世界遺産 ボロブドール遺跡 プランバナン遺跡
テガラランの棚田 タナ・ロット寺院 など インドネシア -ジャワ島・バリ島-1.はじめにインドネシア共和国は赤道の南北にまたがる広大な 領域に、世界最多の1万数千の島で構成されています。 ジャワ島とバリ島は赤道よりも南です。 ←インドネシアの国旗 人口は約2.5億人で、約2億人がイスラム教のため、イスラム教徒人口が 世界最多の国です。イスラム教は15世紀頃から普及したようです。 オランダの植民地支配からの独立には、日本軍の支援が大きく寄与したとし て、総じて親日的と言われています。首都ジャカルタのあるジャワ島は面積と しては7%程度ですが、人口の約6割が集中しているそうです。 ジャワ島には歴史遺産が集中しています。
今回、仏教のボロブドゥー ル遺跡とヒンズー教のプラン バナン遺跡を訪ねました。 ジャワ島の次にヒンズー教 のバリ島を訪ねました。 2.ボロブドゥール遺跡 関空からジャカルタへ飛び、ジャカルタでジョグジャカルタ行きに乗り換え、 バスでホテルに入ったのは夜10時過ぎでした。格安旅行としては高級ホテル のシェラトンに泊まりました。 翌朝、ホテルからメラピ山が見えました。 メラピ山は活火山で、ボロブドゥール遺跡の東方(やや北寄りの東)にありま す。メラピ山の火山灰はボロブドゥール寺院にも降り積もったようです。右手 にメラピ山を見ながらバスは北西に進みました。 インドネシアは日本と同じように車は左側通行です。
←ホテルから見たメラピ山 ↓車は左側通行
ボロブドゥールの寺院は8世紀末に建立されたようです。 世界最大級の仏教寺院です。ボロブドゥールとは「丘の上の寺院」(ボロ=寺 院 ブドゥール=丘の上)という意味だそうです。 石段を上って寺院前の広場から後ろを振り返ると、なんと富士山!?が偉容 を誇っていました。東の方向に聳えているメラピ山です。
←ボロブドゥール寺院(東向き) ↓富士山のようなメラピ山
ボロブドゥール寺院を建立したシャイレーンドラ王朝は、100年足らずで 崩壊したそうで、その後寺院は廃墟になったようです。メラピ山からの降灰に 埋もれて千年近く密林に眠っていた寺院は、1814年にイギリス人のトーマ ス・ラッフルズ(当時ジャワ総督代理)とオランダ人技師コルネリウスによっ て発見され、その一部が発掘されたそうです。 ジャワ島の支配者がオランダ⇒フランス⇒イギリス⇒オランダと変遷し、国 際紛争の時代を経たため、ボロブドゥールの修復には長い時間を要しました。 ユネスコによる修復プロジェクト(1973‐1982年)を経て、1991 年に「ボロブドゥール寺院遺跡群」として世界遺産に登録されました。 今回はボロブドゥール寺院だけを訪ねましたが、近くに別の寺院遺跡(パウ ォン寺院、ムンドゥ寺院)があります。
↑一画面に収まらない大きさの寺院 基壇は一辺が120メートルの方形で、高さは約40メートルだそうです。、 土の丘の周囲に石を積み上げた寺院です。全体はピラミット状で、・方形の基 壇、・その上に5層の方形壇、・さらにその上に3層の円形壇、で構成されて います。
←壁の窪みに配されている仏像 ↓
各層の周囲は回廊となっており、壁にはびっしりと壁画(レリーフ)が彫ら れています。 ・基壇は欲界(淫欲と食欲の2つの欲望にとらわれた人の住む処)を表してい るそうです。私らのような俗人の日常生活を描いた壁画が彫られています。 ・基壇の上の方形壇は色界(欲界の2つの欲望は超越したが、物質的条件(色) にとらわれた人が住む世界)を表しているそうです。釈迦の生涯を描いた絵物 語の壁画が延々と続いています。 ・円形壇は無色界を表し、レリーフはなく、幾何学的な建築意匠によって抽象 的な悟りの境地が示されてるのだそうです。
↑俗界に住む衆生
←釈迦の絵物語の一部 ↓回廊を巡る観光客
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↑円形壇上からの眺め 円形壇上には多数(72基)の仏塔(ストーパ)があります。 各仏塔内には仏像が安置され、透かし模様風に積み上げられた石の隙間から仏 像を拝することができます。
←円形壇に在す釈迦 ↓陽気な観光客
3.プランバナン遺跡 プランバナン遺跡はジョグジャカルタのすぐ近くにあります。 ジョグジャカルタの東、メラピ山の南の平野です。 プランバナン寺院(ロロ・ジョングラン寺院)はヒンズー教の寺院です。 この地を支配していた古マタラム王家が856年に建立したそうです。ボロブ ドゥール寺院を建立(780年〜)したシャイレーンドラ王朝が健在だった時 期です。仏教のシャイレーンドラ王朝とヒンズー教のマタラム王朝は、宗教は 違っても縁戚関係をもつなど、大変友好的な関係にあったようです。 まずは主要な塔を遠くから眺めてみましょう。
↑プランバナン寺院 ヒンズー教の寺院であるアンコールワットと同様に、プランバナン寺院も石 で築かれています。実に精緻に組み上げられ、全面に複雑な彫刻が施されてい ます。石で築かれた塔が林立していますが、尖塔は聖なる山をシンボル化して いるのだそうです。
←尖塔のある塔 ↓王族(?)の彫刻
プランバナン寺院は9世紀の中頃に建立されたそうですが、10世紀の初め には放棄されたようです。それは10数キロ北にあるメラピ山の大爆発により ます。付近が溶岩と火山灰で覆われてしまい、古マタラム王家は東ジャワに遷 都を余儀なくされ、間もなく消滅したそうです。 それ以来、オランダ人によって1733年に発見されるまで、800年余り 密林の中に眠っていました。20世紀になってから修復が進められ、1991 年に「プランバナン寺院遺跡群」として世界遺産に登録されました。しかし完 全に復元されたわけではなく、野積みになっている石材も多く見られます。
←修復中の遺跡 ↓
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↑西から見た寺院 見学中に空が暗くなり、そそくさとバスに戻りました。 プランバナン寺院の周囲はきれいな公園として整備されていました。近くにい くつも遺跡がありましたが、十分に修復されていないということでした。
←近くで修復中の寺院 ↓アロハシャツの観光客
余談ながら、イスラム教の国では宗教関連の施設を見学するときは服装を整 えなければなりません。女性は素肌と髪を覆い、男性は腰布を巻くのが作法の ようです。男性でもアロハシャツ姿は好ましくないのかも知れません。(写真 の人物はと言えば...筆者でした。m(_ _)m 本サイトで初公開の素顔です) 4.バリ島 バリ島は数年前(2007年)に訪ねたことがあります。 その時のツアー参加者は私と妻の二人だけでしたので、車と現地人ガイドさん をチャーターした富豪のような気分で楽しめたものでした。 今回は陶芸仲間と4人でツアーに参加しました。 初日はツアー団体客として数箇所を見学しましたが、2日目は専用車付きの現 地ガイドさんを4人でチャーターし、島の南部を走ってもらいました。5時間 で70米ドルだったので、一人当たり2,000円ほどでした。 本稿では、前回と重複しない内容を少しご紹介します。 (ご参考:前回の紀行文 ⇒「-神々の住む島- バリ島」 ★世界遺産★ 2012年にバリ島で初の世界遺産(文化遺産)が登録されました。 正式名称は「バリ州の文化的景観;トリ・ヒタ・カラナの哲学を表現したスバ ック・システム」というものです。この名称から内容を理解するのは困難です が「神と人と自然の調和を実現した水利システム」というような意味かと思い ます。対象となった景観は、湖(キンタマーニ高原のバトゥール湖)、寺院、 棚田など5箇所に分かれています。
そのひとつであるテガラランの棚 田を訪問しました。 前回訪れたときは、路上で待ち構 えていた多数の土産物売りにまとわ りつかれましたが、世界遺産登録を 機に土産物は店での販売だけに制限 されたようでした。
←テガラランの棚田 ↓路上からの見物客
★ヌサ・ドァのビーチ★ バリ島はマリンスポーツで若い人に人気があります。 島の南部にに突き出ている半島の東側にあるヌサ・ドァは大勢の観光客で賑わ っています。ボートに引かれてパラシュートで舞い上がっていたのは若い日本 人女性でした。滞空時間は2,3分程度で1,500円でした。
←ヌサ・ドァのビーチ ↓勇敢な若い女性
★ウルワツ寺院★
断崖絶壁の上に立つ寺院があ ります。 寺院近くからの眺めは絶景です。 半島西端にあるので夕日の鑑賞 地として人気があります。 前回は円形の劇場に直行し、夕 日を眺めた後でケチャダンスを 鑑賞しました。 ←崖の上にワルワツ寺院 この寺院のあたりには観光客の持物を狙う悪い猿が沢山います。 駆除することはできないのだそうです。ご神体!?とされているそうなので。
←ウルワツ寺院近くからの眺め (写真左の円形劇場でケチャダンス) ↓
★高級リゾートホテル★ バリ島には高級リゾートホテルが沢山あります。 いつも格安旅行に耐えている者としては高嶺の花なので、高級リゾートホテル でお茶でも飲んでリッチになった気分に浸ろうということにしました。 高級ホテルともなれば誰でも気安くロビーに入れるわけではありません。 守衛のいるゲートでは、車の下を金属探知機でチェックしてから入場が許可さ れるという物々しさでした。しかし一旦ホテルの中に入ればリラックスできる 雰囲気でした。
←ゆったりしたガーデン ↓
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←お茶を飲んだ専用ビーチ ↓笑顔のボーイさん?
★コンビニエンスストア★ 今回印象に残ったひとつは某コンビニの店舗でした。 クタという繁華街ではほぼ500メートル毎に店舗を構え、郊外でも見かけた のはこのコンビニでした。どうやらこのマークのコンビニだけしかない模様で した。
前回来たときはこのコンビニに気づき ませんでした。 最近一挙に進出してき たのかどうかは分かりません。 もしかしたら、1年前に我が家のすぐ 近くにこのマークのコンビニができたた めに気になっただけのことかも知れませ んが...。 ←郊外にあるコンビニ ★時間★ 前回驚いたことのひとつは、どこにも時計が見当たらないことでした。 ホテルにも、公共の場所にも時計が見当たらなかったのです。バリの人たちの 生活に時間という概念はなく、時計は販売していないのかと思いました。 今回、二箇所で時計を見つけました。 大きなショッピングセンターで、吹き抜けの2階に大きな時計が掛けられてい ました。もう一箇所はケチャダンスの劇場裏でした。数人の若者がビリーヤー ドに興じていた部屋に掛けられていました。
←ショッピングセンター ↓ビリーヤード場
8.おわりに ◆ボルブドゥール遺跡は、ミャンマーのバガン遺跡、カンボジアのアンコール ワットと並ぶ世界三大仏教遺跡だそうです。(仏教とヒンズー教は微妙に共通 している面があるので、仏教遺跡と括ってもよいのかも知れません) ボルブドゥールと同様に、アンコールワットに残されている石の彫刻も見事 でした。 アンコールワットについては既報の「カンボジアとベトナム」をご覧下さい。 ◆いくつかの遺跡の成立時期を並べてみると興味深いことが分かります。 それは、日本の歴史と比較してみれば比較的に新しい時代だということです。 ★神宮の式年遷宮(日本) 7世紀 ・ボロブドール (インドネシア) 8世紀 ・プランバナン (インドネシア) 9世紀 ・バガン (ミャンマー 11世紀 ・アンコールワット(カンボジア) 12世紀 ・アユタヤ (タイ) 14世紀 ・インカ (ルー) 15世紀 式年遷宮の制度により、1,400年近くも木造の建築様式が守り続けられ てきた伊勢神宮の歴史と比べれば、各国の遺跡はうたかたの夢みたいな存在と 言えるでしょう! ◆今回のツアー客に奄美大島から参加した女性グループがいました。 4人の美女軍団で、なぜか私たち4人のイケメン!グループと親しく会話の相 手をしてくれました。帰国後には奄美大島の焼酎を送ってくださいました。 いつか奄美大島を訪ねて杯を傾ける機会ができるのを楽しみにしています。 ◆雑文書きが趣味の同好会で、コーヒーに凝っている友人がいます。 私が帰国してから間もなく、コピ・ルアックと言う「コーヒー好きなら一度は 飲んでみたいコーヒー」に触れた一文をその友人が書きました。ジャワ産のコ ーヒーです。旅行前にこの名前を知っていたら大枚をはたいていたのに残念な ことをしました。
コピ・ルアックとは、ジャコウネコが食べたコーヒ ー豆で作ったコーヒーです。 ネコの胃腸を通過した豆を洗い出して使うのですから、 気分的には抵抗感があるかも知れません。 そこで、コーヒー好きの方への私のお勧めは、東ティモール産コーヒーです。 バリ島の東の方にある東ティモールでは、貧しくて農薬も化学肥料も使えない ため、自生しているコーヒーの木から収穫した豆を使っているようです。 私の知り合いの“元気で賢くて美人の”若い女性が、東ティモールのコーヒ ー農家を支援する活動をしています。 ★東ティモール産コーヒーはこちら↓↓で購入できます★ もやいネット http://moyainet.com/ 購入方法を確認するには、このサイトの左側にあるバナー 「珈琲でつながる。ニッポンと東チモール」を押してみてください。 晴れの日向けと雨の日向けがあります。 是非試飲してみてくださいませ。 (散策:2014年3月12日〜3月16日) (脱稿:2015年5月17日) ★関連サイト★ ・前回バリ島を訪ねた時のエッセイ⇒ 神々の住む島 バリ島 ・カンボジアを訪ねた時のエッセイ⇒ カンボジアとベトナム ★参考図書★ ・(旅名人ブックス 74)「ボロブドゥール遺跡・ジャワ島」
・(旅名人ブックス119)「バリ島紀行」
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