遅くなり、お届け時にはまだ「真っ青」ということがあります。
 お手数ですが、こんな時は、出来るだけ暖かい部屋で新聞等にくるんで黄色くなるまで待って下さい。一度ムロ入れしたバナナは追熟が始まっていますので、そんなに日数を要さなくても食べ頃になります。冬季ならばリンゴと一緒に置いておくと、エチレンガスの影響でより早く熟します。
 
2.「熟しすぎて食べられませんでした!」
 前述の青バナナの逆パターンです。青いバナナはやがて黄色くなり、黒い斑点が出て皮が薄くなり、発酵が始まり最後には腐ってしまいます。この間にそれぞれ好みの「食べ頃」があるわけですが、とくに30℃を超えるような真夏の暑さの中では、「食べ頃」が極端に短くなり、すぐに腐ってしまうことがあります。とくに共同購入の仕組みの中では、前もって配達のための仕分け作業を行う必要があり、袋詰め作業時に検品したのにお届け時には傷みが発生していたという事例があります。他の農産物等と同様、「届いた時点での腐り」については交換または返金の対象となりますのでお申し出下さい。
 
3.「青いまま腐ってしまいました!」
 5月から6月にかけて、台湾系バナナでは「新芭蕉」と呼ばれる追熟しにくいバナナが時折見られます。これは青い段階では見分けが付かず、少し早めの段階で袋詰作業を行った際には見落としてしまうことがあります。この時期の気温で2〜3日おいても色が変わらないようであれば、この「新芭蕉」の可能性があります。いつまで経っても外皮が青く、実が堅いまま腐ってしまったり、中には外皮は青いのに実は普通に熟して美味しく食べられる場合もあります。食べても害はありませんが、正常なものとの交換または返金をお申し出下さい。
 
 
〔U〕生育不良
「皮を剥いたら黒い筋がありました!」「中心部分が黒く堅くなっています!」
 バナナの果実内部には、水分や養分を運ぶ繊維(管)が集中した部位(導管や維管束)があります。肉眼でも確認できる部分として、果皮と実との間の無数の筋、そして中心部分、さらに中心から果皮に向かって3方向に放射状にのびて存在しています。熟したバナナを輪切りにするとこの様子が良く分かります。「黒い筋」や「中心が黒い」といわれる部分は、これらの導管や維管束が目詰まりし、周辺の組織が枯れて木質化したものです。これらの枯れた部分は食べてしまっても害はありませんが、やはり、正常に生育したものではありませんので、追熟課程に於いても十分な熟度や糖度が得られないことが多く、食味への影響もあると思われます。ただし、外見からの判断が難しいために、検品袋詰めの際にも見落とされてしまうことがあるようです。交換または返金を申し出て下さい。
 
 
〔V〕異物混入
1.「バナナの房の隙間に繭がありました!」
 広東バナナ協議会専用農園では、農薬(殺菌剤、殺虫剤等)を使用しないために多くの生物が共存共生しています。とくに、昆虫の類はたくさんいますが、今回お申し出の「サナギ」は、「バナナセセリ」という蝶の一種のものです。
 バナナセセリは産地で最も多く観られる蝶ですが、成虫はバナナの花の蜜に集まり、バナナの葉上に産卵します。孵化した幼虫はバナナの葉を食べて成長し、通常はバナナの葉を巻いてサナギとなり、葉の先にミノムシのようにぶら下がります。産地では「葉巻虫」と呼んでおり、多く発生した場合は手で採取して駆除しています。
まれに、今回のようにサナギがバナナの房から発見されることがあります。幼虫が実を食べることはありませんが、隠れ家として房の間に繭を形成した物と思われます。果実自体には影響が無く、除去して頂ければ問題ありませんが、しかし、これは異物混入に該当いたします。産地出荷時の水道水洗浄の際や、日本国内でのムロ入れ後の袋詰めの際に発見され除去されるべきものです。
 しかし、サナギの在った場所が房の入り組んだ部分であったために、見落としてしまったものと思われます。お申し出頂き有り難うございました。今後の作業改善に役立たせて頂きます。
 
2.「袋の中に蝶が入っていました!」
 前述の繭から蛹が羽化して、袋詰めされたバナナと共に店頭陳列されていたことがありました。ご迷惑をおかけ致しました。産地に伝えて検品強化させて頂きます。
 
3.「房の間にクモの巣がありました!」
 前述の事例と同様ですが、地蜘蛛が房の隙間を隠れ家として巣を作ることがあります。ご迷惑をおかけ致しました。産地に伝えて検品強化させて頂きます。
 
 
〔W〕その他
1.「フィリピンバナナが届きました!」
 実際にあった話ですが、夏の暑い時期のことでした。「これはフィリピンバナナだ!」と、組合員さんの怒りの声!このバナナを供給した加工屋さんは、「間違いなく広東バナナを加工しました」と説明しますが組合員さんは一向に納得されません。確かに、この時期の広東バナナは、気候条件が熱帯に近いために、大きくて綺麗な色(風邪引きのない明るいレモン色)のバナナに育ち、フィリピン産バナナに似ているのです。
 しかし、この時、協議会が加工屋さんに供給した青バナナの数量は、加工屋さんが生協に納品した広東バナナの製品およびロス数量との和に一致していましたので、状況から見ても「いわゆる産地偽装」ではないだろうと判断させていただきました。この事件、「遺伝子を調べる!」までには到らなかったということです。
 
2.「デルモンテのバナナが届きました!」
 見かけも味も広東バナナなのに、デルモンテのシールが貼ってあったとの申し出がありました。その時の加工場を調べたところ、広東バナナの袋詰作業の前に、デルモンテバナナの加工を行っていたことが分かりました。同じ作業台で袋詰めを行ったために、先の作業で剥がれ落ちたデルモンテシールが台上にあり、後に作業した広東バナナに貼り付いたものでした。加工場に作業前の台の清掃をお願いしておきました。

※ご迷惑をおかけ致し申し訳ございませんでした。出来る限り改善努力して参りますので、今後ともよろしくお願い致します!

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