めだか日記  


目次

はじまり  飼育開始  衝撃  人災  発見  産卵  ベビーラッシュ 孵化

天敵  老衰   反省


はじまり

1999年7月20日(海の日)

 町内のまちづくり活動で、子ども達を集めて親子自然観察会を実施。
 町内を流れる小川にどんな生き物がいるのか、みんなで採集して生き物地図を作った。 このとき、最近見かけることのなかったメダカの存在を知ることとなった。
 野生のメダカ(黒メダカ)は、環境庁によって絶滅危惧種第二類に指定されているとのことをホームページを通じて知り、一同「この自然をいつまでも大切に護っていこう!」「子ども達にメダカの棲める自然を残そう!」と誓いあった。
 
1999年12月
 メダカの棲む小川へそそいでいる河川の改修工事により、生息場所の水質悪化が危ぶまれたため、自治会を通じて工事発注者である県土木事務所、市役所並びに工事請負業者に対し、その工法について環境に配慮していただくよう要望書を提出。話し合いの場をもっていただき、出来る限り配慮する旨約束をしていただいた。
 また、工事期間ならびに竣工後2〜3年は、コンクリートのアク水等で水生生物への悪影響が懸念されるため、工事着工前にそれらをできるだけ保護することにした。
 
2000年2月
 いよいよ工事が着工されることとなり、有志により雪の積もる中メダカの保護活動を行った。約100匹のメダカと10匹余りのタナゴを保護することに成功。万一を考えて20匹ずつ5人で分けて育てることにした。2〜3年養殖した後、また無事に元の小川に1匹でも多く戻せるよう大切に育てていきたい。
 
 このメダカ日記は、このような思いから始りました。
また、このホームページのタイトルである「メダカの学校小田分校」も、そんな思いを同じくした仲間が集う場として開校したものです。
 

飼育開始

(準 備)

 これまであまり生き物を飼うことに縁がなかった私は、とにかく図書館でメダカに関する本を読みあさり、にわか仕込みの知識でメダカ君たちに向かうことと相成りました。
 でも、一番ありがたかったのは何といってもインターネットでした。メダカに関するいろんなサイトがあり、育て方から産卵までみなさんの経験談が何より参考になりました。
 とりあえず、20匹の内半分をプランターで、後の半分を水槽(実は虫かご)にエアーポンプを付けて飼うことにしました。
 ちなみに私は、秋頃に工事の話を耳にしたので急いで子どもと一緒に20匹のメダカを捕獲しにいきました。
ホテイアオイが良いとのことで、近くの堀端で採ってきてそれぞれ入れました。
私とメダカ君たちとのお付き合いは、もう秋に始まっていたのでした。
 
(観 察)

11月

@プランターには水草を一杯入れて、水が減っただけ浄水器の水を足しました。
 水温が低い間は、餌もあまり食べないとのことで、金魚の餌を細かく砕いて少しやりましたが、いつまでも残っていたのでやるのをやめました。
A水槽の方は、10匹入れるのには少し狭いような気もしましたが、体が小さいため「これくらいでいいか。掃除も楽だし。」との思いから、狭いながらも楽しい我が家を経験してもらいました。
 

2月

みんなとメダカ保護に行った後、我が家のメダカ君たちの様子を見ると、どちらも元気に泳いでます。
(お遊戯でもしてるのかな?)
 

衝 撃

4月

 水槽の方は何故か2匹死去。気になってプランターを見ると4匹しかいない!水草をかき分け正確に数えてみてもやはり3匹。死体は発見できず。他のメダカに食べられたのか?それとも餌をあげなかったために餓死して、微生物に跡形もなく分解されてしまったのか?
先陣を切って保護した手前、他の仲間に死んだとは言えず・・・残り11匹

 

人 災

5月上旬

 水温も上がり、餌も少しずつ食べる量が増えてきたためいよいよ観察も力が入ってきます。オス、メスの比率を同じにして2つの水槽に分けました。
見たところメスが少なく、オス3〜4匹に対してメス2匹の割合となりました。
 子どもの虫かごがまだ1個あったので、そこへホテイアオイを入れて片方はエアーポンプなしで育てました。プランターではエアーポンプなしでも大丈夫だったからです。でも、これが災いしてか3日後に酸欠?で貴重な5匹を死なせてしまいました。虫かごとプランターでは水の量が10倍ほど違うことに早く気が付くべきでした。
また、紫外線にあてるべく半日ではありますが日なたに置いたことも、水温の急変を招き死なせた要因となったのでしょう。これは明らかに人災でした。
(このメダカたちの死を無駄にせぬよう、反省すると共に次への教訓とします。)・・・残り6匹。もう後がない!
 他の保護した仲間には、大きなタライに水草と共に入れっぱなしという人が一番多く生き残っていました。20匹中なんと15匹健在でした。私はかまい過ぎたのでしょうか・・・?

発 見

5月28日(日)

 天気がよいので散歩がてら工事の様子を見に行き、ついでに例の小川をのぞいてみると、なんとメダカを1匹発見!工事で水が止まっていたため、溜まった水の中でまだ健在でした。
 すぐに網を取りに帰り、4匹を捕獲に成功。これでオス6匹、メス4匹で合計10匹となりました。とりあえずプランターで1日様子を見ることにしました。
 そして今度は少し大きな水槽で飼って観察するため、ホームセンターで水槽のセット(ポンプなど一式で2,500円ほど)を購入しました。ついでに子供と一緒にホテイアオイをたくさん採って帰ってきました。

産 卵

★うちのデジカメはマクロ撮影ができないため、画像をお見せできないのが残念です。

5月29日(月)水温23℃

 次の朝、新しい水槽に昨日保護しためだかを移してやることにしました。
網ですくっていると、何とその内1匹がおなかに卵をたくさんつけていたのです。約20個はあったと思います。
昨日保護していなければ、そのままあの小川で絶滅していたことでしょう。本当に良かった。グッドタイミング!
このとき水温は23℃。やはり勉強したとおりでした。
 水槽に移して観察すると、他のメダカが追いかけて食べようとしているかのようでした。
 午後になり、ようやくホテイアオイの細い根っこに卵を産み付けたので、前飼っていた虫かごへホテイアオイを水と共に移し、エアーポンプで酸欠を防ぎました。もう二度と同じ過ちは犯しません。
 いよいよこれからが観察の正念場です。

6月2日(金)

 産卵当初は、透明でちょっと黄色っぽい卵でしたが、4日め位から卵の中に黒い点が見え始めました。あくまでも肉眼での観察ですのではっきりとはいえませんが、恐らくこれが目になる部分でしょう。

ベビーラッシュ

6月6日(火)水温24℃

 卵の中心部分の黒い点が大きくなり、はっきりしてきました。
また、驚いたことに8日前に産卵したばかりのメダカが、今朝再びお腹に卵を付けて泳いでいたのです。産卵周期の早さに驚くばかりです。メスのメダカが少なかったため、モテ過ぎてお腹を休める間もなく次の産卵に入ったようです。
更に、他にも1匹卵をたくさん付けて泳いでいるメダカを発見しました。我が家のメダカ水槽はたちまちベビーラッシュとなりそうな様相です。無事に全部が孵化してくれることを祈ります。

 

孵 化     

6月7日(水)水温26℃

 なんと産卵からわずか9日めで、とうとう初めての稚魚が孵化しました。
いつものように卵の様子を覗いていると、目の前をウロウロと泳いでいるものがいて、じっと焦点を合わせてみるとなんと待望のメダカの赤ちゃんが元気に泳いでいるのでした。
針の先ほどの小さな体でスイスイと、まるで大人のメダカを真似るように泳いでいました。
 産卵からここ数日間、まるで我が子の誕生を待つかのような心境でした。我が家の子どもたちや家族とともに、新しい命の誕生を目の当たりにして、ほんのひととき暖かい気分になりました。(本日夜、肉眼で9匹の孵化を確認)
 一方、親メダカの水槽ではここにもまた別の新しい生命が誕生していました。
従来からホテイアオイについてきた巻き貝です。
新しい水草を入れたとき、掃除して全部いなくなったと思っていたのに、その繁殖力には驚きです。
 タニシの小さいような巻き貝で、実にたくさんの卵を生みつけ、一斉に繁殖します。ひどいときには水槽から抜け出て、途中でひからびてそのまま息絶えているものもいます。
 特にメダカに対して害は無いようなのでそのままにしておくことにします。
 

6月10日(土)

 産卵シーズンを迎えたため、メダカの学校のメンバーで現在飼育中の5人がそれぞれのメダカを持ち寄り、オスとメスの配分を均等に割り当て直しました。
 1匹ずつ見分けながら水槽に移したところ、共食いや寿命その他の影響を受けずに生き残ったメダカは、100匹中わずか33匹でした。なんと生存率3割です。(オス18、メス15)
 なかにはオスばかり飼っていたメンバーもおり、今回分け直したことにより全員が同じ条件で孵化させることができそうです。我が家もオスがかなり多かったため、オス3匹とメス2匹を交換していただきました。
 他のホームページや図書から得た知識と、これまでの失敗経験などもふまえて、今後の飼育に明るい兆しが見えてきました。
 また、我が家の孵化した子メダカ達を見て、メンバー一同良い励みになったことと思います。
その夜、メンバー一同メダカ談義に花が咲き、祝杯をあげたことは言うまでもありません。

6月11日(日)水温22℃

 またもや今朝産卵しているメダカを発見しました。昨日我が家にやってきた2匹を含めてメスは計4匹。そのうち3匹がお腹に数の子のような卵をたくさんつけて泳いでいました。まさに1週間ごとに産卵しています。聞くところによるとメダカは、条件さえ良ければ1つのつがいで1シーズンに約430個もの卵を産むそうです。このペースならそれもうなずけます。
 ベビーラッシュはまだまだ続きそうです。アーめでたい!めでたい!
子メダカの体長は、現在約5mm。9匹とも健在です。
今では我が家の子ども達と一緒に、その成長を見るのが毎日の楽しみになっています。

天 敵

6月22日(木)

 子メダカの孵化を楽しんでいた毎日でしたが、体が小さいこともあってその数を把握するのはなかなか大変です。でも、産卵の数からして孵化している子メダカの数がどうも少ないような気がしてなりません。
 そこで卵の付いているホテイアオイをそっと引き上げてみると、なんだか白い変な幼虫みたいなのを発見しました。何とそれは紛れもないメダカの天敵「ヤゴ」だったのです。知らないうちにこのヤゴが孵化して、子メダカたちを食べていたのです。あーショック!
 さっそくそのヤゴを金魚の水槽へ移し、金魚の餌にしてみましたが、悪運の強いヤゴはすぐに水草の隙間に入り込み、姿を消してしまいました。でも金魚の餌食になるのは必至。
 憎っきヤゴ!成仏しなさい!・・・

6月25日(日)

 子メダカ水槽の中にヤゴを発見して以来、他の生物の存在が気になって仕方ないので一度水槽をきれいに入れ替えてやることにしました。本来は自然のままが一番良いのは分かっていますが、先ずは子メダカの孵化率を上げることが先決です。他の虫たちの餌にされてはたまりません。
 2リットルの四角いペットボトルを横にして、上部をくりぬき簡易水槽にして子メダカを数えながら入れ替えてやり、同時に卵の付いた水草も移しました。その数なんと52匹。ヤゴにも負けずよくぞここまで育ってくれました。
 
   1,産卵から孵化までおよそ1週間かかっている(水温にもよるが平均して)
   2,メス全部の産卵回数は、これまで合計18回
   3,この1週間以内の産卵は、そのうち9回
   4,ヤゴにやられた子メダカを1割として
       52匹÷9回×1.1 として 
     1匹あたり約6匹の子メダカを孵化させていました。
  このペースで7月いっぱいまで産み続けると
     120匹はいけるでしょう・・・・なんというデタラメな計算!
  たった4匹のメスメダカから約30倍もの子メダカが生まれるなんて・・・これがお金なら。

7月4日(火)水温28℃

 ここ数日産卵周期がかなり早くなったようにおもいます。卵の数自体は少ないようにも思いますが、3〜4日の周期で4匹のメスが入れ替わり立ち替わり産卵を繰り返しています。
 水草もその都度移動させていると、数が足らなくなるため最近では、直接卵を採卵して子メダカの水槽にある水草に移すようにしています。この方法は、日本野生メダカ保存会の鈴木さんにアドバイスいただきました。
 親メダカもお腹がすくと卵を食べてしまうようです。だから産卵したらその日のうちに採卵して移すようにしています。一番最初に孵化したと思われる子メダカが、ようやく体長1cmほどになりだんだんメダカらしい黒っぽい体になってきました。子メダカの水槽はもはや数を数えられる状態ではありません。まさにウジャウジャ泳いでいる、といった感じです。

老衰

7月7日(金)

 8匹のメダカのうち、昨日メス1匹が死んでしまいました。それに続いて今日、今度はオスが死んでいました。特に水質にも変化はなく、これといって環境を変えてもいないし、他のメダカはいつもどおり元気です。残念ながら寿命と思われます。
 たくさんの卵を産み、子孫を残したことで天寿を全うしてくれたのでしょう。君たちの命は、子ども達に引き継がれています。どうぞご安心を・・・
 残る6匹のメダカは、今日も元気です。うち2匹のメスは、たくさんの卵をつけて泳いでいます。

反省

7月19日(水) 

 日野川改修工事が始まってから、メダカの小川はコンクリートのアク水が流入しないように堰き止めてもらっています。このためか、水路には水草が一面に広がり、メダカを見られるどころではありません。
 そんななか、そこから分かれた排水路にメダカを見たとの情報を聞きつけ、早速網をもって行ってみました。噂どおり、紛れもなくメダカの大群がそこにいました。恐らく、小川から流されたメダカがそこに住み着いたのでしょうが、やがては干上がる排水路であるため、すぐに網で捕獲しました。10分ほどで約20匹を捕まえましたが、なんか様子が変です。よく見ると、それらのメダカたちは、そのうちの3分の1が背骨がS字に曲がってしまった奇形魚でした。
 そういえば、その排水路への分岐までの小川は、一切排水が入ってこないのですが、その分岐から先は水田の排水が集中して流れ込む場所だったのです。恐らく水田で使う殺菌剤や、除草剤といった農薬の残留した排水が、このメダカたちに影響を与えたのだと思います。
 メダカを発見した喜びもつかの間、奇形のメダカたちを見て、近い将来人間にもこの環境破壊のしっぺ返しが来るような気がして、背筋が寒くなりました。農薬に頼りっぱなしの現在の農業に対して、改めて考えさせられる瞬間でした。
 このメダカは、子ども達にそのことを伝えるため、そのまま持ち帰り別に育てることにしました。

7月31日(月)

 まだ水路にたくさんメダカがいるのを確認し、約20匹ほど捕獲して今度は観察用の水槽に入れてやりました。今までいたメダカたちも、突然多くの仲間が増えたことで、縄張り争い?みたいにしばらくは追い掛けっこをしていました。
 6匹のメダカから急に水槽が賑やかになりました。

8月5日(土) 

 メダカを増やして3日目くらいから突然メスが産卵しなくなりました。メダカが増えたことによるストレスのせいか、それとももう産卵しつくして産めなくなってしまったのか。私は前者の方であると思い、とりあえずまた10匹ほどに戻して、他の水槽に移しました。
 子メダカはといいますと、体長1cmそこそこに成長したものだけ4匹を、親メダカの水槽に入れてやりました。ここまで成長すると、親メダカに食べられてしまう心配も無さそうだし、第一最近あれだけ孵化していた子メダカがいっこうに増えている様子がないのです。ひょっとすると子メダカが孵化したてのメダカを共食いしているのでは?という危惧もありました。そこで、可愛い子には旅をさせることにしたのです。

8月10日(木)

 親メダカと一緒にした子メダカは、日ごとに成長が著しく実に頼もしい限りです。つがいの数を10匹ほどにして2〜3日して、また親メダカが産卵を再開しました。やはり、産卵が止まったのはストレスみたいなものが原因だったようです。このへんのデリケートな部分は、人間に通じるものがあるのかも・・・
 でも、孵化した子メダカが思うように増えていないのには、今ひとつ原因不明なところがありますが、何ものかに食べられているのではなく成長できずに死んでしまっているようです。
 メダカは殆ど毎日のように産卵しますが、孵化して成魚となる確率はかなり低いようです。だからよけいにたくさんの卵を産み続けるのでしょう。

8月23日(水)

 最近めっきり産卵が少なくなってきました。ちょうどお盆を過ぎた頃から卵を殆ど見かけなくなりました。いよいよ産卵シーズンも終わりに近づいたのでしょうか。
 この夏孵化して成魚となったメダカはわずかに20匹あまりでした。他の先輩方に聞くところによると、もっと多いようですがどちらにしても、新しい命が次の世代に引き継がれたことに先ずは一安心といったところです。

番外編

 先日、町内排水路の一斉清掃が行われました。水田のある家は、それぞれの持田の排水路を共同で掃除しました。
 排水路に生えた藻を掻き取ると、藻と一緒にボテジャコやウロリ、オイカワ、ザリガニなどの魚たちがあがってきました。他の場所にはナマズやスッポン、ウシガエルなどの姿も見られました。もちろんメダカたちもたくさんの流域に生息しているのが確認でき、まだまだ自然の残っている私たちの町にひとまず安堵しました。この自然がいつまでも後世に残していけるよう、私たちメダカの学校はこれからも地道な活動を続けていこうと思います。

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