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         俵萠子美術館
                              
1.はじめに   あなたは群馬県のことをご存知でしょうか?  群馬県の特徴を「上毛かるた」からいくつか拾ってみましょう。  ・「つ:つる舞う形の群馬県」−鶴が舞っているような形状です。  ・「と:利根は坂東一の川」−坂東太郎(利根川)は群馬から発しています。  ・「ら:雷と空風義理人情」−夏は雷、冬は空っ風に鍛えられた上州人の気                質は義理人情に厚いようです。  ・「す:裾野は長し赤城山」−県中央に位置する赤城山の裾野は雄大です。   かつて、群馬県は養蚕と製糸業が盛んでした。  ・「け:県都前橋生糸の市(いとのまち)」・「め:銘仙織出す伊勢崎市」  ・「き:桐生は日本の機(はた)どころ」 ・「に:日本で最初の富岡製糸」     俵萌子美術館は、前橋市に近い赤城山の裾野にあります。  去年(2005年)12月、群馬と東京の友人家族を伴って俵萌子美術館を  訪問しました。私は2002年に次ぐ再訪です。 2.美術館の周囲   前橋から赤城山の山頂へ通じる赤城道路という県道があります。  前橋の中心部から10キロほど走って大きな赤い鳥居をくぐり、蓄産試験場  を過ぎて間もなく右に入ると、背後に雑木林が控えた美術館があります。  四季それぞれの趣を存分に楽しめる空間が広がっています。 20020508tawara02.jpg ←春の美術館(2002年5月)  ↓ 20020508tawara01.jpg  20051207tawara (0).jpg  ←冬の美術館(2005年12月)         ↓前庭       20051207tawara (7).jpg               ↓横の広場             20051207tawara (4).jpg                     ↓裏の雑木林                   20051207tawara (9).jpg 3.美術館内部   この美術館は、よくありがちな威圧感を避けているようです。  ガラスの嵌められたドアを開けて中に入ると、優しい雰囲気のロビーです。  その奥の和室に陶芸作品が展示されていました。  ロビー横の部屋には陶芸、絵、書などの小物が展示されていました。  撮影の可否を受付の賢そうな女性に尋ねると、結構です、と答えてくれたの  で、少し写真を撮らせていただきました。     20051207tawara(12).jpg ←入り口へのアプローチ    ↓ロビー  20051207tawara (2).jpg 20051207tawara (3).jpg ←陶芸作品(手にとってご覧ください  との表示がありました)    ↓小物の展示  20051207tawara(11).jpg 20051207tawara (6).jpg  1階の奥に喫茶室がありました 喫茶室からは庭と雑木林をながめること ができます 左手の向かいには陶芸の工房があります   靴を脱いで上がった2階には、陶芸、絵画、著作の原稿 などが展示され  ていました。 20051207tawara(10).jpg ←柿釉わら白流しの大鉢    ↓どくだみの花(部分)     (コピーはご遠慮ください)  20051207tawara-museum02.jpg                    この写真は絵の一部を欠いています                       全体は美術館のホームページに掲載                       されている写真をご覧ください    4.夢工房   作家、評論家として著名な萠子さん(と、あえて著名な先生を親しそうに  呼ぶ失礼をお許しいただいて)は、「陶芸家」の道も踏み分けておられます。 20051207tawara (5).jpg  本館に隣接して設けた陶芸の工房は 「夢工房」と名付けられています。  ここで陶芸教室も開いています。 ←陶芸工房   ↓工房入り口 20051207tawara (8).jpg   私がこの工房に興味をもったのは、萠子さんの講演録を読んだのがきっか  けでした。萠子さんが陶芸を志した当時、女性に教えてくれる陶芸家は少な  かったそうです。ようやく見つけた先生は九州に住んでおられたため、3年  余り九州まで通い詰めたそうです。   私が定年退職直後の2002年に見学させていただいたとき、工房では何  人かの生徒さんが楽しそうに作陶していました。40代から90歳近い人ま  でおられたようです。萠子さんは「中高年の人達に元気を与える場をつくり  たい」旨を書いています。  たまたま休憩時間になったため、お茶をご馳走になりました。萠子さんはお  茶を飲みながら、「ここでは、窯炊きを含む全ての工程を体験してもらいま  す」と話してくれました。 5.美術館設立のコンセプト   萠子さんが美術館の構想を練ったとき、来訪者に3つのプレゼントを渡す  ことを考えたそうです。   1.年配の方への「はげまし」   2.群馬の自然   3.群馬の人情     萠子さんは陶芸と絵画を50代になってから習い始めたそうです。  その体験が、中高年の人達への思いやりとなっているようです。    なぜ群馬なのかということは、お父上が群馬、とりわけ赤城山を愛してお  られた群馬県人だったからだそうです。  美術館を設けた場所が「勢多郡富士見村大字赤城山」であることは、偶然で  はなかったのでしょう。 6.おわりに   私の実家は、俵萠子美術館のある村の隣村にあります。  東京から九州まで通い詰めた萠子さんのことを思えば、私は実家を拠点とし  て夢工房まで通うくらいの気概が必要だろう、と考えたものでした。  その後、滋賀県のレイカディア大学で陶芸の基礎を学び、信楽で作陶を楽し  むようになりましたが、いつも萠子さんの夢工房を想い浮かべている次第で  す。     俵萠子美術館   〒371-0101 群馬県勢多郡富士見村大字赤城山1789-64         TEL:027-288-7000  FAX:027-288-8700   ホームページ:http://www.tawaramoeko.com/   
 俵萌子さんは2008年11月27日に
 逝去されました。
  謹んでご冥福をお祈りいたします。
 美術館は12月1日に閉鎖されたそうです。 
                  (散策:2005年12月 7日)                    (脱稿:2006年 1月10日) ------------------------------------------------------------------
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