1.はじめに
仙台を拠点にして散策してきました。
宿舎は、友人の妹君が別荘として使っているマンションです。京都から東京
までに散らばっている友人6人が集合しました。往復の交通は、各人の都合
に合わせて別々、昼間の観光も各人の好みで自由行動、という気楽な集まり
です。どんな発見があるのか、楽しみな4日間でした。
2.神戸空港
関西から仙台に行くには、新幹線、高速バス(京都発の仙台行きあり)、
フェリー(名古屋から)、飛行機などがあります。
私は往復とも飛行機にしました。
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飛行機にした理由は、神戸空港です。
今年(2006年)2月16日開港の空
港を覗いておきたい、と思ったためです。
←神戸空港マリンエア
↓幼稚園の子供たち
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JRの最寄り駅は三宮で、三宮から空港までは無人運転のポートライナー
で20分でした。滋賀県からのアクセスは割合スムーズです。
航空券はインターネットで予約しました。28日以前予約割引+チケットレ
ス割引で、片道11,100円でした。意外なことに、名古屋空港からより
も、神戸からの方が片道100円安いのでした。
3.青葉城址
仙台空港からバスでJR仙台駅まで40分でした。
この日は青葉城址を訪ねる予定だったため、仙台駅の案内所で尋ねたところ、
「ループル仙台」というレトロ調のバスが巡回していることが分かりました。
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ループル仙台は、晩翠草堂から始まる
市内の観光スポットを、一周1時間で巡
回しています。1回250円、1日乗り
放題は600円です。
←ループル仙台
↓晩翠草堂(晩翠が晩年を過ごした家)
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青葉城は、関が原の後に60万石に封ぜられた伊達政宗が築いた城です。
現在、城はなく、城址だけです。
本丸の石垣は、ヨーロッパの城壁などに見られるように、四角に加工された
石で隙間なく積み上げられていました。「最近仙台市が修復した」旨の案内
を見かけたので、つまらないことをするものだ、と一挙に興ざめしました。
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しかし、修復作業の展示現場の担当者に聞いた
ところ、この石垣は昔からの石を、そのまま積み
直しただけなのだそうです。
←伊達政宗の像
↓加工された石を積み上げた石垣
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城跡の公園には、土井晩翠の像がありました。
「荒城の月」の作詞者として名高い晩翠は、明治4年(1871年)に仙台で
生まれ、昭和27年(1952年)に晩翠草堂で亡くなりました。
←土井晩翠像
島ア藤村の詩碑がありました。
明治5年(1872年)生まれの藤村は、明治
29年(1896年)、25歳のときに東北学園
へ英語教師として赴任し、「草枕」の詩を書き上
げたそうです。
↓藤村の詩碑
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青葉城址は青葉山の上にあり、名前のように青葉に囲まれていました。
上空から眺めたら壮観だろうと思いました。
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そこで、清水から飛び降りる思いでヘ
リコプターをチャーターし、上を飛んで
みました。左端に上の写真の石垣が見え
ます。
チャーター費用はどれ位か、など興味
のある方は
こちら をご覧ください。
↑上空から見た青葉城址
青葉城址を見学した後、友人3人と仙台駅で合流しました。
京都と名古屋からの友人はフェリー、東京からは新幹線で来ました。合流し
た後、人気のあるホルモン焼き屋に行き、店の外で1時間待ちました。
腹ごしらえをした後、4人でゲームを楽しみました。
4.銀山温泉
翌日、私は友人に会うため、一人で山形県の尾花沢市に行きました。
仙台から新庄行きの48ライナーという特急バスが出ていました。48号線
を走るバスです。バスの最前列に座って景色を眺めていたら、あっという間
に1時間50分が過ぎて尾花沢に着きました。
バス停で友人が待っていました。
私が東京で勤務したときの友人で、40年振りの再会です。友人の家はバス
停のすぐ近くでした。仙台は涼しかったのに、ここはむっとする暑さでした。
「山形は暑いんだよ。ここは冬には2−3メートル雪が積もるしね」と友人
は東京にいたときよりもやや強い東北弁で言いました。
友人が連れて行ってくれたのは銀山温泉です。
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ここは江戸時代の初期に銀山として栄え、
寛文11年(1671年)頃に閉山となった後、
温泉地として発展してきたそうです。
←手掘りの坑道跡
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温厚な友人は土地の開発事業などにも関わっ
てきたため、顔が広い様子でした。
友人が親しくしている土産物屋さんに入って
みると、昔の温泉街を撮った写真が掲載されて
いました。
←大正時代の温泉街(江戸屋さん掲示)
↓現在の温泉街
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銀山温泉は、木造3階建ての旅館が有名です。
かつては「おしん」のロケ地として、近年はアメ
リカ人女将(ジニーさん)が知名度を上げるのに
寄与しています。
←木造3階建ての旅館
↓アメリカ人女将の旅館(建替え中)
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友人は不動産関係の仕事をし、地道に自分の居場所を固めてきたようです。
山形の蕎麦膳をご馳走になり、温泉で汗を流しました。
家族と友人宛にさくらんぼの宅配を手配して、仙台に戻りました。
夕食を済ませてからマンションに戻ると、名古屋からは飛行機、横浜から
は新幹線で、友人が二人来ており、熱戦が進行していました。
5.石巻(いしのまき)
今回は6人が合流しましたが、夜以外は全員で行動することはありません。
ご開帳となる夜だけがコアタイムで、昼は自由です。
翌日、2人は山形へさくらんぼ狩り、私を含む4人は石巻へ出かけました。
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松島を横目にしながら、JRで約1時間半で
石巻へ着きました。
←松島の一部(電車から)
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石巻には、萬画家石ノ森章太郎さん
の「石ノ森萬画館」があり、萬画の国
をうたい文句にしています。
(「萬画」とは、ジャンルを問わない
作品を量産した石ノ森さんの造語で、
「漫画」を越えた表現ツールである、
という意味のようです)
←JR石巻駅
石ノ森さんの生家がある登米市(中田町石森)は、石巻の少し北です。
(なぜ石巻が張り切っているのかは分かりません)
関西は梅雨空がぐずついていたのに対し、私たちを迎えくれた東北は晴れ
が続きました。とりわけこの日は雲ひとつない快晴でした。
しかし、この日の行程は、テポドンを打ち込まれた以上に悲惨でした。
この日の目的は、石巻漁港にある食堂で新鮮な海鮮料理を食べることでした
が、着いたのが漁港の食堂としては少し遅かったため、めぼしい料理はすべ
て売り切れだったのです。今回の仕切り役は、賭○で生計を立てている組長
です。この組長は、麻雀や碁で、私のような善良な市民からなけなしの小銭
を巻き上げて生活の足しにしている悪役です。
その組長が、朝ドラ見たさに出発時間を遅らせたのが原因でした。
その上、足の悪い仲間にお構いなくスタスタと先導した組長が道を間違え
たため、漁港の周りで往復1時間以上も炎天下を歩かされました。名古屋か
ら来た一人は膝と腰の痛みに顔をゆがめていましたが、帰ってからは病院通
いをしているとのことです。
この日は石巻へ往復し、ありきたりの定食を食べただけで終わりました。
6.秋保(あきう)温泉
翌4日目の最終日の朝、3人は所用で帰りました。
残ったのは組長と、組長の指示通りに忠実に動いたり、ときには組長に強く
意見をしたりする若頭(還暦間近)と、私の3人です。
この日は、年寄りらしくおとなしく温泉に浸かって過ごそう、ということに
なりました。
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仙台からバスで1時間ほどの近距離に、秋保
(あきう)温泉があります。
かつて、伊達家の湯治場が置かれたそうで、
有馬、道後とともに、日本三名湯のひとつに数
えられているそうです。
←名取川
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自然公園のある湯に陣取りました。
露天風呂付きの温泉に浸かった後は、ゆ
ったりと蕎麦を楽しむことができます。
(食事と入浴のセットで1,575円)
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灯篭あり
岩の間を走る水あり
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足湯あり(2箇所)
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広い池あり
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いくつもの花園あり、..。ゆっくり見てまわるのには30分以上はかか
りそうな、広い起伏のある庭園が広がっていました。
いつも碁盤を抱えてくる組長ですが、この日は手ぶらでした。
この日の朝帰った1人は組長の先輩で、日本棋院6段の猛者であるため、い
つものような元気を失くしたのかも知れません。
7.おわりに
杜の都と呼ばれている仙台は、緑一杯に包まれていました。
周囲の山々だけでなく、あちこちの街路樹の緑が街を包みこんでいます。
緑を見て気付いたのは、松、杉、檜などの針葉樹が見当たらず、ほとんどが
欅などの広葉樹だということです。
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青葉城址からバスで仙台駅に戻るとき、街路
樹が道路を覆っている光景に感動し、思わずバ
スを降りてしまいました。
いつだったか、ドイツのデュッセルドルフを
歩いたときの感動が蘇ってきたのです。
道路が欅のような巨木の緑に包まれ、ゆったり
とベンチに憩う人の姿が印象的でした。
←定禅寺通りの街路樹
2004年に「景観法」が成立しました。
国土交通省は、「美しい国づくり」のために「襟を正す」と宣言し、量から
質への転換の必要性を強調しています。
景観についての私の関心は、ひとつは街路樹の整備です。
多分、仙台は街路樹の整備では日本の先端を走っているでしょう。
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もうひとつの関心は、電線の地中化です。
日本は先進国の中で最も遅れているようです。
今後数十年間の大事業として取り組むべきテーマだ
と思います。
仙台も、地中化については十分とは言えません。
青葉通りから一筋奥に入った通りでは、依然として
蜘蛛の巣(電線)がはびこっていました。
景観についての私の想いを、近いうちにまとめてみたいと考えています。
仙台は、そのためのひとつの検討事例として、もう一度ゆっくり散策してみ
たい街だと思いました。
(散策:2006年 6月27日
〜 6月30日)
(脱稿:2006年 7月12日)
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