1.はじめに
まずはクイズから。
Q1:世界一高い建造物がある場所は? ⇒
A1:
ド■▲
では
Q2:世界一広い人工島がある場所は? ⇒
A2:●
バ▲
ならば
Q3:世界一広い人工スキー場がある場所は? ⇒
A3:●■
イ
どれもドバイですが、世界一が好きなドバイにはまだいくつもの世界一が
あります。そのドバイは、中東のUAE(アラブ首長国連邦)を構成する7
つの首長国のひとつです。

世界一に執着するドバイと
UAEの首都があるアブダビ
を駆け足で訪ねてみました。
←パームアイランド
2.ドバイ博物館に見る今昔
ドバイは石油で潤う富裕層が溢れている国、というイメージがあると思い
ます。人口200万人超のうち、地元のアラブ人は15%ほどで、85%は
インド、パキスタンなどから出稼ぎに来ている労働者です。
外国人労働者の収入は、土木作業員で月2,3万円、観光バスの運転手で
5〜8万円、外資系企業に勤めるエリート社員は天井知らずかも知れません
が、概して低賃金に甘んじているようです。地元のアラブ人には月30万円
位が国から支給されるそうです。国からお金を貰えるのですから、国に納め
る所得税はありません。アラブ人は外国人を働かせて裕福な生活を楽しめる
というものです。
今や超高層ビルが林立し、中東の金融センターとして位置づけられ、世界
中から多くの観光客を呼び寄せているドバイです。しかし、その歴史は浅い
ものです。
かつてのドバイは、世界に君臨していたイギリスの中継貿易港と真珠の生
産とが産業の柱となっていたそうです。真珠の生産は、日本の養殖真珠の成
功(20世紀初頭)により、大きな打撃を受けました。今日の隆盛を招くに
至ったきっかけは、約50年前(1966年)の海底油田の発見によるよう
です。
UAEはアラビア海に面しています。港近くに築かれた砦跡にドバイ博物
館が建てられています。
←ドバイ博物館
↓(換気口を設けた昔の住居)
.jpg)
博物館で見た50年前の写真によれば、市街地の高い建物でもせいぜい3,
4階建てでした。
.jpg)
博物館の敷地内に1階建ての伝統
的な住居が展示されていました。
暑さを凌ぐための工夫として、屋根
の上に空気の取り入れ口を設けてい
ました。居間に空気を循環させるこ
とで暑さを和らげていたのでしょう。
←半世紀前の港湾都市
.jpg)
なお、冷房と言えば、エアコンが付けられ
ていたバス停を見かけたのに驚きました。
中東では、冷房は震えるくらいにギンギン
にかけるのが一般的のようです。
←エアコン付きのバス停
3.変貌する市街地
ドバイにはドバイ・クリークと呼ばれる入り江があります。
南北50キロ近い大きな入り江です。前述の博物館(砦跡)はこの入り江に
面しています。この入り江を拠点にしたのであろう昔の船が博物館に展示さ
れていました。
←昔の船
↓入り江の風景、
.jpg)
ホテル付近の船着き場から10分ほど渡し船に乗り、旧市街を見学しまし
た。食品、香辛料、衣類、装飾品、カーペット、工具など、さまざまな商品
が間口の狭い店一杯に並べられ、呼び込みの声が飛び交っていました。ゴー
ルドスークという一画では、金のアクセサリーがあふれていました。
←香辛料の店
↓女性用衣料の店
.jpg)
ドバイには、後述するアブダビにも、高層ビルが林立しています。
圧巻は世界一高い
←世界一高いビル
↓林立する高層ビル
←ビーチサイドの高級ホテル
↓無人運転のメトロ
4.日本車が活躍する砂漠サファリ
ドバイの市街地から南へ車で1時間ほど走ると砂漠地帯に入ります。
.jpg)
見渡す限り樹木がなく、人家は途
絶え、近代的な生活感を思い起こさ
せるものとしては、道路沿いにひっ
そりと立っている送電線の電柱だけ
でした。
←ひっそりと立っている電柱
オマーンとの国境近くです。
その一画で自動車によるデザートサファリが観光客の人気を集めています。
ここで活躍していたのはトヨタのランドクルーザーでした。白のランドクル
ーザーが10台ほど駐車場所に並んでいました。砂漠に入る前にちょっとし
た車の整備が必要です。
では 2回目のクイズ。その整備とは:
1:ハンドルの動きを緩くする 2:タイヤの空気圧を低くする
3:左右の重量バランスを整える 4:シートベルトをX字状に交差させる
のどれでしょうか? (答はこの項の最後)
←トヨタの白いランドクルーザー
↓
.jpg)
砂は10メートル位の高さに盛り上がったり凹んでいたりします。
盛り上がりの頂上まで上った車は、45度近い斜面を砂煙を上げながら駆け
下ります。車には過酷なラリーだと思いましたが、柔らかい砂の上なので案
外支障はないのかも知れません。ただ、僅かな隙間でも細かい砂が入り込む
のが問題だろうと思います。エアフィルターを外して掃除している場面を見
かけましたが、砂がどっさりと流れ落ちていました。
砂丘の上から遠くを見眺めると、低地を生活の場としていると思われる小
屋が見えました。数本の木が立っており、近くに数頭のヤギらしき動物がゆ
っくりと動いていました。水と餌を確保するための苦労が思いやられました。
砂漠の生活に愛着のあるベドウィンのお年寄りが暮らしているのかも知れま
せん。
←風紋
↓砂漠の中の民家
.jpg)
砂漠サファリが終わると、少し離れた場所の野外レストランに移動です。
ここで缶ビールを飲みながらバーべキューなどを食べたり、ベリーダンスを
見物したり、水タバコを吸ったりして砂漠の夜を楽しみました。
←ラクダ観光
↓ベリーダンズ
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
(クイズの答=2:タイヤの空気圧を低くする
20%位減圧するそうです)
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
5.現代のオアシスを思わせるアブダビ
ドバイの市街地から1時間半ほど高速道路を走るとアブダビの市街地に着
きます。アブダビの市街地にも高層ビルが林立しています。平坦な道路の両
脇には緑の木が一杯繁っているので砂漠の国とは思えません。
アブダビは緑化政策に力を入れています。道路の両脇には木が茂っていま
す。地中に埋めた給水パイプから四六時中散水しているそうです。ドバイも
アブダビも海水を淡水化した水が豊富に供給されています。
←緑の多い高速道路
↓アブダビ市街
←林立する高層ビル
↓きれいに整備された海岸
.jpg)
アブダビ(首長国)はUAEの80%にあたる国土を持っています。
アブダビは石油の産出が豊富で、UAEでは一番富んでいます。連邦予算の
8割はアブダビ、1割はドバイだそうで、大統領はアブダビから、副大統領
はドバイから選ばれることが慣例化しているそうです。
裕福なアブダビには壮大な規模の施設があります。
建物の横幅が1キロというエミレーツ・パレスホテル、世界最速ジェットコ
ースターのあるフェラーリワールド、豪華さでは世界最大級(大きさでは数
番目)のシェーク・ザーイド・モスク、などの観光スポットがあります。
←アブダビの国旗
↓エミレーツ・パレスホテル
←シェーク・ザーイド・モスク
↓ショッピングモール
.jpg)
魚市場とショッピングモールを覗いてみましたが、品物は豊富で、値段は
品物によりますが、総じて日本の3分の1〜半分位の感じでした。
ところで、ドバイでもアブダビでもお墓を見かけません。
イスラム教では偶像崇拝を禁じており、葬儀は土葬にして墓を作らないのだ
そうです。
6.おわりに−UAE移住のお勧め−
ドバイでは年間360日ほどが晴れだそうです。
雨の日はみんなが喜ぶいい日です。私が着いた日は、日ごろの心がけがよか
ったせいか、少し雨が降りました。嬉しい雨も、稀に土砂降りになると大変
です。雨は降らないという前提で都市作りがされているため、排水溝がない
のだそうです。
冬の季節には長袖を着る位に涼しい日がありますが、夏の暑い日は45℃
位になるそうです。しかし、ホテルはどこでもエアコンがガンガン効いてい
ますし、給水も十分、買い物は何でも揃いますので、生活に不自由すること
はありません。ゴルフ、マリーンスポーツはもちろん、スキーなどのレジャ
ー施設も整っています。UAEからは中東や東南アジアの国へ遊びに行くの
も便利です。1泊が10万円以上のホテルも揃っています。
現在裕福なあなた、いずれ大富豪になるであろうあなた、UAEに移住し
てみませんか?
ところで、2011年から日本の小学校で俳句の授業が始まりました。
この年、地元の小学校で子供たちの育成を支援するため、大人の応援団が結
成されました。応援団の活動のひとつとして、俳句の授業時間に俳句の話を
して欲しいという依頼が俳句同好会にありました。私は俳句同好会の一員と
して、小学校6年生のこどもたちに俳句の楽しみについて少し話をしたこと
があります。私は季語の話をしました。「日本は四季の変化に富んでおり、
季節の変化を観察する楽しみを味わうことができる。将来世界の色々な国を
訪れる機会があると思うが、日本の季節と風景の素晴らしさをあらためて感
じることができるだろう」というような趣旨のことを話しました。
UAEへの移住をお勧めしましたが、お勧めする私自身が移住を希望して
いるのかって? ..私は..先立つものがないので、移住は無理です。
それよりも、四季の移り変わりを楽しめる日本が一番だと思うので。
もっとも、これは日本で生まれ育った者の感想です。砂漠の国で生まれ育
った人にとっては、砂漠の気候と風景が一番だろうと思います。
(散策:2013年1月31日〜2月2日)
(脱稿:2014年1月20日)
-----------------------------------------------------------------
この稿のトップへ エッセイメニューへ トップページへ