痔の種類と治療


痔にもいろいろあります。治療もいろいろあります。

痔には外痔核と内痔核、それに痔瘻と裂肛があります。それらの違いと治療法を学びます。


痔の種類と治療

  1. 痔核

    痔核とはうっ血した肛門部静脈叢が静脈瘤状に腫れ上がったものをいいます。肛門の外に出た外痔核と筋肉のトンネルである肛門輪内にあるものを内痔核といいます。

    1. 外痔核

      肛門部に痛みを伴った浮腫状の腫瘤があります。保存的療法でもよく、早く治したい場合は血栓摘出術で治ります。

      保存的療法

      • 便通の調整:便秘対策が特に重要です。繊維、水分の摂取、過度の香辛料、アルコール摂取を慎むこと、よく噛むことなどを励行する。
      • 正しい排便習慣と肛門の衛生:規則的な時間に排便する。暖かい様式トイレを使用し、出来れば紙を用いず洗浄器を用いる。入浴時の洗浄など。
      • 薬物療法:便秘には下剤、内服痔疾用薬、感染 のあるものには消炎剤、抗生物質の投与。局所的には坐薬と軟膏。

    2. 内痔核

      出血は、紙につく程度のものからほとばしって出るものまでいろいろあります。赤い血。血が黒ければ胃かっ十二指腸からの出血です。
      痔核脱出の程度により次のように分類します。
      1度:脱出のないもの
      2度:排便時に脱出するが、自然還納するもの
      3度:排便時に脱出し、用手的な還納が必要なもの
      4度:排便時以外にも脱出してしまうもの

      内痔核の治療

      • 保存的療法:適応は1度及び2度。
      • 硬化療法:専用の2段針で硬化薬を痔核内に注入する。1度及び2度の痔核に適応。
      • 輪ゴム結紮法:2度及び3度が適応。特殊な結紮器を用いて痔核の根元を輪ゴムで結んで壊死( 痔核の組織死)脱落させる方法。完治率は高い。外来でもできる。
      • 凍結療法:適応は2度と3度。クライオサージェリーといわれます。特殊な凍結装置のプローベを痔核に当てて、壊死させます。5〜6週間後には柔らかな組織に変ります。
      • 手術療法:2度、3度、4度が対象。現在では結紮切除法が最も推奨されています。

  2. 痔瘻

    後天的に発生した肛門管と交通する瘻管で、肛門腺の感染による膿瘍(肛門周囲膿瘍)から生じると言われています。
    肛門周囲の発赤、硬結、膿性の分泌物による下着の汚れなどを主訴に来院します。肛門痛を伴う場合は少ない。
    治療は手術適応です。

    • 乳児の痔瘻
      生後1カ月から6カ月にかけて、男児に限り肛門の両側に(3時と9時の方向を中心に)肛門周囲膿瘍が発生し、切開、排膿後「乳児痔瘻」の状態になることがあります。完全痔瘻より不完全痔瘻(肛門管と交通を持たない痔瘻)となるケースが多くみられます。
      3〜4カ月に自然治癒するものが多く、外来での保存的療法で殆どが治癒しますが、生後9カ月を経過してもなお治癒しないケースに瘻管摘除術を施行します。

      • 乳児の肛門ポリープ
        「見張りいぼ」ともいわれます。女児の肛門疾患。12時方向。6カ月から3歳まで。硬便による痔裂が原因。保存的療法で治癒します。

      • 肛門周囲膿瘍

        肛門管。肛門皮膚に発生する膿瘍で、原因は痔瘻の一症状として発症するものが多い。その他の原因として、痔核、裂肛、外傷、腫瘍、炎症性腸炎、血液疾患(白血病など)、婦人科疾患などがあります。
        症状としては、肛門痛があり、部位によってはかなりの激痛となります。
        治療は切開排膿が原則になります。痔瘻に移行した場合は瘻管が固まってから根治的手術となります。

    • 裂肛

      裂肛とは、肛門上皮の裂創、びらん(上皮の剥離)、潰瘍性病変(上皮のほじれ)の総称をいいます。
      原因は、一般的には、硬い便の排泄などの機械的な損傷によってできた肛門上皮の裂創が寛解、再燃を繰り返す内に、慢性の潰瘍に至ったものが最も多いといわれています。
      発生部位は6時と12時が最も多い。
      治療は保存的療法と手術療法があります。

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