感染とは

感染とは何か


細菌の接触と感染は違います!

“かぜ” が流行っても罹る人と罹らない人がいます。同じ物を食べてもO-157に感染する人としない人がいます。では感染とはどんなメカニズムなのでしょうか。一緒に学びましょう。


  1. 細菌接触と感染の違い

    1. 細菌の接触と感染経路

      便や空気中に存在する細菌やウィルスが呼吸器(鼻、喉頭、気管支、肺等)や消化器(口内、扁桃腺、咽頭、胃腸等)、泌尿器(尿道、膀胱、腎盂等)、生殖器(膣、睾丸、子宮、子宮附属器等)、目、耳、皮膚に接触することと細菌やウィルスが体内に感染(伝染)することとは異なります。細菌やウィルスは前述した感染経路から、まず人体と接触します。

    2. 人体の防御機構の細菌攻撃

      人体にはそのような外敵に対する防御機構が生来備わっていて、粘膜や皮膚から細菌やウィルスが侵入すると、それらの外敵を殺すために細菌を貪食する白血球や、細菌及びウィルスの働きを免疫で無能化させるリンパ球が粘膜や皮膚の下に集まって、外敵を攻撃します。この戦争時に咽の奧が痛くなったり、赤く腫れたり、発熱したりするのです。

    3. 勝敗結果と細菌の人体定着

      そして人体の防御機構の方が細菌やウィルスより勝っていると、感染はせず細菌やウィルスは全滅します。所が人体が疲れていたり、弱っていたりして人体の防御機構や免疫機構が細菌やウィルスに量的、機能的に劣って負けると、細菌やウィルスは人体の中に住み着いて、人体の中で子孫を増やして定着するのです。

    4. 細菌の感染

      この状態を「感染した」というのです。ですから、細菌に汚染された同じ給食を食べてもO-157に感染した子と感染しなかった子の違いはその子供の持つ防御機構の量と機能の差に依ったと言えます。

  2. 抗生物質と突然変異

    1. 抗生物質の働き

      第2次世界大戦のイギリスの英雄、チャーチル首相の肺炎を治して一躍有名になったのが抗生物質のペニシリンです。抗生物質の定義は<微生物によって作られ、微生物その他の細胞の発育又は機能を阻止する物質をいう>です。その働きをみると、ペニシリン、セファロスポリン系は細胞壁の生合成を阻害し、ストレプトマイシンは動物細胞以外の細胞の蛋白質合成を阻害します。則ち抗生物質は細菌その物を殺すのではなくて、菌などの微生物が細胞分裂して増殖しないように阻止する役目をするのです。ですから、例えば風邪の菌が体内に入っても、その入った菌その物を殺すのではなく、その菌が鼠算的に増殖させないように細胞分裂を阻害し、その間に体内に入った菌を従来の人の防御機構である、白血球の貪食作用で殺し、リンパ球の免疫作用で無力化させて治癒させるのです。

    2. 細菌の突然変異

      細菌の方では「種の保存」の原則が働いて、突然変異によってその抗生物質に耐えられる耐性菌が出現します。そこで、その耐性菌に有効な新たな新抗生物質を開発し耐性菌の種の保存が危うくなると、叉その新抗生物質の新耐性菌が突然変異で出現、そこで更にその新耐性菌に有効な新新抗生物質を開発するようになると、菌と抗生物質の追駆っことなります。抗生物質の使い過ぎに警鐘を与える事実です。

  3. O-157菌

    今回日本で大流行して死者まで出したO-157病原性大腸菌は抗生物質との追駆けっこで生まれたものではありませんが、人の体に常在する大腸菌が赤痢菌と同様の働きを持つ病原性大腸菌に突然変異によって出現したと考えられます。

  4. 防御機構を強くするには

    話は少し横道に反れますが、人の生来の防御機構を強くするためにはどうすればいいのでしょうか。薬を服む、と答えた方は間違いです。一般に風邪薬と言われている薬は解熱鎮痛剤と抗生物質、鎮咳剤です。抗生物質は前述したように細菌の細胞分裂を阻止するものであり、解熱鎮痛剤は熱を下げるだけですし、鎮咳剤は咳を鎮めるだけです。実は防御機構を強めるには、昔から言われているように、充分な安静と睡眠、肝臓や胃腸に負担の掛からない食事という事になります。

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