断熱工法って何?

梓にこられるお客様はとても勉強家で色々な?を頂きます。 中でも断熱のこと・・・

 最近の書店の建築コーナーには実に沢山の『How To』本が出版されています。 我こそが最高の家造り思想だとばかりに。そしてそれらの大半が断熱工法に関する内容です。 確かに建築において『断熱』ということは熟知しているにこしたことはありませんし、 大切な要素ではあります。しかし、これだけ断熱について物議をかもした根源についての考え方として、まず『 家はどうあるべきか? 』ということをしっかり自分の理念として念頭に置いてから考える人がどれだけ在るでしょうか?

断熱と湿度と通気性

 断熱について語る時、日本が置かれている状況、それは温帯モンスーンに位置しており 特に夏場は湿度の高さに悩まされるということです。このことで、冷房による結露、いわゆる『逆転結露』という問題を日本固有の問題としてかかえているということです。 30年程前までは、この『 逆転結露 』という問題はなかった。それはスカスカの壁で あったり、調湿性の土壁であったりしたことで、この問題は通気があったということで 問題視されていなかった。 それが昨今、通気性のない石油系の高性能断熱材が登場しその断熱性を有効ならしめるために、気密性が取ざたされるに及び逆転結露という現象が問題視されるにいたった。これは夏場のモンスーン地帯のみに起こりうると考えられる現象であり、クーラーを入れるとガラス等の外壁の外側に結露水がつくという現象で高度の湿度を有しているため5度程度の温度差でも本現象が起こるということです。いくら外断熱工法を取っても、断熱材の裏側防水シートとそれを止めるコンパネ(構造用合板) の間で結露を起こしている可能性は大であります。当然合板というものはノリを何層にも使用しているため、通気性・透湿性はなくこの状態であれば高温と高湿のため数年とはいわぬまでに、ボロボロのフの様になってしまうということです。 このようなことで、どうしても我が国では通気性・調湿性のある材料による断熱材のみ でしか、このモンスーン地帯のドグマからは逃れられないということです。

湿度と共存していく

 私共が申し上げたいのは、断熱結露の問題もさることながら、結露の原因の一旦をにな っている構造用金物を使用しないとか、可能な限り木を包み込まない方策を取るということです。木の老化という問題点でこのことを考えてみると、木に息をさせているか、息の出来にくい状態にあるのかで老化の度合いが著しく違うということです。 平常の状態で雨風が太陽にさらされているときの木の老化、例えば桧の場合だと常温で千年に相当する老化が(湿度を考慮に入れず)70度の温度で200日、これが100度になれば10日に相当する。(木の文化・小原二郎・鹿島出版会より)これが水分があるともっと早くなる。

 このことからしても、大壁にして、木を包み込みさらに高気密などということをやり続けることが、いかに木の命を縮めていることか、断熱結露を論議することよりも、木造体の命である木に呼吸をさせてやる。(できれば真壁で造ると良い)人間がゴムのカッパを着て強烈な汗をかきながら10分間スポーツをして見て下さい。 この状態に何分耐えられますか?この高気密ということを家にさせていることなんです。健康住宅ということは、体に優しい家ということであるのであれば、それは当然家そのものに優しいということでなければ成立しないものと思っております。昨今、住宅メーカーが100住宅提唱するようになって来ました。 その提唱を本当に真摯にいっているのであれば、まず、集成材・合板をやめ大壁でくるむことをやめ、金物で組むことをやめてから、そのことを標榜すべきではないでしょうか? 私共はそう毎日感じております。

 梓がお勧めする断熱は土壁づくりです。断熱・蓄熱・調湿などの作用があり、環境にも健康にも 良いものだと思います。隙間風が寒いなどゆわれますが、今の梓での工法では、隙間風をできるだけゼロになるように対策を考え、家全体が暖かい家づくりをしています。

コラムへ ホントのところの建築よもやま話 TOPへ

 
Copyright © 2006 Azusa-Kohmuten All Rights Reserved.