私がまだ大学生だった頃、サークルの1つ上の先輩が(原因は何だったのか忘れたけど)つまらぬミスをやって、会報紙上でお詫び文章を掲載なされたことがあった。その先輩は今では某新聞社の記者をやってらっしゃるくらいで、誠に文才に優れた方でいらっしゃったのであるが、その「お詫び文」の中でくだんの「遺憾の意を表します」が登場してきた。そのことに対して、今度は2つ上の先輩が「遺憾」とは「他人の振る舞いに対して許し難く思うこと」だから、自分のやったことに使うのは変だ。大学生にもなってこの程度の言葉の使い方も分からないのか、と、ひどくつっかかったのを覚えている。
しかしながら、当時既に漢字オタクだった私は「大学生にもなってこの程度の言葉の使い方も分からない」のは2つ上の先輩の方だと言いたかったが、その人は怖いのでやめた。
ズバリ言うと、「遺憾」とは「残念に思うこと」なのだ。だから、自分に対してでも他人に対してでもどちらでも使えるのだ。まあ、テレビに出てくる「偉いさん」が、どこまで残念に思っているのかは知らないけど、何だかわざと難しい言葉を使ってはぐらかされているような気分になるのは私だけではあるまい。
とにかく、先述の先輩のように言葉の意味を勘違いするような人もいるので、「遺憾の意」なんてややこしいことを言わずに、素直に「陳謝の意を表します」と言っておけば問題ないし、好感が持てると思うのだが。